[アニメ レビュー] アンデッドガール・マーダーファルス 第2話 吸血鬼

アンデッドガール・マーダーファルス

 時は19世紀末、”鳥籠使い”と呼ばれる東洋人の一行がヨーロッパへやってきた。彼らは怪物専門の探偵。奇妙な一行が奇妙な事件を解決する奇妙な物語。どんな事件が一行を待っているのか。

 ”鳥籠使い”の一行とは、首だけの絶世の美少女、半人半鬼の青年、クールメイドの3人だ。この世界の依頼人は吸血鬼などの怪物たち。その怪物たちさえも戸惑うような変人の集まりが”鳥籠使い”の一行なのだ。

 推理ミステリといえば、本格的なものからファンタジー寄りのものまで日本には豊富な前例があるが、この作品はリアル寄りのホラーファンタジーといったところだろうか。繊細で美しく恐ろしい世界観を見事に描き出している。

 江戸川乱歩が大好きな私にとって、この奇妙な世界観とキャラクターにはワクワクさせられる。芝居がかった台詞回しも雰囲気を盛り上げる。あとは、怪物と共生しているという設定をミステリにどう活かしてくるのか。今後の展開に期待大だ。

※本記事は2023年7月23日時点での視聴をもとにした記事です。


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第2話 吸血鬼

 第2話の長さは22分50秒(1370秒)。独断で起承転結の4つに分割している。これ以降はネタバレ注意です

<登場人物>

輪堂 鴉夜(りんどう あや)
首だけの美少女で怪物専門の探偵。助手の津軽の持つ鳥籠の中にいる。
真打 津軽(しんうち つがる)
半人半鬼の青年。鴉夜の手足となって彼女の推理を手助けしている。軽口や冗談が多く周りの空気をかき乱す。
馳井 静句(はせい しずく)
鴉夜のメイド。鴉夜に対しては忠誠心を持っているが、助手の津軽に対しては冷たい、そしてつれない。


第2話 吸血鬼

 1898年フランス東部に住む吸血鬼のゴダール家。人間との友好関係に気を使い、人間社会とうまくやっていこうとするジャン・ドゥーシュ・ゴダール。しかし彼の願いもむなしく、事件は起こってしまった。

 いまだ人間社会に受け入れられているとは言い難い吸血鬼の現状に、怪物専門の探偵を雇うことにしたゴダール卿。その探偵とは「鳥籠使い」と呼ばれる一行で、各地での実績もあるという。しかし彼らは、到着早々に運賃をめぐって御者と揉めていたのだった。

 自己紹介をはじめる鳥籠使い一行。しかしなにか違和感を拭えないゴダール卿たち。それもそのはず、探偵だと思っていたのはメイドの静句で、輪堂鴉夜は津軽の持っていた鳥籠の中の生首だったのだから。そして驚くゴダール卿たちの虚を突くように、鴉夜の推理がはじまった。

 事件の証拠をつぶさに調査する鴉夜と津軽。そして事件に対する疑問をゴダール卿に投げかける。しかしなぜか鴉夜は6っつ目と7つ目は口にしなかった。そして森には謎の影が……。

 第2話の見どころ

  • 世界観と設定
  • 吸血鬼も驚く個性的なキャラクターたち
  • 鴉夜と津軽のやりとり

背景色つき文字で書かれたシーンは、シーンリプレイ対象のシーンです。



起 (317秒)

0-50
銃で狩りをした事実が大切 50秒

50-1:30
人類とうまくやっていく 40秒

1:30-2:00
鍵をかけたはず 30秒

2:00-2:55
侵入者の可能性 55秒

2:55-3:47
ハンナがやられた 52秒


3:47-5:17
OP:「Crack-Crack-Crackle」CLASS:y 90秒


 フランス東部で吸血鬼の殺人事件が発生するパート。

承 (318秒)

5:17-6:00
吸血鬼はいまだ信用されていない 43秒

6:00-7:00
ゴダール卿は憤慨している 60秒

7:00-7:25
鳥籠使いがくる 25秒

7:25-8:05
ゆっくり急いで 40秒

8:05-8:20
ふたりの鉄板ネタ 15秒

8:20-8:50
有能探偵の到着 30秒

8:50-9:30
お代の踏み倒し 40秒

9:30-10:35
こんどは値切り 65秒


 鳥籠使い一行が屋敷に到着するパート。

転 (235秒)

10:35-11:05
話の分かるゴダール卿 30秒

11:05-11:20
真打津軽 15秒

11:20-11:50
輪堂鴉夜 30秒

11:50-12:20
奇妙なやりとり 30秒

12:20-13:00
馳井静句 40秒

13:00-14:00
首だけの美少女探偵・鴉夜 60秒

14:00-14:30
推理のはじまり 30秒


 鳥籠使い一行の紹介パート。

結 (400秒 + 100秒)

14:30-15:20
事件の関係者 50秒

15:20-15:50
吸血鬼は治癒と腐敗がはやい 30秒

15:50-16:30
ハンナは眠っていて杭を打たれた 40秒

16:30-16:50
杭は貫通していない 20秒

16:50-17:20
聖水は殺害直後にまかれた 30秒

17:20-17:55
ビンの汚れは内側に? フタのあたりに血痕 35秒

17:55-18:55
銀による傷は治りが遅い 60秒

18:55-19:10
7つの疑問 15秒

19:10-19:23
なぜハンナは襲撃に気づかなかったのか 13秒

19:23-19:40
なぜ犯人は夜中に侵入したのか 17秒

19:40-19:57
なぜ聖水のビンを現場に残していったのか 17秒

19:57-20:10
なぜ銀の杭やハンナの場所を知っていたのか 13秒

20:10-20:20
なぜ銀の杭を元の場所に戻したのか 10秒

20:20-20:55
ごまかした? 35秒

20:55-21:10
津軽さいてー 15秒


21:10-22:40
ED:「reversal」Anna 90秒


22:40-22:50
なぞの影 10秒


 鴉夜の推理と疑問のパート。

シーンリプレイ

8:50-9:30
お代の踏み倒し 40秒

 無理筋な言いがかり。落語のような津軽の物言いがコミカル。世界観が一気に鳥籠使いのペースに引っ張られる。


11:50-12:20
奇妙なやりとり 30秒

 周囲がついていけないブラックジョーク的なやり取り。観ているこちらにもゴダール卿の混乱が伝わってくる。


20:20-20:55
ごまかした? 35秒

 事件の真相はここにありそう。犯人の焦りを誘うつもりなのか?


感想

 不気味な世界観と個性的なキャラクターが引き立てあって独特な空気を作り上げている。ときおり挟まる津軽と鴉夜の笑いが場の空気を凍らせて(緩めて)いるのが効果的で、まさに落語の緊張と緩和を体現している。

 異能バトルやホラー要素が主軸の作品かと思いきや、本格的なミステリー作品なのは驚いた。鴉夜が生首であることで”安楽椅子探偵”的に楽しめるものとなっている点も面白い。津軽によるボケが入ることで手の内を隠しているような素振りが見受けられるのも、鴉夜の有能さを際立たせているように感じる。

 アニメーションとしての動きは少ないが、キャラクターの魅力を損ねない美しい作画だ。リアル寄りな絵だからか、世界観の不気味さや事件関係者の人外感が良く伝わってくる。津軽と鴉夜の笑いで場の空気が凍るシーンなどは、絵と演技の繊細さのなせるワザだと思う。

 私には事件の全貌はまったくと言っていいほど分かっていないのだが、どうやら津軽や鴉夜にはもう犯人の目星がついているようだ。分かっていて、あえて泳がせている感がプンプンする。生首の美少女がどんな推理を披露してくれるのか楽しみだ。