[アニメ レビュー] おしえて北斎!-THE ANIMATION- 1話 「努力なんてめんどくさい!」
おしえて北斎!-THE ANIMATION-
おしえて北斎!は主人公のダメダメ女子高生・岡倉てんこりんを通して歴史上の名絵師たちから説教してもらえる痛快アニメである。
表向きはてんこりんが絵師たちから絵描きの極意を教えてもらうというカタチであるが、その内容は私たちにとっても有益な”教え”ばかりである。
絵師たちはホストやラッパーなど現代風にアレンジされたキャラクターとして登場し、特に”やる気”を起こさせてほしくもない方や創作に興味のない方でも、面白おかしく絵師たちの作品や哲学などを学べるエンターテイメントとして楽しめるだろう。
絵師の名前は知らなくても見覚えのある作品ばかりが登場するし1話10分程度で10話までなので、時間の無い方でも最終話まで無理なく観れるオススメのアニメだ。
※本記事は2021年3月16日時点での視聴をもとにした記事です。
1話 「努力なんてめんどくさい!」
1話の長さは11分11秒(671秒)。独断で起承転結の4つに分割している。これ以降はネタバレ注意です。
<登場人物>
岡倉 てんこりん(おかくら てんこりん)
絵が上手になりたい女子高生。しかし努力するのが嫌い。楽してうまくなりたい。
雷神(らいじん)
てんこりんを応援するために歴史上の有名絵師を召喚してくれる。
尾形 光琳(おがた こうりん)
あの「風神雷神図屏風」を描いた絵師。雷神に召喚されて、てんこりんにアドバイスをする。
※背景色つき文字で書かれたシーンは、シーンリプレイ対象のシーンです。
起 (108秒)
0-20 双眼鏡でのぞく お届け物を受け取るてんこりん 20秒
20-55 待望の石膏像 デッサン開始!やめた 35秒
55-1:15 勝手に買った ナマゾンうざい 20秒
1:15-1:48 絵師になりたい 夢なんて持つな 33秒
承 (95秒 + 69秒)
1:48-2:20 ググろう デッサン甲子園 32秒
2:20-3:23 デッサン甲子園に入賞すれば 63秒
3:23-4:32 オープニングテーマ 69秒
どこまでも怠慢なてんこりん。しかし誰しもが身に覚えがあることだ。オープニングテーマの曲調や映像は90年代あたりを思い起こさせる。承では、主人公の今後の目標となるデッサン甲子園が提示される。
転 (123秒)
4:32-4:36 タイトル 4秒
4:36-4:50 進まない練習 楽したい 14秒
4:50-5:18 観るだけ練習 風神雷神図屏風 28秒
5:18-5:30 神様おねがい 12秒
5:30-6:00 雷神様キター おねがいします 30秒
6:00-6:20 そうじゃない 人物に会う 20秒
6:20-6:35 尾形光琳さま 15秒
描くことをやめ観るだけになるてんこりん。ついには神頼みになってしまう。念願の神様が現れるも、ちょっと思惑が外れる。他力本願ではなく有名絵師に会ってアドバイスをもらうのだ。転では、てんこりんを応援するために神様が登場する。
結 (208秒 + 68秒)
6:35-7:12 召喚 尾形光琳 37秒
7:12-7:35 才能が無い人が上手くなる方法 23秒
7:35-7:50
絵は練習 15秒
7:50-8:25 おぼっちゃま光琳 アート系習い事 35秒
8:25-8:56 8歳すごい 31秒
8:56-9:16
練習量 やくそく 20秒
9:16-9:40 いつでもご指名待ってます 24秒
9:40-10:00 いまでしょ 20秒
10:00-10:03 えー 3秒
10:03-11:07 エンディングテーマ 64秒
11:07-11:11 絵師のお言葉 4秒
尾形光琳が登場し、てんこりんにアドバイスをする。ホストとして描かれている光琳だが、生い立ちの話やアドバイスはきちんとしたもの。てんこりんもさっそく練習を始めている。結では、尾形光琳のキャラクターを借り、絵師になるために大切なことを伝えている。
シーンリプレイ
7:35-7:50
絵は練習 15秒
8:56-9:16
練習量 やくそく 20秒
”才能=練習量”名言である。日々の積み重ねが近道なのだ。
感想
てんこりんには他人とは思えないほど親近感を感じる。何かを始めようとして道具を揃えたけれど、中途半端に終わってしまった経験がある方は多いだろう。
1話の教訓は”才能イコール練習量!”というものであるが、最終話に至るまでに出会う言葉は私たちが人生で既に出会ってきたものが多い。
かわいらしい絵柄でギャグテイストの皮をかぶってはいるが、これらの言葉たちは私が今までの人生で素通りしてきたものでもあるのだ。非常に耳が痛い。
歴史上の絵師たちが励ましてくれるというのも言葉の説得力が増して面白い設定といえるが、アニメのスタッフの熱量も相当に感じられた。そりゃそうだろう。この人たちは”夢をかなえた”もしくは”夢に向かって邁進中”の人たちなのだ。
ラフな風味で描かれた線は崩れることなく動いているし、オープニングテーマやエンディングテーマも個性的で楽しい。声優の演技だってしっかりとキャラクターに命を吹き込んでいる。そう、この作品自体が私たちにメッセージを投げかけているのだ。
「楽しいよ、いっしょに創ろうよ」と。
ともすれば説教臭くなってしまいそうな内容をアニメというカタチで分かりやすく楽しく表現している「おしえて北斎!」は、日本だから生み出せた秀逸なコンテンツだと思う。
何かを始めようとして思い切って高価な道具を買うのは誰にでもあることだ。そしてすぐやめてしまうのも。周囲に反対されている状況もよくあること。起では、ありがちな事例で主人公がどこにでもいる少女であることを描いている。