[アニメ レビュー] 魔王城でおやすみ 第2夜 「姫と怒りのモフモフ」

安心して視聴できるギャグアニメ

 最近ではどんなジャンルのアニメでもHなシーンが出てくるので、無防備でおおっぴらにアニメを視聴するのは危険だ。はじめからHなシーンがあると分かっているような作品であれば、こちらだってこっそり視聴するだとかあらかじめ何らかの対策をして視聴するというのに。

 魔王城でおやすみは悪魔城に囚われたスヤリス姫(本名:オーロラ・栖夜・リース・カイミーン)が、悪魔たちを手玉に取って快適な睡眠を求めて大暴れするギャグアニメである。スヤリス姫だけでなく悪魔城で雑事に従事している下っ端悪魔たちもとても愛らしいデザインで、眺めているだけでも癒やされる昨今の巣ごもり需要にピッタリのオススメアニメだ。

 悪魔城にある材料を使ってなんとか快眠アイテムを作ろうと奮闘するのだが、他の目的がないにもかかわらずネタ切れする気配がまったくない。姫をとりまく魔物たちも魔王をはじめみんな優しすぎるくらい優しくて見ていいて微笑ましい。話の中にはパロディネタもちょくちょく出てくるが、ドラクエを遊んだことがあれば問題なく理解できるだろう。

 かわいいづくしの本作だがHなシーンは全く出てこないので、安心して家族の前で視聴できると思う。

※本記事は2020年12月27日時点での視聴をもとにした記事です。

第2夜 「姫と怒りのモフモフ」

 第2夜の長さは23分50秒(1430秒)。独断で起承転結の4っつに分割している。

起 (224秒 + 399秒)

0-1:36 
姫を探し迷宮に入り込む勇者パーティー 96秒

1:36-2:00 
掃除するグロウウイスプとさつりくカブト 24秒

2:00-2:09 
なぜか塔の上に登る姫 9秒

2:09-3:44 
オープニングテーマ タイトル 95秒


3:44-3:59 
掃除したばっかり 15秒

3:59-5:20 
牢屋は虫が入り放題 王国には蚊帳があった 81秒

5:20-6:00 
布が必要 飛んで火に入る夏の虫 40秒

6:00-6:57 
あそこに登るには 貸してもらう 57秒

6:57-8:00 
姫の目的は たまご警備隊出動 63秒

8:00-8:31 
姫を止めろ えっ 31秒

8:31-9:00 
たまご違った 真の目的は 29秒

9:00-10:23 
ベッド完成 くたびれもうけ あやしい影 83秒


0から 勇者のモチベーションを上げる魔王
1:36から グロウウイスプかわいい
2:00から 危ないよ姫
2:09から 中毒性の高い曲


3:44から なぜ虫が憎いと塔に登るのか
3:59から どこにいても蚊は人類の敵 作ればいいのよ
5:20から 布系悪魔は姫に近づいてはいけない
6:00から ネコスタンプいい子 姫ひどい
6:57から 姫は人の心配とかしない 魔物の仲間に入ったら楽しそう
8:00から 緊張と緩和の演出
8:31から ケンカはやめて
9:00から うまくできた 寝顔はかわいい

承 (207秒)

10:23-11:35 
サンドドラゴンにやられる勇者パーティ 一部の例外 72秒

11:35-11:48 
長老会議 新しい眠り薬について 13秒

11:48-12:17 
一部の例外登場 笑顔でごまかす 29秒

12:17-12:35 
もらう 18秒

12:35-13:00 
姫を付け狙う影 25秒

13:00-13:50 
立入禁止 毒で死亡 50秒


10:23 一歩進んで二歩下がる
11:35から 魔界では新薬も作られているのか
11:48から いやかわいいけど
12:17から そうこなくっちゃ姫
12:35から このかわいいくまはでびあくまです
13:00から 寝る→死ぬ

転 (229秒)

13:50-15:30 
先週も死んだ 電撃は危ない 100秒

15:30-15:40 
死ぬやつ やっぱりもらう 10秒

15:40-15:56 
法典違反99回目 16秒

15:56-16:55 
変装見つかった レッドシベリアン・改の登場 59秒

16:55-17:39 
100回記念御用改 44秒


13:50から もう外に出すなよ ドラクエネタ
15:30から 姫ならやってくれると思った
15:40から 100回になるまでに捕まえろ
15:56から どんどん手口が雑になってる
16:55から これは怒られても仕方がない

結 (266秒 + 105秒)

17:39-18:00 
ひどい部屋 回収違い 21秒

18:00-18:17 
宇宙的表情 17秒

18:17-18:33 
落ちてた 16秒

18:33-19:23 
もらった かりた つくった 50秒

19:23-20:03 
でびあくま これはOK 40秒

20:03-21:15 
お説教は眠い モフモフすやー 72秒

21:15-22:05 
刈ったらダメ 安眠すやー 50秒


22:05-23:35 
エンディングテーマ 90秒

23:35-23:50 
次回予告 15秒


17:39から 瓶回収また始まってほしい
18:00から いい顔するじゃないか
18:17から けっこう育ってる ちゃんと水あげてる
18:33から 悪魔の所業 でもかわいいから見逃しちゃう
19:23から 改の細かい耳の動き 俺にも一体くれ
23:03から もうおネム これは動けなくなる
21:15から 無事姫の下僕となりました


22:05から ノリノリエンディング
23:35から 口だけ魔王

80年代を思い出させてくれる

 第2話はエピソードが3つであるにもかかわらず、ちゃんと起承転結に分割することができた。それはレッドシベリアン・改が起承の部分で謎の影として描かれることで、転の部分での彼の登場がしっかり物語をひっくり返す役割として機能しているからだ。レッドシベリアン・改が少しづつ前倒しで登場を匂わせることで、3つのエピソードを起承転結にまとめきることに成功している。

 魔王城でおやすみは世界観も面白い。オープニングテーマでの「きみも寝具にしてやろうか」は聖飢魔IIを思い起こさせるし、曲中のアニメーションにはうる星やつらのバラエティ感を、エンディングにはおれたちひょうきん族のような土曜日の夜のにぎやかな雰囲気を感じ取った。訳がわからないけど、とにかくなんか懐かしいのだ。劇中でもドラクエのネタが登場しこれまた80年代感を出している。

 子供のような無垢な存在に振り回される大人(魔物)という構図も、それをメインに据えた作品となると近年はあまり注目される作品は無かったのではないだろうか。そういった構図で描かれていることも80年代を感じさせる大きな要因になっている気がする。

 深夜アニメと呼ばれているアニメの多くはターゲットが子供ではなく10代半ばから20代後半くらいまでの青年だと思われる。ちょっと複雑なストーリー展開やちょっと性的なサービスシーンが必ずと言っていいほど含まれている場合が多い。最近では小さな子供に戻って異世界に生まれ変わって人生をやり直すという中年向けとも思われる要素を含んだ作品も量産されている。

 そういった現実逃避的に万能感を満たすようなアニメがあふれるこの時代に、純粋にわがままを通しきってしまうスヤリス姫というのは異質かつ爽快に私の目には写る。両親がいて月曜日にはジャンプを読んで学校から帰ったら怒られるまでファミコンで遊んで宿題やらずに寝て次の日に学校で怒られて…そんな、無意識にいろんな人に守られて将来になんの疑いも持っていなかった時代に戻れた気になるのかも知れない。

 しかし「戻れた気になる」だけなので、アニメ観おわったら現実に向き合います。もう大人ですから。