[アニメ レビュー] 薬屋のひとりごと 第1話 猫猫

薬屋のひとりごと

 宮廷を題材とした作品といえば実写・アニメを問わず安定した人気のジャンルだ。「薬屋のひとりごと」は美しく描かれた中国風の世界観が特徴のミステリー作品である。

 この作品は眉目秀麗・才色兼備の宦官・壬子と花街で働く薬師の少女・猫猫のでこぼこコンビが、後宮で起こる様々な事件を解決する作品だ。猫猫の知識と洞察力を駆使した推理も見ごたえがあるが、ちょっとナルシーな壬子と冷めた猫猫のやり取りも微笑ましい。

 作画と背景も美しく、作品の世界観にひたっているだけでも楽しめるのもポイントだ。原作ファンもアニメファンも納得のデキなのではないだろうか。

※本記事は2023年10月27日時点での視聴をもとにした記事です。


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第1話 猫猫

 第1話の長さは22分50秒(1370秒)。独断で起承転結の4つに分割している。これ以降はネタバレ注意です

<登場人物>

猫猫(マオマオ)
花街で養父と共に薬屋として暮らしていたが、人さらいにさらわれて後宮に売られてしまった。後宮で出世してしまうと人さらいが儲かるだけなので、その知性は隠して働いている。
壬氏(ジンシ)
才色兼備の宦官。後宮内の女性だけでなく男性も虜にする美貌を持っている。だが猫猫には通じない。
小蘭(シャオラン)
猫猫と仲のいい下女。後宮内のうわさ話を猫猫に持ってくる。


猫猫

 幼い薬師として静かに暮らしていた猫猫。しかし薬草の採取に夢中になっているところを人さらいに連れて行かれ、後宮へと売られてしまった。その後宮では梨花妃に子どもが生まれ、同じく玉葉妃にも子どもが生まれたばかりという時期であった。

 さらわれてからはや3ヶ月。猫猫は後宮の下女として元気に働いている。後宮では、梨花妃と玉葉妃の両方の赤子が病にふせっており、呪いによるものではないかと噂になっていた。

 ついに梨花妃と玉葉妃が衝突してしまった。実際にふたりを見た猫猫は病の原因を見抜いた。それをなんとか伝えようとするが、ついに梨花妃には届かなかった。いっぽう赤子の一命をとりとめた玉葉妃は、壬子に”シャクナゲの文”の差出人の調査を依頼する。心当たりのあった壬子は下女を集め、たったの一文で猫猫を特定してしまった。

 まんまと壬子にはめられてしまった猫猫。苦々しい思いで連れられて行くと、そこは玉葉妃の部屋であった。今回のことを根掘り葉掘り聞かれ事情を話した猫猫は、なんと玉葉妃の侍女として迎えられることになった。しかし猫猫は面倒くさいことになったと内心おだやかではなかった。

 第1話の見どころ

  • 猫猫の性格
  • 壬氏と猫猫の関係
  • 猫猫の知識と洞察力

背景色つき文字で書かれたシーンは、シーンリプレイ対象のシーンです。



起 (90秒 + 190秒)


0-1:30
OP:「花になって」緑黄色社会 90秒


1:30-2:00
おつかいに行く猫猫 30秒

2:00-2:20
にぎやかな街 20秒

2:20-3:20
自分の体で薬の実験をする猫猫 60秒

3:20-4:00
かどわかされちゃった 40秒

4:00-4:30
梨花妃の出産 30秒

4:30-4:40
玉葉妃の子ども 10秒


 猫猫が誘拐され後宮に売られるパート。

承 (310秒)

4:40-5:20
もう3ヶ月 40秒

5:20-6:00
後宮の下女として 40秒

6:00-6:50
容姿は望み薄 50秒

6:50-7:05
大人しくしてれば2年で出れる 15秒

7:05-7:30
美形の宦官 25秒

7:30-8:15
赤子の病 45秒

8:15-9:00
世継ぎの連続死 45秒

9:00-9:50
これは呪いか 50秒


 世継ぎに関する噂のパート。

転 (365秒)

9:50-10:35
猫猫の考察 45秒

10:35-11:10
衝突ぼっ発 35秒

11:10-12:00
何か書けるものさえあれば 50秒

12:00-12:40
救えなかった 40秒

12:40-13:25
玉葉妃から壬子への依頼 45秒

13:25-13:45
自身ありげな壬子 20秒

13:45-14:35
宮管長・壬子の呼び出し 50秒

14:35-15:10
美しい宦官 35秒

15:10-15:55
バレテーラ1 45秒


 猫猫と壬子の出会いのパート。

結 (310秒 + 105秒)

15:55-17:00
連行される猫猫 65秒

17:00-17:30
玉葉妃からのお礼 30秒

17:30-18:10
バレテーラ2 40秒

18:10-19:00
薬屋でしたので 50秒

19:00-19:40
無知は罪 40秒

19:40-20:05
梨花妃は聞き入れなかった 25秒

20:05-20:30
はぁ? 25秒

20:30-20:50
やばいやばい 20秒

20:50-21:05
倒れる兵士たち 15秒


21:05-22:35
ED:「アイコトバ」アイナ・ジ・エンド 90秒


22:35-22:50
次回予告 15秒


 猫猫が玉葉妃の侍女として迎えられるパート。

シーンリプレイ

2:20-3:20
自分の体で薬の実験をする猫猫 60秒

 まさに探求者。この好奇心と行動力はオタクのそれである。


11:10-12:00
何か書けるものさえあれば 50秒

 ふたりの最初の出会い。考える猫猫とそれを見つける壬子。このちょっとすれ違いの構図はふたりの関係そのもの。


15:10-15:55
バレテーラ1 45秒

17:30-18:10
バレテーラ2 40秒

 壬子だって優秀なのだ。もてあそんでいるようで実は猫猫に夢中な壬子が面白い。


感想

 この作品の中心となる猫猫と壬子の出会い。これが第1話で伝えたいことだ。ふたりの関係性の深いところまでは描かれないが、面倒くさいことに関わりたくない猫猫と何かと絡む壬子、その構図はすでに出来上がっている。

 人さらいにさらわれて売られてきた少女と才色兼備の宦官のでこぼこコンビは、そのやり取りも楽しくテンポも良い。ふたりの知的レベルの高さもあって”聞いていられる”会話が心地よい。

 意外と重要な役割を担っているのが猫猫と仲の良い下女の小蘭である。世間の雑事には興味を示さない猫猫に後宮内のうわさ話を吹き込むのが彼女の役目だ。エピソードが始まる第一歩を彼女が担っている。

 後宮内で巻き起こる大小の事件を猫猫は考察し推理し解決する。その姿は必要以上にカッコよく描かれることはない。彼女は淡々と事件に出会い冷静に解決する。派手さはないが好感の持てる主人公と言えるだろう。

 対する壬子はその美貌ゆえ何をやっても目立つし、本人も自分の魅力を把握しそれを利用する。たいていの女性は壬子にメロメロなのだが、猫猫には彼の美貌も色気もまったく通用しない。それもこの作品の大きな魅力になっている。

 作画は美しく壬子や玉葉妃はとんでもなく美しい人物として描かれる。その中にあって猫猫の素朴で人間味のあるキャラクターはひときわ輝きを放っている。脇を固める人物もキャラが立っており、なるほど原作が人気あるのもうなずける。葬送のフリーレンと並んで今期マストと言える作品だろう。