[アニメ レビュー] キボウノチカラ~オトナプリキュア’23~ 第3話 ココロノキオク

キボウノチカラ~オトナプリキュア’23~

 タイトルが示しているとおり、大人向けのプリキュア作品である。大人向けということでアクションも派手目で拳で語る刺激的なシーンがカッコいい。キャラクターも成長し、オシャレなグルメやアルコールも登場する。お年頃なので彼氏がいたりもする。

 この世界観は”彼女たちの可能性のひとつ”ということらしく、パラレルワールドやメタバース的に楽しんでほしいという意図だろう。なので彼氏がいてもショックを受けなくていい。この世界に限っての話だ。

 物語中では成長したキャラクターたちが自らが直面する問題に懸命に立ち向かう姿が描かれている。あの頃と同じように闘う彼女たちの姿に勇気づけられる社会人も多いだろう。

※本記事は2023年11月9日時点での視聴をもとにした記事です。


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第3話 ココロノキオク

 第3話の長さは25分15秒(1515秒)。独断で起承転結の4つに分割している。これ以降はネタバレ注意です

<登場人物>

水無月 かれん(みなづき かれん)
かつては生徒会長だった優等生。現在は医師として病院で働いている。
美々野 くるみ(みみの くるみ)
パルミエ王国の妖精。人間界では派遣の秘書として働いている。
篠崎 ナナ(しのざき なな)
足の怪我でかれんの勤める病院に入院している高校生。リハビリに消極的で職員には反抗的。


第3話 ココロノキオク

 医者のかれんが今日から担当することになった篠崎ナナ。リハビリには消極的で反抗的。かれんはみんなと集まった飲み会でもナナのことが気にかかるようだ。

 自分の仕事に対する姿勢に不安を覚えるかれん。一緒に食事をしたくるみも上司のせいで飲みすぎてダウンしてしまった。介抱し寝かしつけたくるみに、医者を夢見たときの気持ちを思い出させてもらった。

 なんとかナナの気持ちを理解しようとするかれん。そんなかれんの態度にナナの心も次第に氷解してゆく。そしてやっとナナは抑え込んだ不安と苦しみをかれんに打ち明けてくれたのだった。

 病院がシャドウが発生した。どんどんシャドウにのまれてゆく患者たち。みんなを守りたい一心で走り回るかれんに再びプリキュアのチカラが宿った。同じく変身したミルキィローズとともにシャドウを撃退。ナナとの信頼も築くことができて、めでたしめでたし。

 第3話の見どころ

  • 社会と戦っているみんな
  • 酔い潰れるくるみ
  • かれんとくるみの変身

背景色つき文字で書かれたシーンは、シーンリプレイ対象のシーンです。



起 (287秒)

0-15
ロゴ 15秒

15-40
篠崎ナナ 25秒

40-1:11
反抗的な態度 31秒


1:11-2:41
OP:「ときめき」いきものがかり 90秒


2:41-3:35
変身できちゃったのぞみ 54秒

3:35-4:10
中学生に戻りました 35秒

4:10-4:47
ナナを気にかけるかれん 37秒


 医者のかれんとリハビリに消極的なナナのパート。

承 (383秒)

4:47-5:20
ナナを説得するかれん 33秒

5:20-6:15
ナナを怒らせてしまうかれん 55秒

6:15-7:10
厄介者あつかいのナナ 55秒

7:10-7:30
芽生える不安 20秒

7:30-8:00
ご飯も忘れるほどに 30秒

8:00-8:30
愚痴をこぼすくるみ 30秒

8:30-9:30
飲み過ぎた 60秒

9:30-10:00
てぇてぇ&かわぇぇ 30秒

10:00-10:40
大好き 40秒

10:40-11:10
夢の始まり 30秒


 仕事に対する不安のパート。

転 (290秒)

11:10-11:30
リハビリにも付き合いたい 20秒

11:30-11:40
は? 10秒

11:40-12:30
ナナに寄り添おうとするかれん 50秒

12:30-13:05
しっかりキャラでした 35秒

13:05-14:00
みんなが助けてくれた 55秒

14:00-14:55
知りたかった 55秒

14:55-15:50
ナナの気持ち 55秒

15:50-16:00
なぐさめるかれん 10秒


 ナナの心を開くパート。

結 (430秒 + 115秒)

16:00-16:30
心の闇に飲まれる 30秒

16:30-16:55
めんどくさーい 25秒

16:55-17:10
くるみも気づいた 15秒

17:10-18:00
次々に襲いかかるシャドウ 50秒

18:00-18:25
きたー 25秒

18:25-19:15
キュアアクア 50秒

19:15-19:40
数が多すぎる 25秒

19:40-20:35
ミルキィローズ 55秒

20:35-21:30
つよーい 55秒

21:30-21:45
みんなもとに戻った 15秒

21:45-22:10
かれん先生! 25秒

22:10-22:40
このふたりは…… 30秒

22:40-23:10
SSの舞ちゃんと咲ちゃん 30秒


23:10-24:40
ED:「雫のプリキュア」キュア・カルテット 90秒


24:40-25:10
次回予告 20秒

25:10-25:15
エンドカード 5秒


 かれんとくるみがシャドウをやっつけるパート。

シーンリプレイ

10:40-11:10
夢の始まり 30秒

 大切な相手に寄り添ってあげたいと願う心。それがかれんの夢の始まりだった。


18:00-18:25
きたー 25秒

 変身前であっても誰かを守りたいというかれんの心は強い。かっこいい!


19:15-19:40
数が多すぎる 25秒

 ガンガン殴る蹴るのアクションシーン。オトナプリキュアならではの見どころだ。


感想

 この作品のターゲットは社会人の20代半ばあたりの女性といったところだろうか。劇中のキャラクターと同じくらいの年齢層を狙っているようだ。実は私も「Yes!プリキュア5」をリアルタイムで視聴しており、キャラクターが動いている姿を見ていると忘れていた記憶が呼び起こされた。みんな立派に成長し、元気そうでなによりだ。

 大人になったプリキュアたちはそれぞれに夢を叶えて、あるいは夢に向けて頑張っている。彼女たちがいつも集まるカフェバーTimeは小綺麗で、出される料理もおしゃれで映えるものばかりだ。そう、間違いなく彼女たちは現実の世界で生きているのだ。

 そんな等身大の彼女らは普通の女性としてぶち当たるような壁にぶつかり、普通の人間として悩んだりもがき苦しんでいたりする。それでも彼女たちはあきらめたりしない。過去に仲間とともに闘った経験を糧にして、あるいは仲間との思い出を糧にして、立ちはだかる壁に立ち向かってゆく。

 シャドウという心の闇が具現化したような怪物が現れ、彼女たちはプリキュアに変身しシャドウをやっつける。変身中の彼女たちは中学生の姿に戻る。それは彼女たちがかつて抱いていた強い気持ちを再び思い出した象徴だ。今回はかれんの夢の出発となった”守りたい”という気持ちがそれだ。

 この作品はどうしようもなく生きづらいこの時代に思い悩む若者たちへのエールなのだ。周囲の無理解、どうしようもない孤独と不安、その心の隙間にひそむシャドウ。「そんなものに負けないで」「プリキュアだったあの頃みたいにやっつけちゃえ」そんなメッセージが込められている。この作品を通して若者たちの不安に寄り添いたい、なんとか手助けをしたいという気持ちが伝わってくる。

 これはプリキュアがずっと子どもたちに寄り添ってきたからこそ成立する作品だ。いま思い悩んでいる大人になったばかりの子どもたちに、プリキュアは今でもみんなと同じように泣いて笑って闘っているんだと、だからみんなもキボウを捨てないで。そんな思いが届いてくれるといいのだけれど。