[アニメ レビュー] SK∞ エスケーエイト 第4話 「愛のマタドール、愛抱夢」

SK∞ エスケーエイト

 SK∞ エスケーエイトはスケートボードを題材としたアニメである。沖縄に住むスケートボード好きの少年・喜屋武暦とカナダからの転校生・馳河ランガがスケートボードを通して友情を深め成長してゆく物語だ。

 物語の世界では「S](エス)と呼ばれるスケートボードのレースが夜な夜な開催されている。そのレースでは”ビーフ”と呼ばれる廃鉱山の山頂から廃工場までのルール無用の決闘が行われる。

 スピード感のある迫力のレースシーンが楽しめるだけでなく、個性的なキャラクターたちの人間関係もしっかり描かれており、見どころの多いアニメといえるだろう。

 オープニングテーマのカッコいいアニメーションも素晴らしいが、アイキャッチやエンディングテーマでのコミカルなスケートボードの描写はスケートボードに対する愛が感じられ、あたたかく楽しげな雰囲気が気分を盛り上げてくれる。

 題材としては男性向けに思えるが、キャラクターたちのドラマに関しては女性の方が楽しめそうな要素が多い。性別に関係なく楽しめるアニメだと思う。

※本記事は2021年2月19日時点での視聴をもとにした記事です。

第4話 「愛のマタドール、愛抱夢」

 第4話の長さは23分40秒(1420秒)。独断で起承転結の4つに分割している。これ以降はネタバレ注意です

 これまでシャドウMIYA(ミヤ)とのビーフをしてきたレキとランガ。第4話では伝説のスケーター・アダムとの対決となる。

 第3話の最後で「君にはもう何もない」とMIYAを侮辱したアダムに対しレキが宣戦布告するところから第4話は始まる。迫力のビーフとアダムの気持ち悪いスケーティングに注目だ

<登場人物>

喜屋武 暦(きゃん れき)
スケートボード大好きな沖縄に住む高校生。赤い髪が特徴。「S」でのニックネームはレキ

馳河 ランガ(はせがわ らんが)
カナダから沖縄に引っ越してきた。カナダではスノーボードをやっていたが、レキにスケートボードを教えてもらいスケートボードに夢中になる。「S」でのニックネームはスノー

神道 愛之介(しんどう あいのすけ)
国会議員をしているが実は伝説のスケーター。闘牛士のようなコスプレでレースに参加する。愛のマタドールという異名を持ち、「S」では愛抱夢(アダム)と呼ばれている。

背景色つき文字で書かれたシーンは、シーンリプレイ対象のシーンです。

起 (191秒 + 381秒)

0-50 
アダムへの宣戦布告 50秒

50-1:41 
気持ちの形 ランガを賭けて 51秒

1:41-3:11 
オープニングテーマ 90秒


3:11-3:36 
お互いさま 仮面はカッコいい 25秒

3:36-4:00 
愛抱夢は「S」の創始者 負けなし 24秒

4:00-4:30 
ジョーはパワー系スケーター 30秒

4:30-5:25 
愛のマタドール お金足りません  55秒

5:25-6:20 
愛之介坊ちゃま おばさまがた 55秒

6:20-7:00 
レキはやるつもり MIYAデレる 40秒

7:00-7:15 
ひろみちゃん 店長かわいい 15秒

7:15-7:45 
シャドウの秘密 ばらすよ 30秒

7:45-8:45 
MIYAと愛抱夢の出会い ラブハック 60秒

8:45-9:00 
チェリーとジョー そそる相手 15秒

9:00-9:32 
愛抱夢に挑む なかよしこよし 32秒


 初っ端から気持ち悪い愛抱夢。おばさまがたが愛抱夢の表の生活での抑圧の象徴として描かれている。かつて仲間であったジョーとチェリーはどうして袂を分かったのか、謎が深まる。起では、レキと対決する謎多きスケーター愛抱夢の説明をしている。

承 (192秒)

9:32-10:00 
すごいスピード 死ぬ気で覚えろ 28秒

10:00-10:35 
何度も挑戦 35秒

10:35-11:11 
ラブハックとは? できるわけない 36秒

11:11-11:55 
効率と量 なかよしMIYAとシャドウ 44秒

11:55-12:30 
隠れて練習するレキ なんとなく 35秒

12:30-12:44 
アイキャッチ 14秒


 何度失敗してもあきらめないレキ。なんとなくレキの考えが分かるランガ。協力するMIYAとシャドウと深まる友情。コミカルな4コマのようなアイキャッチは、スケートやキャラクターに対する愛情を感じる。承では、少ない可能性に挑むことで深まる友情を描いている。

転 (221秒)

12:44-13:01 
犬のくせに 15分で終わらせる 17秒

13:01-13:20 
レキの不安 19秒

13:20-13:50 
潰すためのスケート 30秒

13:50-14:08 
空虚な会話 18秒

14:08-14:50 
愛抱夢は凄い相手 心配するMIYA 42秒

14:50-15:12 
やりたいからやる 22秒

15:12-16:25 
愛抱夢の登場 なんとジョーとチェリーも 73秒


 どんどん不安がつのる愛抱夢とのビーフ。シャドウが愛抱夢との違いを強調するのはヒールとしての矜持があるから。相手を潰すこととエンターテイメントとしての”悪”は別物ということ。レキの空元気が画面から伝わる”サムい”会話。不穏なBGMが底で流れる不安を示している。「できるできないじゃない、やりたいからやる」レキを支える大事な思想。ランガを見つめる愛抱夢、気持ち悪い。転では、不安に襲われつつもなんとか自我を保つレキの姿が描かれている。

結 (335秒 + 115秒)

16:25-16:51 
スタートしない愛抱夢 なめられてる 26秒

16:51-17:38 
タバコのウンチク 自由だ 47秒

17:38-17:50
愛抱夢スタート 12秒

7:50-18:10 
速い 20秒

18:10-18:25 
おぅいつぅーいたっ 本当の「S] 15秒

18:25-18:35 
はやくコイツから離れないと 10秒

18:35-18:51
ぎゃああああ 恐怖は最高のスパイス 16秒

18:51-19:11 これが愛抱夢 追いかけるランガ 20秒

19:11-20:00 戦意喪失しかけるレキ 折れない心 49秒

20:00-20:20 みんなとの練習の成果 20秒

20:20-21:00 愛抱夢もやり返す 出るかラブハック 40秒

21:00-21:36
これがラブハック 36秒

21:36-22:00 
レキ負傷 愛抱夢きもち悪い 24秒


22:00-23:30 
エンディングテーマ 90秒

23:30-23:55 
次回予告 25秒

 スケートボードだけどジェットコースターのような展開。タバコを吸ってじらしからのロケットスタート。後頭部が削れそうなコーナリング。みんなとの練習で身につけた技で挽回、からのラブハック。結では、愛抱夢の圧倒的なスケーティングで一気にエンディングへ。次回のビーフへの期待も高まる。

シーンリプレイ

17:38-17:50
愛抱夢スタート 12秒

構成:2 3 3 4


それまでゆっくりタバコを吸っていた愛抱夢が動き出す緩急のあるシーン


2秒
突然動く

3秒
よーい

3秒
どーん いくらなんでも速すぎ

4秒
カーブの曲がり方もすごい

まさにロケットスタート。感覚が一気に伝説のスケートを目撃した気分に引き込まれる。


18:35-18:51
ぎゃああああ 恐怖は最高のスパイス 16秒

構成:2 1 1 1 2 1 2 3 3


レキが愛抱夢に思うがままにされるシーン


2秒
離してくれない

1秒
突き放され

1秒
危ないぶつかる

1秒
て思うでしょ

2秒
大丈夫だよ

1秒
地面すれすれじゃん

2秒
目ぇ開けられるかよ

3秒
こわいこわいこわい

3秒
やばいやばいやばい

優しくダンスを教えるかのような愛抱夢の振る舞いと危険なスケーティングが相まって恐怖が感じられる。面白いけども。


21:00-21:36
これがラブハック 36秒

構成:3 1 2 2 2 3 3 1 3 2 2 2 2 1 7


愛抱夢の伝説の必殺技であるラブハックのシーン


3秒
ずっと坂道

1秒
足をずらして

2秒
決めポーズ

2秒
意外とゆっくりなターン

2秒
前に勢いをつける

3秒
せまる

3秒
止まれない恐怖

1秒
なんかポーズとってるぅー

3秒
もうワケワカメ

2秒
恐怖に勝てない

2秒
吹っ飛ぶスローモーション

2秒
すれ違い アップで満足げな表情

2秒
吹っ飛ぶスローモーション

1秒
叫ぶランガ

7秒
舌なめずり けっこう旨かった

ジリジリと迫る愛抱夢の不気味さ。レキと愛抱夢の画がスピーディーに入れ替わるカットからのスローモーション。ラブハックのヤバさがよく描かれている。気持ち悪いが。


感想

 エスケーエイトはビーフの作画やキャラクターが魅力的な作品である。私がこの作品をどこか懐かしいと感じたのは、お話のフォーマットがプラモデルやゲームを題材にしたかつての少年コミックと似ているからだろう。

 女性キャラクターの割合が少なく主に男性の友情や勝負を描くものだ。当時は小学生以下の男児向けのフォーマットであったはずだが、いつの間にかそれは女性が楽しむものへと昇華された。

 いつの頃からか、かわいい女の子がたくさん登場する作品は”男性向け”として、かっこいい(かわいい)男の子がたくさん登場する作品は”女性向け”として世の中にリリースされるようになった。昔は逆だったはずなんだけど。

 エスケーエイトでもキャラクターの関係性において現代的な解釈で描かれている。男性同士のやり取りで頬を染めたり、ランガをお姫様のように扱ったりといった部分である。

 なるほど、女性はこういう視点で少年向けの作品を楽しんでいたのか。まさに目からウロコである。レキとランガの気持ちが通じ合うシーンやレキが愛抱夢にいいようにされるシーンなどは、まさにそういうシーンなのだろう。

 ともあれエスケーエイトはスケートボード愛あふれる作品で、第5話でも愛抱夢とランガのビーフが白熱する。さらには愛抱夢が開催するトーナメントも行われる。抽選するだけで気持ち悪い愛抱夢に注目してほしい。

 ビーフを楽しむもよし、キャラクターを楽しむもよし。エスケーエイトは多様な視点から楽しめる現代的エンターテイメントだ。