[アニメ レビュー] 86―エイティシックス― #01 「アンダーテイカー」

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86―エイティシックス―
「86―エイティシックス―」はギアーデ帝国の開発した自律式無人戦闘機械レギオンとの戦争を描いたアニメである。その世界観や設定は非常に複雑で、内容は戦争だけでなく差別問題や人間関係も絡んでおり、その全てを理解するのはかなり大変だ。
#01の冒頭から専門用語やメカがたくさん登場し訳がわからない。共和国や帝国の区別もできない、主人公がどっちの側の人間なのかもすぐには判断できない、どうやら国の内情も複雑らしい…と、とにかくややこしい印象を持ってしまう。
主人公は共和国の軍人で共和国は帝国の開発した無人戦闘機械レギオンと戦っている。共和国は無人戦闘機械ジャガーノートでレギオンに対抗している。主人公のレーナちゃんかわいい。初見の方は、このあたりだけでも頭に入れて視聴されると少しは理解しやすいと思う。あとはアニメを観れば自然と頭に入ってくるだろう。
戦争ものでSFとくれば難解さばかりが目立つが、86はそれだけではない。殺伐とした世界観と相反するように生き生きと描かれるキャラクターたちの表情や動きは、レーナちゃんから脇役のおっさんまでとても魅力的で人間らしさにあふれている。
物語の詳細はこれから明らかになっていくと思うので、未見の方やPV切りしてしまった方も視聴してみてはいかがだろうか?少しとっつきにくいかもしれないけれど、お気に入りのキャラたちを追っかけるだけでも楽しめるアニメ作品だと思う。
※本記事は2021年4月25日時点での視聴をもとにした記事です。

#01 「アンダーテイカー」
#01の長さは23分40秒(1420秒)。独断で起承転結の4つに分割している。これ以降はネタバレ注意です。
非常に凝った設定の物語なので、世界観が分かるように少し情報を整理したい。私もよくわかってないので。
<サンマグノリア共和国>
#01の物語の舞台。ギアーデ帝国の開発した自律式無人戦闘機械レギオンとの攻防が続いている。白系種が住む比較的裕福な85区画と有色種が住む第86区画がある。しかし第86区画は存在すら認められずそこに生活する人々は”豚”と呼ばれ”人”として扱われていない。
<86>(エイティシックス)
サンマグノリア共和国第86区に住む人々の俗称。ジャガーノートに搭乗し前線で戦闘をするが、人として扱われていないので戦死しても戦死者の数には入らない。
<ジャガーノート>
サンマグノリア共和国の開発した対レギオン用の自律式無人戦闘機械。実際は86が搭乗している。
<ハンドラー>
ジャガーノートの部隊を指揮する管制官。
<プロセッサー>
ジャガーノートの搭乗員。人ではなく部品という扱いなのでこう呼ばれている。長く生き残った精鋭はパーソナルネームという二つ名が付いている。
<パラレイド>
知覚同調。他人同士の意識を同調させて知覚を共有する技術。
<レイドデバイス>
パラレイドをするためにハンドラーが首につけるチョーカー型の機器。これを使ってハンドラーとプロセッサーが聴覚を同調して無線通信のようなことをする。
<スピアヘッド>
東部戦線第一戦区第一防衛戦隊。精鋭ばかりを集めた部隊。隊長はアンダーテイカー。
<レーナ>(ヴラディレーナ・ミリーゼ)
最年少で少佐に昇進した優秀な軍人。86に差別心を持っておらず積極的に関わろうとする。前任者が退役するため、精鋭部隊スピアヘッドのハンドラーを任される。美少女。
<アネット>(アンリエッタ・ペンローズ)
レーナの親友。パラレイドの研究主任。美少女。
※背景色つき文字で書かれたシーンは、シーンリプレイ対象のシーンです。
起 (290秒)
0-28
ならず者っぽいセリフ 28秒
28-1:08
ちょっとおかしくなってる ロゴ 40秒
1:08-1:35
まずは敬礼 27秒
1:35-1:50
5月13日 レコード! 居心地の悪い朝食 15秒
1:50-2:12
ありふれた街の風景 22秒
2:12-2:54
それでも戦時 歪んだ報道 42秒
2:54-3:35
国軍本部 戦争の実情 41秒
3:35-4:00
敵はあと2年でいなくなる 25秒
4:00-4:20
86区の豚 20秒
4:20-4:50
無人の意味 30秒
承 (270秒)
4:50-6:05
管制室 人間もどき 75秒
6:05-6:55
レーナは有能 50秒
6:55-7:40
裕福な家系か 死神アンダーテイカー 45秒
7:40-8:10
亡霊の声 30秒
8:10-9:00
生真面目すぎるレーナ 父親似 50秒
9:00-9:20
ハンドラーに任命 20秒
主人公のレーナは真面目すぎる優秀な軍人。それは父親ゆずり。精鋭部隊スピアヘッドには死神がいる。承では、主人公のレーナとスピアヘッドの紹介とレーナがスピアヘッドのハンドラーに任命される。
転 (360秒)
9:20-9:55
自殺者が出たのは本当 35秒
9:55-11:10
レイドデバイスによるパラレイド 感覚の同調 75秒
11:10-12:00
レーナを心配するアネット 50秒
12:00-12:35
やっぱり女の子 普段は合成食料 35秒
12:35-13:12
シュークリーム アネットは男運なし 37秒
13:12-14:00
5月20日 プレアデス死亡 7人も 48秒
14:00-14:30
引き継ぎ スピアヘッドを担当 30秒
14:30-14:45
死神によろしく 15秒
14:45-15:20
スピアヘッド同調 35秒
共和国の食糧事情はあまり良くないようだ。レーナとアネットの女の子らしい一面。一転して厳しい戦いの場面、メリハリが効いている。転では、日常から戦場の落差、スピアヘッドの担当へとかわる不安が描かれている。
結 (405秒 + 95秒)
15:20-15:40
5月12日 レーナの部屋とは対照的 20秒
15:35-16:00
みんなで掃除 やっちゃった 25秒
16:00-16:20
邪魔したらダメなやつ 20秒
16:20-16:45
5人潰してる 楽しげな雰囲気 25秒
16:45-17:15
朝メシだよー いただきまーす 30秒
17:15-18:00
にぎやかな朝食 逆差別的 45秒
18:00-18:20
我らが死神 にゃあー 20秒
18:20-18:50
5月22日 激しい戦闘 30秒
18:50-19:20
みんなが見守る 死にたくない 30秒
19:20-20:00
約束 パァン 40秒
20:00-20:15
これが死神の仕事か 15秒
20:15-20:30
機体を削る ちゃんといけた 15秒
20:30-21:20
そしていつもの日常へ 50秒
21:20-21:40
レーナちゃんの挨拶 嘲笑 20秒
21:40-22:05
アンダーテイカー 25秒
22:05-23:35
エンディングテーマ 90秒
23:35-23:40
次回予告 5秒
噂とは違う明るい雰囲気のスピアヘッド。戦闘が始まれば死と隣り合わせ。機体を削って名前を彫って供養する、これがアンダーテイカー。結では、スピアヘッドの日常と現実を描いている。そして、レーナがハンドラーとして着任する。
シーンリプレイ
9:55-11:10
レイドデバイスによるパラレイド 感覚の同調 75秒
構成:5 3 3 3 1 4 5 3 4 6 11 3 8 10 4 2
5秒
ほう…
3秒
ワクワク
3秒
付け方細かい
3秒
髪をほどく
1秒
ツッコミながらドアを開ける
4秒
表情と手振り レーナを追いかける
5秒
部屋の構造が位置関係で分かる
3秒
これがデバイス
4秒
外から見るとこういう感じで
6秒
部屋の奥の方に座りました アネットの表情がいい
11秒
レーナの座り方が細かい
3秒
えぇ…という表情
8秒
説明シーン カメラが縦に動くだけ
10秒
ゆっくりカメラ アネットが少し動く
4秒
背中で語る
2秒
なにか思い当たる表情
建物の構造がなんとなく把握できるカットのつなげ方。左にレーナ、右にアネット、位置関係が変わらないので話が混乱せずに聞ける。
11:10-12:00
レーナを心配するアネット 50秒
構成:8 4 8 7 7 5 5 3 3
8秒
アネットのパパは凄い
4秒
へーそうなの
8秒
くだけたポーズ 視線と表情
7秒
表情がいい
7秒
手の動きとしぐさ
5秒
キリッ
5秒
まったくもうアンタは
3秒
できあがりー
3秒
融通がきかない性格だと自覚している表情
片方しか映っていないカットでも位置関係が動かないから画面が見やすい。キャラクターの身振り手振りや表情が豊かで好感が持てる。レーナもいいけどアネットもいい。

感想
設定も複雑だが#01では日付も前後しているのでさらにややこしい。一旦は時系列順に並べてみた方がいいかもしれない。
5月12日
スピアヘッドの日常
↓
5月13日
レーナの日常 転任の決定
↓
5月20日
プレアデス死亡 転任の報告
↓
5月22日
クジョー死亡 レーナ着任
戦争もののアニメでありながら日常のシーンにかなり力が入っている。これはこのアニメの肝がキャラクターの個々の魅力であるということだろう。日常の生活が対象的に描かれているレーナとアンダーテイカーの交流も見どころだし、スピアヘッドの仲間たちのドラマにも期待ができそうだ。
説明の多い語り中心のシーンでは、ただ引いたカメラをスライドさせて喋らせるのではなく、カットを増やしたりキャラクターに細かい演技をつけたりと工夫が感じられ、退屈すること無く説明シーンを最後まで観せてくれる。
シリアスな物語と魅力的なキャラクター。観てもらえさえすればその面白さは伝わると思うのだが、どう考えても最初のハードルでつまづく方が多いと思う。国同士の関係、各国の内情、人種の問題、とにかく情報の多いこの作品の魅力をアニメでどう伝えていくのか注目だ。
私は最後までレーナちゃんを応援する。
激しい戦闘。人が操縦している。共和国内では戦死者は無しとされているようだ。第86区は人は住んでいない。起では、共和国の戦争の歪んだ実情が示される。