[アニメ レビュー] TVアニメ「スーパーカブ」 #4 アルバイト

TVアニメ「スーパーカブ」
TVアニメ「スーパーカブ」は自分にはなにもないと思っている女子高生の小熊が、スーパーカブを購入したことをきっかけに世界が色づいていく物語である。原作は小説版で漫画版も出ている。孤独な小熊がスーパーカブを通していろいろな人とつながりをもってゆく様子も見どころだが、なんといってもスーパーカブそのものとの関係も見逃せない。
誰しも何かに憧れてマシンや楽器やスポーツ用品などを買ってもらったことがあるだろう。ゲーム機やぬいぐるみなんかもその範疇に入るかもしれない。その道具やおもちゃが自分にとって大切な”相棒”に変化した経験はないだろうか?このアニメ作品ではそういった経験を主人公の小熊を通して私たちに再び体験させてくれる。
山梨県北杜市がモデルの美しい背景とホンダ監修のスーパーカブのコラボレーションは画面に現実感を与え、そこに生活する小熊をはじめとする少女たちも普通の女子高生として存在している。非常に落ち着いた世界観だ。
スーパーカブをネタに美少女がキャーキャーするアニメではないので、幅広い年齢層にオススメできるアニメだ。美しい景色と少しづつ広がってゆく世界観を小熊とともに体験してみてはどうだろうか?
※本記事は2021年6月7日時点での視聴をもとにした記事です。

#4 アルバイト
#4の長さは24分16秒(1456秒)。独断で起承転結の4つに分割している。これ以降はネタバレ注意です。
スーパーカブ購入をきっかけに礼子と話すようになった小熊はバイザーや箱を揃え、少しづつカブを自分だけの持ち物にしていった。そんな小熊に先生から夏休みだけのアルバイトの話を持ちかけられる。
<登場人物>
小熊(こぐま)
天涯孤独の高校2年生。両親もお金もない一人暮らし。スーパーカブを買ったことで人生が色づきはじめる。黒髪のナチュラルボブ…なのか?愛車はスーパーカブ50。
礼子(れいこ)
小熊の同じクラスの美人。教室では何か近寄りがたい雰囲気を醸し出している。スーパーカブで登校するようになった小熊に声をかけた。黒髪ロングのストレート。愛車はMD90。
シノさん
小熊がスーパーカブを買ったバイク屋のおっちゃん。口数は多くないがいい人。
※背景色つき文字で書かれたシーンは、シーンリプレイ対象のシーンです。
起 (300秒)
0-40
モノローグ 40秒
40-1:18
夏休みの書類輸送 考えさせて下さい 38秒
1:18-2:48
オープニングテーマ 90秒
2:48-3:53
早起き コースの視察 65秒
3:53-4:25
制服では危険 32秒
4:25-5:00
それぞれの夏休み 気をつけて 35秒
承 (300秒)
5:00-5:32
走行距離 オイル交換 32秒
5:32-6:30
シノさんのお話 やさしい値段 58秒
6:30-7:10
バイトの準備 スタイル確認 40秒
7:10-7:43
やっぱり緊張する 33秒
7:43-8:12
免許確認 バイト初日 29秒
8:12-8:30
業務内容の確認 18秒
8:30-9:20
甲府第一高等学校到着 50秒
9:20-9:40
他校の職員室前 20秒
9:40-10:00
書類を渡す 20秒
シノさんやさしい。はじめてのアルバイトの不安。他校に行くのは学生にとっては大冒険。承では、はじめてのアルバイトで大緊張する小熊が描かれる。
転 (300秒)
10:00-10:30
書類の確認 30秒
10:30-11:00
書類を受ける 余裕がない小熊 30秒
11:00-11:20
書類が入ってない 20秒
11:20-11:50
無事完了 バイト代手渡し 30秒
11:50-12:05
2000円確認 おつかれ相棒 15秒
12:05-13:00
こなれて余裕が出てくる小熊 55秒
13:00-14:00
またオイル交換 シノさんの店へ 60秒
14:00-14:29
丁寧に乗っている 29秒
14:29-15:00
降り出した雨 31秒
慣れないとこで待たされる居心地の悪さ。無事に終えた安心感。回を重ねるごとに余裕が出てくる。シノさんを観察して技術を覚えようとする小熊。不穏な雨。転では、初給料からバイトに慣れる。オイル交換を学ぶ。そして思いがけない夕立が降り始める。
結 (461秒 + 95秒)
15:00-15:10
ひどくなってきた 10秒
15:10-15:50
やさしい先生 40秒
15:50-16:20
文学部よ 雨が上がった 30秒
16:20-17:02
レインコート 小熊には高い 42秒
17:02-17:30
買ってました 28秒
17:30-18:15
大活躍 ざまぁみろ 45秒
18:15-18:40
またオイル交換 25秒
18:40-19:50
自分でやるのは大変 70秒
19:50-20:55
ひとりでできた 65秒
20:55-21:20
最後までちゃんとやり遂げた 25秒
21:20-21:35
礼子のおさそい 15秒
21:35-22:30
もっと遠くへ行きたい 55秒
22:30-22:41
久しぶり いらっしゃい 11秒
22:41-24:11
エンディングテーマ 90秒
24:11-24:16
次回予告 5秒
濡れ鼠になった小熊を心配する先生がお母さんのよう。他校の先生に心を許す小熊。思い切って買ったレインコートで雨もへっちゃら。ひとりで挑戦するオイル交換。結では、レインコートを買って雨を克服し相棒の世話も自分でやり遂げ、無事に夏休みのアルバイトを完遂する。そして次回へ…。
シーンリプレイ
11:50-12:05
2000円確認 おつかれ相棒 15秒
便利な乗り物から自分に欠かせない相棒へと変わってゆく。
19:50-20:55
ひとりでできた 65秒
なんとか回したレンチや熱いオイルに触れて自分ひとりでやり遂げたオイル交換。これでまた一歩カブとの距離が縮まった。

感想
題材はスーパーカブであるが”大好きなもの”を持つすべての人に響く内容なのではないだろうか。初めて手にした瞬間のときめきや少しづつ自分の体になじんで手放せなくなる感覚。このアニメにはそういう体験が上手く表現されている。
主人公の子熊の家庭環境についてはアニメでは掘り下げられていないが、本当に孤独で心配になる。生活している団地も本当にみずぼらしくてセキュリティも皆無。せっかく手に入れたスーパーカブも盗まれるんじゃないかと気が気でない。
そんな小熊が少しづつ自分の世界を広げてゆく過程は微笑ましくたくましく私には感じられる。今回も他校の先生に話しかけられるようになったり、自分でお金を稼いだり、オイル交換を自分でできるようになったり、雨にも負けない女子高生にもなれた。
このアニメでは派手なストーリー展開は無い。ただただ美しい自然と季節のうつろいを感じながら小熊の成長を見守るだけなのだ。ただその中心にはスーパーカブがあり、それによって小熊は誰かと繋がってゆく。
叙情的で味わい深い作品だが、のんびりと眺めて楽しむのも全然アリだし、面白そうな回だけ観ても問題なく楽しめると思う。そしてスーパーカブが欲しくなる。そんなアニメです。
お弁当をキーアイテムに早起きしてコース確認したことを納得させる演出は面白い。それぞれの夏休み、礼子の夏休みは次回に。起では、夏休みとアルバイトの回であることが示される。