[アニメ レビュー] CYBER CITY OEDO 808 DATA-3 紅の媒体(メディア)

CYBER CITY OEDO 808

 OEDOを舞台にした物語の第3弾。DATA-3は不老不死をテーマにした、大人のラブストーリーとなっている。落ち着いた空気が支配するなか、サスペンスやアクションシーンも盛りだくさんのエンターテイメントが楽しめる。

 今回の主人公はベンテンで、OEDOで起こった吸血鬼殺人事件の真相にせまってゆく。謎の美女、捜査の行く手を阻む者たち、影で暗躍する最後の大物。すべてが収束する展開と余韻の残る壮大なラストシーン。今回も志の高い良質のSFドラマが楽しめる。

 まさにジャパニメーションの金字塔と言っていい「CYBER CITY OEDO 808」の最後のエピソード。おおいに楽しもうではないか。

※本記事は2023年3月20日時点での視聴をもとにした記事です。


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DATA-3 紅の媒体(メディア)

 DATA-3の長さは40分50秒(2450秒)。独断で起承転結の4つに分割している。これ以降はネタバレ注意です



DATA-3(1) 紅の媒体(メディア)

 ある霧の夜ベンテンはバラの花びらと共に現れた、不思議な雰囲気の美女に遭遇する。少し会話を交わすとその美女は消えてしまった。OEDOで起こった連続吸血鬼事件を追って調査を始めた電警。聞き込みをしてまわるベンテンを待っていたのは、電脳ドランカーたちの罠だった。

 調査は難航したが、ベンテンは医療機関の名誉会長である西園寺修造に行き着いた。凍眠施設へ侵入したベンテンはピンチにおちいるが、西園寺の事件への関与を確信した。一方でゴーグルの解析により、吸血鬼事件が不老不死のウイルスによるものであると判明した。

 事件の解明が進むなか、ベンテンはケリーとの対決に直面しこれに勝利する。レミを追い詰めたセンゴクを止めるベンテン。ゴーグルは自ら開発したワクチンをベンテンに託し、すべての責任を負う覚悟を伝える。そしてレミは事件の黒幕である西園寺修造を追い詰めた。しかし西園寺は既に研究を完成していた。

 西園寺は生体実験により不老不死を手に入れていた。そのスピードやパワーに圧倒されるベンテン。しかしゴーグルの開発したワクチンによって西園寺を倒すことができた。命を終わらせたいというレミの願いを叶えるため、ベンテンは彼女を宇宙に送り出すのだった。

 DATA-3の見どころ

  • スピード感のあるアクションシーン
  • スリリングな展開
  • 生命のはかない美しさ

背景色つき文字で書かれたシーンは、シーンリプレイ対象のシーンです。



起 (118秒 + 482秒)

0-10
ガチャッ カシーン カシーン カシーン 10秒


10-1:58
OP:「Burning World 〜追憶のコマンド〜」三浦秀美 108秒


1:58-2:25
赤い花びらの中にたたずむベンテン 27秒

2:25-3:00
謎の美女 35秒

3:00-3:30
こうして出会えたから 30秒

3:20-4:00
いつかは終わりがくる 40秒

4:00-5:00
迫りくる謎の影 60秒

5:00-5:30
バキッ 30秒

5:30-5:50
ヴアァァァ 20秒

5:50-6:30
吸血鬼事件 40秒

6:30-7:20
解決できればそれでいい 50秒

7:20-7:40
残された謎のパスワード 20秒

7:40-8:00
不死の悲劇 20秒

8:00-8:30
ひと晩十回は保証するネ 30秒

8:30-9:30
難航する調査 60秒

9:30-10:00
ドランカーの罠 30秒


 吸血鬼事件の解決のため、ベンテンが調査を始めるパート。

承 (605秒)

10:00-10:30
焼かれるベンテン 30秒

10:30-11:00
さすが素早い 30秒

11:00-11:40
ケリーの忠告 40秒

11:40-12:30
突き止めた 50秒

12:30-13:02
闇学者の口座 32秒

13:02-13:30
西園寺修造 28秒

13:30-14:40
誰彼かまわず金をばらまいていた 70秒

14:40-15:00
証拠が繋がった 20秒

15:00-16:00
高軌道エレベーター 60秒

16:00-16:30
マスダ=レミ 30秒

16:30-17:10
薔薇の花びら 40秒

17:10-18:00
追い詰められる 50秒

18:00-18:40
西園寺の罠? 40秒

18:40-19:00
300年前のデータ 20秒

19:00-19:30
不老不死のウイルス 30秒

19:30-20:05
絶えず血液が必要になる 35秒


 調査により吸血鬼事件の真相にせまるパート。

転 (600秒)

20:05-20:45
借りは返した 40秒

20:45-21:05
星の並びのせい 20秒

21:05-21:50
借りがなければ 45秒

21:50-22:30
マスダ=レミはあの女性だった 40秒

22:30-23:55
先を越された 25秒

23:55-23:25
事件解決の糸口 30秒

23:25-23:50
水没した300年前の都市 25秒

23:50-24:55
レミがうけた吸血の呪い 65秒

24:55-25:35
レミをかばうベンテン 40秒

25:35-26:00
リミットは1時間 25秒

26:00-26:15
さすがゴーグル 15秒 6:11

26:15-27:10
高軌道エレベーターへ 55秒 7:06

27:10-27:55
狙いは西園寺修造 45秒 7:51

27:55-28:30
馴れ合わない3人 35秒 8:26

28:30-29:15
レミの復讐から身を守るためのワクチン 45秒 9:11

29:15-29:55
不老不死への執着 40秒 9:51

29:55-30:05
実験は成功した 10秒 10:01


マスダ=レミの不老不死ウイルス開発への復讐のパート。

結 (490秒  + 155秒)

30:05-31:05
真の吸血鬼は西園寺 60秒

31:05-31:35
欲望による生体実験 30秒

31:35-32:05
圧倒的な強さ 30秒

32:05-33:05
逃げるベンテン 60秒

33:05-34:05
宇宙へ放逐 60秒

34:05-34:35
再生している! 30秒

34:35-35:05
永遠の命などない 30秒

35:05-35:35
やったか!? 30秒

35:35-36:00
崩壊してゆく西園寺 25秒

36:00-36:25
レミの願い 25秒

36:25-36:55
最後の口づけ 30秒

36:55-38:15
永遠の旅路へ 80秒


38:15-40:50
ED:エンディング「愛しているかもしれない」三浦秀美 155秒


 西園寺を倒しレミを眠りにつかせるパート。

シーンリプレイ

3:20-4:00
いつかは終わりがくる 40秒

 この物語を象徴する言葉。永遠とも思われる命にも悲劇にも終わりはやってくる。


17:10-18:00
追い詰められる 50秒

 迫力のアクションシーン。スルスルと糸で登っていくベンテンの身のこなしが気持ちいい。


25:35-26:00
リミットは1時間 25秒

 センゴクに蹴られるヴァーサスw「だって……」がかわいい。


33:05-34:05
宇宙へ放逐 60秒

 こういう微グロシーンにこだわるところがいい。OVAアニメあるあるだ。


36:25-36:55
最後の口づけ 30秒

 おとぎ話とは逆に、王子様のキスでお姫様は永遠の眠りにつく。悲しくも美しいレミの願いを叶えるラスト。


感想

 儚くも美しい命の物語である。およそ人生のすべてを手に入れたと言える西園寺が、最後に欲したのは永遠の若さだった。その研究の過程で実験台にされ、吸血鬼になってしまったのがマスダ=レミだ。

 霧のOEDOで薔薇の花びらとともに現れたレミはベンテンと出会う。美形どうしの哲学的な会話シーンはそれだけで絵になる。冒頭でのふたりの会話は、そのまま今回のエピソードのテーマを言い表している。

 最後は永遠の若さを手に入れた西園寺の醜い断末魔と、命を終わらせる旅に送り出される美しいレミが対照的に描かれる。終わりがあるからこそ命は輝く。宇宙へ旅立つレミの姿が印象的で、私たちの心に訴えかける余韻がここちよい。

 今回は捜査の過程でベンテンが暴走し始め、センゴクと戦うことになる。ベンテンが追い詰められたところで、ゴーグルの手助けが入りベンテンはレミを追いかける。

 その後のことは描かれていないが、3人の関係が少しも変わらないであろうことは想像に難くない。もともとはぐれ者の犯罪者たちだ。目的が一緒なら協力するし、道を違えたならぶつかって当然。そのドライさがカッコいいし、それを匂わせるキャラクター作りの上手さが光る。

 そして最終決戦はやっぱり高いところで行われる。ここは全3エピソードに共通する部分だ。都市が横に広がるには限界があり、いずれ人類は空に手を伸ばすしか無いだろうという未来を反映したものだろう。

 そして重要なのは、最後は人間の意地や情熱が事件を解決するという部分である。どんなに時代が進んでも、その部分だけはずっと変わらない。人の情熱こそが人を前へと進む原動力なのだ。

 まさに情熱が生み出したといっていい「CYBER CITY OEDO 808」もこれで最後。個人的には「AKIRA」や「攻殻機動隊」を上回る名作だと思っている。かつては視聴するのもハードルが高かったのだが、令和の今ではサブスクで簡単に視聴できる。若い方には敬遠されそうなのは百も承知だが、日本のアニメーションのひとつの到達点として、この作品を楽しんでもらえたらなぁと思う。