[名作1クール レビュー] 涼宮ハルヒの憂鬱(第1期) 第8話 孤島症候群(後編)

各話レビューリスト

※本記事は2022年10月26日時点での視聴をもとにした記事です。


2300作品のアニメが見放題!
ドコモ以外も登録可能!
31日間無料!【dアニメストア】



第8話 孤島症候群(後編) 

 第8話の長さは23分25秒(1405秒)。独断で起承転結の4つに分割している。これ以降はネタバレ注意です



孤島症候群(後編)

 密室で殺害された圭一。遺体の状態からして犯人は男の可能性が強い。この事件がハルヒの望んだものだとは信じたくないキョン。一方のハルヒも思ってもみなかった展開に戸惑っているようだ。状況から推理すると圭一の弟である裕が怪しいのだが……。

 圭一と裕のことを荒川に聞こうとしたが、なんと荒川と森はまだ夏季限定のアルバイトなので、多丸家のことは分からないという。船の有無を確かめに外へ出たキョンとハルヒは、足を滑らせて崖から落ちてしまう。なんとか洞穴へ避難したふたり。そこでハルヒは事件の真相に気づいてしまった。

 ハルヒは自分の感じた事実から事件の真相へたどり着いた。しかしその推理は破綻しているとキョンに指摘されてしまう。古泉に助けられ館へと帰ってきたハルヒは、推理をあきらめて降参してしまった。一方キョンとふたりになった古泉は、”ハルヒの推理”について話し始めた。

 事件の犯人がキョンたちだった可能性にハルヒが気づいたのだと古泉は言う。古泉の推理を聞いて、古泉にせまるキョン。呼び出される荒川。圭一の死体に偽装工作を施そうとするキョンとハルヒ。事件は惨劇へと発展するかに思われた。しかしそれはハルヒたちを騙した古泉たちへの仕返しだった。事件は全部お芝居で、ハルヒたちを楽しませるサプライズだったのだ。名探偵としての役割も満喫し、孤島でのバカンスを楽しんだことに満足そうなハルヒだった。

 第8話の見どころ

  • 2転3転する推理
  • 嵐の中のキョンとハルヒ
  • 意外な結末

背景色つき文字で書かれたシーンは、シーンリプレイ対象のシーンです。



起 (300秒)

0-30
亡くなられております 30秒

30-1:00
たぶん男の犯行 30秒

1:00-1:35
密室の殺人 クローズドサークル 35秒


1:35-3:05
OP:「冒険でしょでしょ」平野綾 90秒


冒険でしょでしょ?

3:05-3:30
妹に知られてはならない 25秒

3:30-4:10
ハルヒが望んだから? 40秒

4:10-5:00
犯人は裕さん? 50秒


 推理スタート。

承 (307秒)

5:00-5:30
現場は立ち入り禁止 30秒

5:30-6:30
荒川と森はアルバイト 60秒

6:30-7:00
船はない 30秒

7:00-7:50
外へ出るふたり 50秒

7:50-8:40
戻れないふたり 50秒

8:40-9:00
ハルヒの見間違いだったのか 20秒

9:00-9:30
あのとき死体は温かかった 30秒

9:30-10:07
なにか思いついたハルヒ 37秒


 キョンとハルヒが遭難するパート。

転 (293秒)

10:07-11:00
ハルヒの推理1 53秒

11:00-11:30
ハルヒの推理2 30秒

11:30-12:00
いやその理屈はおかしい 30秒

12:00-12:30
真犯人は別にいる 30秒

12:30-13:00
妹のつまみ食い 30秒

13:00-14:00
命令を守る長門 60秒

14:00-14:40
推理をあきらめるハルヒ 40秒

14:40-15:00
キョンと古泉 20秒


 ハルヒが推理するも理論が破綻し事件解決をあきらめるパート。

結 (440秒 + 65秒)

15:00-15:30
ドアを破ったとき 30秒

15:30-16:00
ハルヒが真相を隠した 30秒

16:00-16:35
犯人の犯沢さん 35秒

16:35-17:15
キョンとハルヒが偽装工作 40秒

17:15-17:40
名探偵・涼宮ハルヒ 25秒

17:40-18:00
全部サプライズだった 20秒

18:00-18:25
ドアに傷がなかった 25秒

18:25-18:45
挨拶がおかしかった 20秒

18:45-19:05
古泉が部屋を知っていた 20秒

19:05-19:35
にんじんを残していた 30秒

19:35-19:55
逆転裁判 20秒

19:55-20:25
ワトソン君 30秒

20:25-20:45
楽しそうなハルヒの笑顔 20秒

20:45-21:00
はじめから機関の仕込みでした 15秒

21:00-21:25
ハルヒの良心を信じている 25秒

21:25-22:20
ハルヒが見たのは幻だったのか 55秒


22:20-23:25
ED:「ハレ晴レユカイ」平野 綾、茅原実里、後藤邑子 65秒


ハレ晴レユカイ

 事件の真相が分かるパート。

シーンリプレイ

7:00-7:50
外へ出るふたり 50秒

 手首から手に握り変える。絶対にわざと。


13:00-14:00
命令を守る長門 60秒

 ちょっと意地悪な長門。バグり具合がプログラムミスっぽいので、案外本気で拒否してたのかも。


19:55-20:25
ワトソン君 30秒

 ホームズにワトソンがいたように、キョンはハルヒの絶対的なパートナー。



感想

 孤島の館で起きてしまった事件。これが本当にハルヒの望んだことだったのかとキョンは悩む。キョンは最終的に謎の重要部分を見抜いてしまうわけだが、その根底には”こんな事をハルヒが望むわけがない”という意志から逆算されたものだろう。

 この作品には珍しく緊張感のあるシーンの連続で空気が張り詰めている。そんな中、長門の融通の効かなさはちょっとしたブレイクタイムになっている。前回の「ミステリックサイン」での長門に関する解釈からすると、初めから事件の真相を観測していた長門がちょっとハルヒをからかって遊んだ、と思われる。

 そして事件は解決し、館の人間がすべて機関の者であることがわかる。前回の異空間での戦いなどで古泉の言う”機関”が存在することがようやく実感できてはいたが、この孤島での事件で機関なるものが暗躍していることがハッキリと見える化した。

 この事件は初めから機関がハルヒを楽しませるために仕組んだことだったわけだが、キョンとハルヒが遭難してしまったことは機関にとっては想定外だったはずだ。館の外に出て何かに気づいたハルヒが崖で足を滑らせてしまう。ふたりは洞穴へ避難するわけだが、これに関しては純粋にハルヒの願望だったのではないか。

 館から外に出たときキョンの手首を掴んでいたハルヒは、なぜか手をつなぎなおしている。嵐から身を守るため洞穴へ逃れるふたり。まるで三島由紀夫の「潮騒」のようだが、下着をはずす事をためらっているような描写で潮騒のようなシーンに進めない。

 この洞穴でのシーンは、潮騒で有名な焚き火を挟んで裸で向かい合う少年と少女のシーンを再現とはいかなかったが、ハルヒの心の内にある少女性を感じる文学的なシーンであった。

 キョンとドラマチックな場所でふたりきりになってみたものの、それから先へ進む勇気が出なかった。やっぱり怖くなってやめちゃうあたり、ハルヒは普通の女子高生なんだなぁと思わせられる。

 そして見せ付けたハルヒの乙女心は、次のエピソードへ引き継がれるのである。