[アニメ レビュー] 16bitセンセーション ANOTHER LAYER Layer 2 いっしょに美少女ゲーム作ろ!
16bitセンセーション ANOTHER LAYER
「16bitセンセーション ANOTHER LAYER」は同人誌として描かれた「16bitセンセーション」の別の物語である。1992年を舞台とした原作に2023年から秋里コノハがタイムリープしてくるストーリーだ。
高度にシステム化され部分的にしかゲーム制作に関われない2023年からやってきたコノハが、今となってはアナログとも言えるような作業に戸惑いながらも、黎明期ならではの熱いゲーム制作に魅了されてゆく作品だ。
コノハは現在と過去を行き来することになるのだが、それがゲームの歴史にどんな影響を及ぼすのか。そのあたりの仕掛けも楽しみだ。また、コノハは美少女ゲームに出てきそうなエキセントリックさを持っており、守との関係がどうなってゆくのかも気になる。
物語の背景となる秋葉原の今昔の違いや1992年当時のオタク事情など、懐かしい方も知らない方も楽しめるものとなっている。美少女ゲームに興味がないとしても、オタクなら見ておいて損はない作品だ。
※本記事は2023年11月4日時点での視聴をもとにした記事です。
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Layer 2 いっしょに美少女ゲーム作ろ!
Layer 2の長さは23分40秒(1420秒)。独断で起承転結の4つに分割している。これ以降はネタバレ注意です。
<登場人物>
- 秋里 コノハ(あきさと このは)
- アニメ版の主人公。2023年から1992年にタイムスリップしてきたイラストレーター。しかし2023年では満足な仕事をもらえていなかった。
- 六田 守(ろくた まもる)
- 父親の頼みでプログラマーとしてアルコールソフトに在籍している。幼少の頃からPC-9801を触って遊んでいた。
- 上原 メイ子(うえはら めいこ)
- アルコールソフトのCG担当。原作の主人公。
- 下田 かおり(しもだ かおり)
- アルコールソフトの企画や原画を担当。(面白そうなので)コノハをアルコールソフトに引き入れた。
- 六田 勝(ろくた しょう)
- 守の父親でアルコールソフトの社長。企画と音楽を担当している。
- 五味川 清(ごみかわ きよし)
- アルコールソフトのシナリオライター。常に覆面をかぶっている。
いっしょに美少女ゲーム作ろ!
意味不明なことばかり言うコノハを不審に思う守たち。しかしかおりの一言でグラフィッカーとして働かせてもらうことになった。開発室では当時のPCが現役で稼働中。コノハは2023年の絵師である自分が絵を描けば、天才として神扱いされるのではないかと期待をするが……。
なんとかグラフィッカーとして採用してもらったコノハだったが、1992年では未来のテクニックはまったく通用しない。当時の方法を一から技術を習得し、やっと1枚を完成させることができた。大変ではあったけれども、出来上がった感動も格別であった。
ゲーム制作にかかわっていくうちにアルコールソフトに馴染んでゆくコノハ。必要とされている充実感とゲーム制作の楽しさで、もう2023年に帰れなくてもいいと思い始めた。しかしソフトが完成したお祝いのさなか、コノハはまた2023年へと戻ってしまったのだった。
Layer 2の見どころ
- 少人数ならではのチーム感
- 1992年のゲーム制作
- コノハの美少女ゲーム愛
※背景色つき文字で書かれたシーンは、シーンリプレイ対象のシーンです。
起 (312秒)
0-35
タイムリープ? 35秒
35-1:29
98…同級生… 54秒
1:29-2:59
OP:「65535」中川翔子 90秒
2:59-4:00
本当にタイムリープしちゃってた 61秒
4:00-4:25
うるせー 25秒
4:25-5:12
マジ天使 47秒
タイムリープしたコノハが守たちに救われるパート。
承 (288秒)
5:12-6:20
怪しい電波少女 68秒
6:20-7:15
美少女描けます 55秒
7:15-8:10
うーん……採用! 55秒
8:10-8:50
守くんお願いします 40秒
8:50-9:35
PCを立ち上げる音 45秒
9:35-10:00
コノハの野望 25秒
アルコールソフトで採用されるパート。
転 (300秒)
10:00-10:40
マルチペイントとマウスで描く 40秒
10:40-11:40
PCに絵を取り込む 60秒
11:40-12:10
失われた技術 30秒
12:10-13:00
立派なアートです 50秒
13:00-13:50
未来のテクニックは通用しない 50秒
13:50-14:40
精進の日々 50秒
14:40-15:00
涙の初仕事 20秒
コノハが1992年当時のやり方で仕事に挑戦するパート。
結 (273秒 + 247秒)
15:00-15:30
サービスシーン 30秒
15:30-16:00
ずっとここにいてもいい 30秒
16:00-16:25
仲良しのけんか 25秒
16:25-17:10
泊まり込み 45秒
17:10-18:10
美少女ゲーム 60秒
18:10-19:10
未来は美少女であふれてる 60秒
19:10-19:33
つれない守 23秒
19:33-21:03
ED:「リンク〜past and future〜」秋里コノハ(CV.古賀葵) 90秒
21:03-21:30
ばんざーい 27秒
21:30-22:10
コノハの情熱 40秒
22:10-22:50
得意になるコノハ 40秒
22:50-23:10
つくりあげた充実感 20秒
23:10-23:35
Back to 2023 25秒
23:35-23:40
次回予告 5秒
ゲームが完成するパート。
シーンリプレイ
12:10-13:00
立派なアートです 50秒
16色の組み合わせで描き出すアート。現在ではその価値が再評価され、素晴らしいアート作品として認識されていると思う。
18:10-19:10
未来は美少女であふれてる 60秒
このころ忌避され蔑まされた”美少女”たちは、今まさに街にあふれている。これは作り続け守り続けた人たちがいたからだ。
22:50-23:10
つくりあげた充実感 20秒
指示通りの作業をこなすだけでは得られない充実感。1回の完成が次の作品への活力となる。コノハはゲーム制作の源流にふれることで、ようやくそれを実感することができた。
感想
全編を通して美少女ゲームやオタク文化に対する愛情が伝わってくる。今回だけでなく登場する実際に発売されたゲームの数々は、令和にも語り継がれる名作揃いで、パッケージ絵も当時の本物が再現されている。私などは美少女ゲームはほとんどやってこなかったので、今となっては当時に遊んでおけばもっとこの作品を楽しめたのにと悔やまれる。実際に遊んでいた方は、当時を懐かしみながらこの作品を楽しめるだろう。
今回の見どころはなんといっても1992年当時のゲーム制作のシーンだ。アナログなのかデジタルなのかよくわからないグラフィック制作の手順は非常に貴重な話だ。開発チームの人間の距離感もクラブやサークル活動の延長のようで微笑ましい。
現代のゲーム制作は大規模で作業は細分化され、ゲームの全体像を把握できている人間はごく一部の人間だけだろう。すべてが細分化、専門化、システム化されてしまうと部門間の風通しが悪くなり、大きな失敗はしないが当たり障りのないありきたりな成果になりがちだ。工業製品ならそれでもOKだが、ゲームはエンターテインメント。よくできているだけでは先細りになってしまう。
コノハがアルコールソフトに採用されるシーンは何気なく描かれているが、全社員が新人採用に関与している小規模チームならではのシーンだ。そこそこ大きな会社なら、コノハは当たり前に門前払いされていただろう。
アルコールソフトの開発室はスタッフ同士の席も近く、お互いの仕事に関する情報も筒抜けだったはず。さぞかし活発に様々な意見が飛び交っていたであろう。手が足りなければ担当以外のところでも手伝ったりなんてことも日常茶飯事だったはずだ。
そうやって全員が制作に関わってゲームを完成させる。これはコノハが未来のゲーム制作では体験できなかった”実感”であり”喜び”だった。チームの一員として役に立てた充実感。それはまさにコノハがゲーム制作に求めていたものだったのだ。
コノハがゲームの箱を開けると街の様子が変わっていた。あわてて飛び出したコノハは道端で少年とぶつかる。どうやら本当に1992年に来てしまったらしい。あてもなくさまようコノハは、さっきぶつかった少年に助けを求めた。