[アニメ レビュー] お兄ちゃんはおしまい! #03 まひろと未知との遭遇

お兄ちゃんはおしまい!
「美少女になりたい」というのは何も年頃の女子だけの願望ではない。おじさんだって年頃の男子だって美少女になってみたいと思ったりするだろう。嬉しいことに、この日本においてはアニメや漫画でそんな願望も叶えられてしまうのだ。
しかし一口に美少女になれるといっても、話はそう簡単ではない。普段のクセや喋り方、ファッションのセンス、肌や髪のケアなど色々な要素のハーモニーが美少女を美少女たらしめているのだ。
「お兄ちゃんはおしまい」は、そんな美少女になる大変さも描いた性転換ハートフルコメディーだ。#02では女性の生理の大変さも真正面から表現し、ジャパニメーションここにあり!という姿勢を見せてくれた。
この作品は作画の美しさやアニメーションの素晴らしさも評価すべき作品だが、私としては異性に対する興味や理解という難しい問題に対するアプローチのひとつとして評価されるべき作品であると思う。
少なくともこういったコンテンツを楽しむことが、性のカテゴリーをいじくり回して廃止や新設を永遠に繰り返すよりも、よっぽど建設的で楽しい”性差”を理解しあえる方法であると個人的には思っている。
※本記事は2023年1月29日時点での視聴をもとにした記事です。
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#03 まひろと未知との遭遇
#03の長さは23分40秒(1420秒)。独断で起承転結の4つに分割している。これ以降はネタバレ注意です。
<登場人物>
- 緒山まひろ(おやままひろ)
- みはりの兄……だったのだが、みはりに不思議な薬を飲まされて女の子になった。見た目は美少女だが中身は元のオタクニートのまま。
- 緒山みはり(おやまみはり)
- まひろの妹。飛び級で大学に進学するほどの才女。おまけに運動神経も抜群で非の打ち所がない。まひろにはニートを卒業してまともになって欲しいと願っている。
- 穂月かえで(ほづきかえで)
- みはりの友人でギャルの高校生。妹の世話にも慣れていてとても良いお姉ちゃん。まひろの扱いも優しい。

#03 まひろと未知との遭遇
一見して乱れたギャルかと思われたかえでだったが、とっても優しいお姉ちゃんだった。実は高校デビューでギャルになっただけだったのだ。かえでの完璧な姉っぷりに感心しきりのまひろだった。
ショッピングモールで映画を観ることになったまひろたち三人。かえでとみはりの買い物につき合わされたあげく、水着まで買ってしまった。映画の途中でトイレに行くまひろ。しかし女子トイレの行列に耐えきれず、おしっこを漏らしてしまった。帰ってこないまひろを心配して駆けつけてくれたかえでは、手際よく処理をしてくれたうえみはりにもお漏らししたことを黙っていてくれた。ますますかえでに心酔するまひろだった。
みはりが風邪をひいて寝込んでいることを知ったまひろは、自宅警備員のプライドにかけて家事をすることを決意した。家事に不慣れなまひろが作ったおかゆは完璧ではなかったが、みはりにとっては嬉しい食事だった。元気になったみはりは、まひろが自分のために頑張ってくれた痕跡をみて、まひろが昔と変わらず優しいお兄ちゃんのままであることを確信したのだった。
#03の見どころ
- 水着ファッションショー
- かえでのお姉ちゃん力
- みはりの兄への想い
※背景色つき文字で書かれたシーンは、シーンリプレイ対象のシーンです。
起 (300秒)
0-20
トイレトイレ~ 20秒
20-37
みぃ~たぁ~なぁ~ 17秒
37-2:07
OP:「アイデン貞貞メルトダウン」えなこ feat. P丸様。 90秒
2:07-2:30
捕まったまひろ 23秒
2:30-3:05
ギャルの恐怖 35秒
3:05-3:55
かえでとふたりきり 50秒
3:55-4:25
アプローチを試みるかえで 30秒
4:25-4:35
お腹すいた 10秒
4:35-5:00
かえでも妹がいる 25秒
かえでとまひろの出会いのパート。
承 (220秒)
5:00-5:45
手際よく料理するかえで 45秒
5:45-6:15
いっぱい食べました 30秒
6:15-7:10
パーになるぅ~ 55秒!
7:10-7:30
お化粧でした 20秒
7:30-7:55
昔のかえで 25秒
7:55-8:35
これがお姉ちゃん 40秒
8:35-8:40
アイキャッチ 5秒
かえでのお姉ちゃん力を見せつけるパート。
転 (393)
8:40-9:40
スペースタイタニック 60秒
9:40-10:45
映画の前にショッピング 65秒
10:45-10:50
大切な髪留め 5秒
10:50-11:20
ショッピングは終わらない 30秒
11:20-11:55
かえでは強敵 35秒
11:55-13:00
映画を忘れてた 65秒
13:00-13:45
寒いのでトイレが近く 45秒
13:45-14:05
もう無理ぃ~ 20秒
14:05-14:40
かえでの包容力 35秒
14:40-15:05
お姉ちゃん…… 25秒
15:05-15:13
アイキャッチ 8秒
かえでのお姉ちゃん力にまいってしまうまひろのパート。
結 (404秒 + 103秒)
15:13-15:30
お腹が減ったまひろ 17秒
15:30-16:10
みはりは風邪だった 40秒
16:10-16:40
妹である前に兄 30秒
16:40-17:05
家事をがんばる兄 25秒
17:05-17:30
自分でなんとかしたい 25秒
17:30-18:00
初めてのおかゆ 30秒
18:00-19:05
泣いちゃった 65秒
19:05-20:00
中学のみはりとかえで 55秒
20:00-20:50
まひろが頑張った痕跡 50秒
20:50-21:30
お兄ちゃんに褒められたくて 40秒
21:30-21:57
もう少しこのまま 27秒
21:57-23:27
ED:「ひめごと*クライシスターズ」ONIMAI SISTERS 90秒
23:27-23:35
前言てっか~い 8秒
23:35-23:40
次回予告 5秒
まひろが今も変わらず優しいお兄ちゃんであることをみはりが確認するパート。
シーンリプレイ
3:05-3:55
かえでとふたりきり 50秒
何気ないシーンだが、まひろの視線だけでみはりの歩いた軌跡が頭に入ってくる。見えない部分を観せている。
14:05-14:40
かえでの包容力 35秒
男子女子関係なくあこがれるであろうお姉ちゃんの姿。責めたり怒ったりせず、ひたすら包んでくれる。なお、実在するかどうかは不明。
18:00-19:05
泣いちゃった 65秒
塩を入れ忘れた。味がしないという事実が”本当に自分で作ってくれた”証明となっている。心があたたまる演出。
感想
もうお腹いっぱいと言いたくなるようなクオリティのOPとEDのアニメーション。そのテンションを維持したまま本編に突入。さらに観せたい部分ではさらに作画のクオリティが上がる。何より特にこだわっているのがトイレとおっぱいというのが最高だ。
目立つ部分だけでなく、何気ないキャラクターのしぐさや演技などにも力が入っている。キャラクターの動きや表情にちゃんと意味があり、それがキャラクターの魅力にきちんと繋がっている。それぞれが人格を持って画面の世界に存在しているように感じられる。
これだけ演出や作画にこだわっていながら、このセンシティブな内容である。こんなアニメ日本以外どこが作るというのだろうか。多様性に厳しい昨今ではあるが、日本は美少女や美少年をやめません。絶対に。
賢明な視聴者は、この物語が想いのすれ違ってしまった兄妹がその絆を取り戻す話だと、理解しているはずである。性転換や性的な描写などはこの作品を構成する一部でしかない。これは兄妹の心のふれあいを描く作品なのだ。
別に性転換いらなくね?と言われればそうだし、トイレこだわる必要ある?と言われればそう。おっぱいあんなに揺れるのおかしくね?という指摘も分かる。普通に兄妹愛を描けばよくね?っていうのも、うん、まぁ…そう……かな……。
とにかく「お兄ちゃんはおしまい」は日本でしか作れないアニメなのだ。そして私たちが守っていかなくてはいけない自由がここにある。人生を支えてくれる”楽しい”を奪われないように、しっかりと応援したい作品だ。
トイレに入ろうとしたまひろは中に入っていたギャルに捕まってしまう。みはりに助けを求めるが、みはりはレポートを仕上げに自室へ戻ってしまう。かえでとふたりきりになったまひろは逃げ出そうとするが、お腹がなってしまう。それを見たかえでは、ご飯を作ってくれるという。