[アニメ レビュー] プレイタの傷 第8話 「夜明け」

プレイタの傷

 プレイタの傷はプロジェクトスカードというメディアミックスを展開しているプロジェクトのアニメ部門の作品である。

 前提となる世界観や設定などの説明が十分とはいえず1話で切ろうかと思ったのだが、何かひきつけるものがあり視聴を続けていた。視聴を続けた結果、世界観や設定やキャラクターが理解できてくれば面白い作品だという結論に至った。

 設定の複雑さなどで視聴を敬遠された方もいるかも知れないので、そこらへんの説明に力を入れてレビューしてみたいと思っている。最初はどれも同じようなキャラクターに見えるかも知れないが、観ているうちに区別ができるようになるので安心して観てほしい。

 物語の舞台は暁特区という商業都市で、現在は抗争が激しく自治が安定していない。特区内では”アルテミス””公安特務””ヘリオス”という組織が活動しており、時には対立し戦闘になることもある。また暁特区外の”ダスク”と呼ばれる組織から襲撃を受けることもある。

 この世界には”スカード”と呼ばれる神の力を封じたタトゥーが刻まれた存在がおり、その強大な能力で戦闘を有利にすすめる。体力を消耗し弱った宿主のタトゥーは暴走することもある。

<アルテミス>
暁特区のを支配する企業組織。リーダーの由岐アズサとその双翼と呼ばれる鷲峰ランと烏末ジンを中心に特区内の治安を維持している。

<公安特務>
警視庁公安部総務課スカード対策特務係の略称。人員は龍眞コウガと虎尊イツキの2名。どちらもスカードである。

<ヘリオス>
生前の英雄・嵐柴エイジが在籍した暁特区のトラブルシューター(便利屋)。現在は嵐柴カズマと茶木縞カガミに加え、エイジのタトゥーを受け継いだ本作の主人公・甲斐ヤマトが在籍している。

※本記事は2021年3月25日時点での視聴をもとにした記事です。

第8話 「夜明け」

 第8話の長さは23分45秒(1425秒)。独断で起承転結の4つに分割している。これ以降はネタバレ注意です

 ダスクとの戦闘で傷ついたカズマは戦闘不能。ヘリオスを狙うダスクは暁特区の貧民街B1(ビーワン)から侵攻してくる。

<登場人物>

–<ヘリオス>–

甲斐 ヤマト(かい やまと)
本作の主人公。ケルベロスのスカード。

茶木縞 カガミ(さきしま かがみ)
元大企業の御曹司。ウロボロスのスカード。

嵐柴 カズマ(あらしば かずま)
英雄・嵐柴エイジの弟。まだヤマトを認めていない。ケットシーのスカード。

–<アルテミス>–

由岐 アズサ(ゆき あずさ)
アルテミスのリーダー。美少女。アルテミスのスカード。

鷲峰 ラン(わしみね らん)
アズサに忠誠を誓うアルテミスの双翼のひとり。フレスヴェルグのスカード。

烏末 ジン(からすえ じん)
アズサに忠誠を誓うアルテミスの双翼のひとり。モリガンのスカード。

–<公安特務>–

龍眞 コウガ(たつま こうが)
怒ると怖いおじさん。ファフニールのスカード。

虎尊 イツキ(とらたか いつき)
戦闘のために育てられたため感情が薄い。ヤマトに出会い内面に変化が起こった。キュウキのスカード。

–<ダスク>–

鞍馬 ホクト(くらま ほくと)
ダスクのリーダー。ボアレスのスカード。

–<その他>–

フェンリル
他のスカードを襲う謎のスカード。

背景色つき文字で書かれたシーンは、シーンリプレイ対象のシーンです。

起 (140秒 + 215秒)

0-5 ロゴ 5秒

5-50 ダスクの進行 日本語でお願いします 45秒

50-2:20 オープニングテーマ 90秒


2:20-3:15 計画的なダスクの侵攻 本体が弱るとタトゥーが暴れる 55秒

3:15-4:20 B-1はヤマトの街 デレるカズマ 65秒

4:20-5:55 ヤマトの決意 動き出すアルテミスの双翼 95秒


 エイジの後継者として認められていないヤマトの現状。タトゥーは強力だが万能ではない。物量作戦で消耗させられれば暴走を招く。外から好き勝手されるのはアルテミスもよく思っていない。起では、ケルベロスの後継者としてのヤマトの決意と覚悟、アルテミスのプライドと参戦。それぞれの戦いへの思いが描かれる。

承 (305秒)

5:55-6:25 ダスクの一般兵 なめられてるヤマト 30秒


6:25-6:50
弾が当たらない 蹴ってから撃つ 25秒

6:50-7:00 かっこいいポーズ 10秒

7:00-7:35 ヘリオスとダスクの小競り合い 公安特務の出番じゃない 35秒

7:35-8:10 さすがに数が多い 住民を避難させるカガミ 35秒

8:10-8:35 住民に信頼されているヘリオス 25秒

8:35-8:55 ヤマトに手こずる 少しイラつくホクト 20秒

8:55-9:20 光るタトゥー エイジがいなくても 25秒

9:20-10:15 カガミだって弱いわけじゃない 55秒

10:15-11:00 さすがにつらいヤマト 煽る雑魚 45秒

 タトゥーの能力で兵士を圧倒するヤマト。B-1は不法市民なので特務は動かない。ヘリオスを心配する少年の存在はヘリオスが愛されている証。承では、善戦するも次第に物量で追い詰められていくヘリオスが描かれている。

転 (300秒)

11:00-11:15 助っ人登場 15秒

11:15-12:00 暁特区はアルテミスのもの ダスクは荒らし 45秒

12:00-12:30 これがアルテミスの双翼ランとジン 30秒

12:30-13:00 ヤマトとアズサの邂逅 30秒

13:00-13:15 双翼に全幅の信頼を置くアズサ 15秒


13:15-13:50
今は月が統べる刻 アルテミス 35秒

13:50-14:15 無敵のアズサ 残業延長 25秒

14:15-14:40 エイジへの借り 25秒

14:40-16:00 それぞれの思惑 80秒

 ランとジンの登場でピンチを脱出。さらにアズサの登場で一気に形勢が逆転する。アズサさんカッコいい。ヤマトを助けるというキーワードに集まるキャラクターたち。転では、ピンチだったヘリオスが一気に逆転する。ヤマトに人が集まる理由を少しづつ魅せることで”英雄”への過程を描いている。

結 (345秒 + 120秒)

16:00-16:30 手負いのホクト 計算を間違えた 30秒

16:30-17:00 フェンリル 30秒

17:00-18:00 夜明け 芽生える友情 60秒

18:00-18:30 アズサの消耗 30秒

18:30-19:40 アズサを守るアルテミスの双翼 70秒

19:40-20:47 コウガとイツキの関係 67秒

20:47-21:45 英雄の帰還 見下ろす影 58秒


21:45-23:15 エンディングテーマ 90秒

23:15-23:45 次回予告 30秒


 ホクトを始末するフェンリル。夜明けとともに終わる戦闘。双翼の前でだけ弱みをみせるアズサさま。コウガとイツキの関係にも少し変化が現れる。多くの人に助けられ英雄は帰還する。結では、多くの人の協力によって勝利し、”エイジの後継者”ではなく”甲斐ヤマト”として人から信頼を得て、英雄に近づいてゆくヤマトの姿を描いている。

シーンリプレイ

6:25-6:50
弾が当たらない 蹴ってから撃つ 25秒

構成:1 2 1 2 2 2 2 2 3 2 1 4


1秒
スタート

3秒
撃てー

1秒
正面突破

2秒
跳んで

2秒
キックで

2秒
手前に倒れる

2秒
横に流れて

2秒
やり返す

3秒
バンバン倒す

2秒
ダイナミックに近づいて

1秒
2発ぶち込む

4秒
これも手前に倒れる

CGなので作画では魅せることが難しいので画面構成やカットで魅せる。スピード感があって気持ちいい。


13:15-13:50
今は月が統べる刻 アルテミス 35秒

構成:1 3 4 8 1 1 1 5 5 2 1 2


1秒
スッ

3秒
アングルがエッチ

4秒
かわいい

8秒
優雅に放つ

1秒
違う角度から

1秒
今度は遠くから

1秒
画面奥へ飛ぶ光

5秒
矢が広がる様子

5秒
カメラがまわりこんで矢が飛んでくる

2秒
みんなやられる

1秒
ヴァー

2秒
壮大な一撃

CGモデルを活かしたカメラのまわりこみや光の演出が美しい。アズサさん美しい。


感想

 CGで創られている画面は全体的に少し物足りなく感じるし、アニメというよりゲームのリアルタイムレンダリングムービーを観ている感が強く、美形のキャラクターも最初はみんな似たようなキャラクターに見えてしまう。

 しかし、この作品には絶対的な”強み”がある。それは”好き”のカタマリで出来上がっているということだ。世界観やキャラクターや車などの小物に至るまで、この作品を構成する全てのパーツは”好き”だから存在している。

 ”かわいい”キャラクター全盛のこの時代に”美しい”キャラクターを全面に押し出しているのも面白い。美形のキャラクターたちの発する気恥ずかしい”くさいセリフ”も趣味全開で好感ポイントだ。

 中二病まるだしの設定や用語も、どこかのアーティストのMVで観たことあるようなOPの画面も、美形ばかりのスカードたちも、カッコいいセリフの応酬も、「あぁ、好きなんだなぁw」と思わず笑みがこぼれてしまう。

 自分の好きな作品を一生懸命に説明して布教してくる友人のような微笑ましさが画面から伝わってくる。プレイタの傷はそんなアニメーションなのだ。

 中二病が大好きな方はもちろん、画面を見て敬遠していた方も、微笑ましい気持ちで一度観てはいかがだろうか?意外とノリノリで観てしまうかも知れない。

 ちなみに私が好きなキャラクターは唯一といっていい女性のアズサさんだが、彼女を守るアルテミスの双翼という呼称もウズウズする。特に”双翼”のあたりが好きだ。