[アニメ レビュー] 【推しの子】 第1話 Mother and Children

【推しの子】

 芸能界といえばこれまでも漫画やアニメで描かれてきた。きらびやかな世界の表と裏。ライバルとの過酷な戦い。憧れに向かってあがくキャラクターの姿。描くネタは尽きることはない。それだけ魅力的な題材ということだろう。

 そのなかでも「推しの子」はひと味もふた味も違う。ギャグやミステリサスペンスの要素も面白いが、なんといっても芸能界の裏事情の解像度が高い点が大きな魅力だ。物語上の仕掛けとしてだけではなく、悩ましい業界の現状を描き出している。

 お金の事情やタレント間のいざこざやエロプロデューサーやエロスポンサーといったストーリー的に映えそうなネタだけではなく、配役の意味やギャラの取り分など芸能界のシビアな事情まで描いている。

 今回は82分という長時間を使って漫画原作の第1巻まるまる再現している。長いなぁと思うかもしれないが、そこはプロの仕事だ。まったくダレることなく最後まで楽しませてくれる。そして初回に82分も使った意味も分かるだろう。

 これだけお金も時間も作画パワーも注ぎ込んだ作品は貴重で、今期の覇権候補は間違いなしと言ってもいい。原作の面白さは保証付き、アニメがこのクオリティを維持できるなら観て損はない。

※本記事は2023年4月18日時点での視聴をもとにした記事です。


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第1話 Mother and Children

 第1話の長さは82分00秒(4920秒)。独断で起承転結の4つに分割している。これ以降はネタバレ注意です

<登場人物>

星野 アイ(ほしの あい)
絶賛売出中のアイドルグループ「B小町」の絶対的センター。人を惹きつける何かを持ったアイドルらしいアイドル。
星野 愛久愛海(ほしの あくあまりん)
星野アイが極秘出産で産んだ双子の男の子。あだ名はアクア。
星野 瑠美衣(ほしの るびい)
星野アイが極秘出産で産んだ双子の女の子。あだ名はルビー。
五反田 泰志(ごたんだ たいし)
映画監督。アイの初出演のドラマの監督をしていた。現場でアクアを見て気に入った。
有馬 かな(ありま かな)
五反田監督作品でアクアと共演する。そこでアクアの才能に触れ、自信のプライドを大きく傷つけられた。


第1話 Mother and Children

 田舎の病院で産婦人科医として働くロリコン雨宮吾郎。彼はかつてこの病院で亡くなった患者のさりなという少女の影響でB小町所属の星野アイのファンになった。ある日来院した妊娠した少女がアイと気付き、無事に出産させることを決意する。しかし出産の当日、吾郎はアイのストーカーに崖から突き落とされて意識を失ってしまう。気づくと吾郎はアイの息子の愛久愛海として転生していた。双子の妹の瑠美衣も誰かの転生らしい。一方で極秘出産を終えたアイは、そのブランクをものともせず、アイドルとしてひときわその輝きを放っていた。

 愛久愛海だけでなく瑠美衣もまた転生組だった。ベビーシッター役のミヤコが乱心しスキャンダルに発展しかけるが、愛久愛海の機転と瑠美衣の演技力でなんとか事をおさめた。芸能界でのし上がるための武器が足りなかったアイは、子どもたちに向ける自分の笑顔の中にそれを見つけ、それを武器にすることができた。

 アイが出演するドラマの撮影でアクアは映画監督の五反田泰志と出会う。五反田はアクアを気に入り、自信の映画への出演を依頼。そこで出会った天才子役の有馬かなとの演技力勝負に勝ったアクアだったが、話題をさらったのはアイだった。その後アイは順調にスターへの階段を登っていった。いっぽう前世でのトラウマから幼稚園のダンスを嫌がるルビー。しかしママと一緒に練習することでその恵まれた才能を開花させつつあった。

 順調なはずだったアイたちの生活。それは歪んだ愛の暴走によって突然に終わりをむかえた。事件の結末に違和感をおぼえたアクアは、真犯人を突き止めるために芸能界に入ることを選んだ。中学生になったアクアとルビーは、それぞれの誓いを胸に新しい生活へと踏み出してゆくのだった。

 第1話の見どころ

  • アイのアイドルパワー
  • 複雑な関係とストーリー
  • 芸能界の裏の裏

背景色つき文字で書かれたシーンは、シーンリプレイ対象のシーンです。



起 (1380秒)

0-30
この世はフィクション 30秒

30-1:25
病室でオタ活 55秒

1:25-1:50
言ってはいけない 25秒

1:50-2:35
アイ推しの少女 45秒

2:35-3:10
せんせい好き! 35秒

3:10-3:55
ずっとさりなちゃん推し 45秒

3:55-4:40
さりなちゃんの名にかけて 45秒

4:40-5:25
ワケアリの少女 45秒

5:25-5:55
この子は…… 30秒

5:55-6:40
どうしてこうなった 45秒

6:40-7:30
本人の意志で 50秒

7:30-8:15
アイドルの背負う運命 45秒

8:15-9:15
おじさんだからバレるのです 60秒

9:15-9:50
嘘はとびきりの愛 35秒

9:50-10:35
一番星の輝き 45秒

10:35-11:10
どうしようもないアイドルとファン 45秒

11:10-11:55
楽天的なアイ 45秒

11:55-12:30
これも愛 35秒

12:30-13:10
アイの幸せを願うファンに 40秒

13:10-13:55
突き落とされる吾郎 45秒

13:55-14:30
薄れる意識 35秒

14:30-15:35
【推しの子】 65秒

15:35-16:00
アイのこどもになってた 15秒

16:00-16:55
愛久愛海(あくあまりん) 55秒

16:55-17:20
妹の瑠美衣(るびい) 25秒

17:20-18:00
社長も大変 40秒

18:00-18:15
社長の奥さんがお世話してくれる 15秒

18:15-19:00
なんとしても隠し通さねば 45秒

19:00-19:35
ぽろり注意 35秒

19:35-20:35
綱渡りトーク 60秒

20:35-21:30
嘘で固められた世界 55秒

21:30-23:00
アイはアイドル 90秒


 アイが出産しゴローがアイの子として転生するパート。

承 (1003秒)

23:00-23:25
やばいのきた 25秒

23:25-24:00
瑠美衣も転生組 35秒

24:00-24:55
厄介すぎる 55秒

24:55-25:15
騙したなっ 20秒

25:15-25:40
愛久愛海は大人の対応 25秒

25:40-26:00
対抗意識むき出しの瑠美衣 20秒

26:00-27:00
キモオタ瑠美衣 60秒

27:00-28:00
不満が爆発するミヤコ 60秒

28:00-28:40
やばいやばい 40秒

28:40-29:00
神の使いプレイ 20秒

29:00-29:30
さすがに厳しいか 30秒

29:30-30:15
瑠美衣の演技力 45秒

30:15-30:30
バカでよかった 15秒

30:30-31:00
社長かわいそう 30秒

31:00-31:40
将来は女優 40秒

31:40-32:20
さりなと瑠美衣 40秒

32:20-32:40
瑠美衣はさりな 20秒

32:40-33:20
アイドルとお金 40秒

33:20-33:45
ふたりを幸せに 25秒

33:45-33:15
がんばるママ 30秒

33:15-35:00
アイドルの現実 45秒

35:00-36:15
ひとりで戦えるなにか 75秒

36:15-36:45
気分がアガらないアイ 30秒

36:45-37:00
鋭いヲタ 15秒

37:00-37:50
ママのために 50秒

37:50-38:10
始まったー 20秒

38:10-38:40
アイは嘘でできてる 30秒

38:40-39:00
言わんこっちゃない 20秒

39:00-39:25
これは怒られるやつ 25秒

39:25-39:43
覚えちゃったぞー 18秒


 アイと子どもたちの関係のパート。

転 (1277秒)

39:43-40:05
ちょっと成長しました 22秒

40:05-40:30
全然気づいてない 25秒

40:30-41:10
ドラマの仕事 40秒

41:10-41:50
怖そうな監督 40秒

41:50-42:50
時代だなー 60秒

42:50-43:15
顔が良くても運がいる 25秒

43:15-44:15
配役の裏側 60秒

44:15-44:45
アイは目をひく 30秒

44:45-45:15
むしろ得意 30秒

45:15-46:00
カットの嵐 45秒

46:00-46:55
納得いかない 55秒

46:55-47:25
アクアの出演が条件 30秒

47:25-48:00
低予算の映画 35秒

48:00-48:30
これをバーターと言います 30秒

48:30-49:00
前世の対人スキル 30秒

49:00-49:30
怒られた 30秒 転

49:30-50:00
重曹を舐める天才子役 30秒

50:00-50:40
禁忌に触れちゃった 40秒

50:40-51:20
有馬かなの演技力 40秒

51:20-52:20
いつものアクアが正解 60秒

52:20-53:05
かなのプロ根性 45秒

53:05-54:00
総合的なコミュ力 55秒

54:00-54:35
役者アクアへの第一歩 35秒

54:35-54:50
次は絶対に負けない 15秒

54:50-55:25
アイが持っていった 35秒

55:25-55:40
吾郎の死体は見つかっていない 15秒 結

55:40-56:50
ふたりとも今のほうが楽しい 70秒

56:50-57:10
逃げ出すルビー 20秒

57:10-58:10
さりなの辛い過去 60秒

58:10-58:30
やっぱり踊れないルビー 20秒 

58:30-59:05
ママの間違いを指摘するルビー 35秒

59:05-59:45
ママを信じて 40秒

59:45-1:00:15
アイはさりなの光だった 30秒

1:00:15-1:01:00
すべて揃ったルビー 45秒


 アクアとルビーの芸能界との出会いのパート。

結 (1120秒 + 140秒)

1:01:00-1:01:50
父親は誰だ 50秒

1:01:50-1:02:35
ドームも決定 45秒

1:02:35-1:03:15
夢の舞台 40秒

1:03:15-1:03:45
アイは嘘つき 30秒

1:03:45-1:04:00
アイは愛を知らない 15秒

1:04:00-1:04:35
アイドルのスカウト 35秒

1:04:35-1:05:10
純粋な存在 35秒

1:05:10-1:06:10
嘘が本当になる 60秒

1:06:10-1:07:05
嘘の代償 55秒

1:07:05-1:07:45
双子の子どもは元気? 40秒

1:07:45-1:08:10
アイが刺された 25秒

1:08:10-1:09:00
綺麗な嘘をついてきた 50秒

1:09:00-1:09:25
愛したいと思ってる 25秒

1:09:25-1:09:50
星の砂 25秒

1:09:50-1:10:00
逃げる犯人 10秒

1:10:00-1:10:20
腹部大動脈 20秒

1:10:20-1:10:50
もうだめだ 30秒

1:10:50-1:12:00
ただのママになるアイ 70秒

1:12:00-1:12:55
やっと見つけたはずの本当の愛 55秒

1:12:55-1:13:45
駆け巡るアイのニュース 50秒

1:13:45-1:14:15
無責任な憶測 30秒

1:14:15-1:15:05
歪んだ愛情 50秒

1:15:05-1:15:40
忘れ去られる事件 35秒

1:15:40-1:16:10
ミヤコの愛 30秒

1:16:10-1:16:45
ママの背中を追いかけて 35秒

1:16:45-1:17:50
アクアの気づき 65秒

1:17:50-1:18:25
復讐を誓うアクア 35秒

1:18:25-1:18:50
五反田監督に弟子入り 25秒

1:18:50-1:19:25
中学生になったふたり 35秒

1:19:25-1:19:40
アクアの覚悟 15秒


1:19:40-1:21:10
OP:「アイドル」YOASOBI 90秒 4780 275 1120


アイドル

1:21:10-1:22:00
ただひとりの母として 50秒


 凄惨な事件が起こり、アクアが復讐を誓うパート。

シーンリプレイ

21:30-23:00
アイはアイドル 90秒

 一瞬でみんなと虜にする才能。アイドルのなかでも特別な人間にしかない才能だ。


37:50-38:10
始まったー 20秒

 ここからのライブシーンのクオリティがすごい。動きやカメラワークがライブ映像として自然すぎて、モノローグのリアリティや説得力も上がってる。もう演技の一部と言っていいのでは?


53:05-54:00
総合的なコミュ力 55秒

 他人の意図を汲んで理解する能力のこと。決して相手を言いくるめたり騙したりして人を見下そうとする能力のことではない。


1:12:00-1:12:55
やっと見つけたはずの本当の愛 55秒

 唯一愛と呼べる感情を向けられる相手に出会えたアイ。やっと見つけられたのに……。


1:18:50-1:19:25
中学生になったふたり 35秒

 アイに見せてあげたくなるシーン。ふたりは美少女とイケメンになりました。


感想

 冒頭から最後まで目が離せない。作画も演出も演技も最高峰と言える第1話だった。ストーリーの構成要素もキッチリと起承転結がつけられ、この長時間をダレることなく楽しめるように作られていることが分かるだろう。

 この先の話では、みんなが気になっている不毛な実写化の裏側や仕組みを、かなり深い部分まで観せてくれる。私たちが思っているよりも複雑な問題を、エンターテイメント業界が抱えていることが分かると思う。

 物語はかなりハードな内容で、ともすれば暗いものになってしまいそうなのだが、アクアやルビーのやり取りで適度に笑わせてくれる。第1話だけで4人も死んでいるとは思えないほど楽しんで観られた。

 またライブシーンのアニメーションにも半端ない情熱が注がれており、アイのモノローグのバックでのライブシーン(アクアとルビーのヲタ芸のところ)は、とんでもないクオリティだと個人的には思った。メインで魅せるシーンじゃないのにそこまでやるか的な。

 アイの才能を受け継ぐルビー、復讐に燃えるアクア、ふたりの活躍はこんなところでピークをむかえたりはしない。もっと面白くスリリングに私たちを楽しませてくれる。アニメからでも原作ファンでも、納得のクオリティで楽しめる作品になっている。