[アニメ レビュー] わたしの幸せな結婚 第1話 出会い

わたしの幸せな結婚

 私がこの世に生を受けてもう50年もたってしまった。もう半世紀も生きた私が子供の頃には、もう恋愛至上主義が世間に広まりつつあり、親の決めた結婚相手を振り切って駆け落ちするなんていう話は既に”昔の人”の話であった。

 この「わたしの幸せな結婚」は、明治・大正あたりの時代をモチーフとした世界観で繰り広げられる恋愛模様を描いた作品である。他にもちょっと変わった設定はあるようだが、第1話では知らなくてもいい要素のようだ。

 本格的なロマンスは次回以降に期待で、第1話では継母と異母妹による嫌味や嫌がらせが中心だ。家父長制や男尊女卑を全面に押し出した設定で、まさに昭和のメロドラマ的な展開で楽しく分かりやすい構図になっている。

 美世が清霞と出会うことで、どう幸せになってゆくのか、継母たちを見返すことができるのか。そのカタルシスを味わってみたくなる作品だ。

※本記事は2023年7月9日時点での視聴をもとにした記事です。


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第1話 出会い

 第1話の長さは23分40秒(1420秒)。独断で起承転結の4つに分割している。これ以降はネタバレ注意です

<登場人物>

斎森 美世(さいもり みよ)
斎森家の長女でありながらも、継母と異母妹にいじめられている。いつも優しく気にかけてくれている幸次に想いを寄せていたが、父親の判断で斎森家から久堂家に嫁ぐことになった。
斎森 香耶(さいもり かや)
母親の香乃子と共に美世をいじめている。婿入りというかたちで幸次を美世から奪い取ることに成功した。
辰石 幸次(たついし こうじ)
いつも美世を気遣って守ろうとしていたが、親同士の決めた婿入りに反抗できず香耶と結婚することになる。
久堂 清霞(くどう きよか)
久堂家の当主。冷酷無慈悲との評判で、これまで多くの婚約者が逃げ出した。


第1話 出会い

 桜吹雪に悲しみを募らせる少女・美世。家では誰も味方はおらず、ただ継母と異母妹からのいじめに耐える日々。しかし辰石家の幸次はそんな美世の笑顔を守りたいと言ってくれた。

 父親は美世には厳しく香耶には甘い。そんな環境もあり、香耶は美世を見下していた。ある日、洋装で斎森家にやってきた幸次は、美世と会っても歯切れが悪く居心地がよくなさそう。どこか胸騒ぎを感じていた美世だったが……。

 父親の決めた縁談は幸次が香耶に婿入りするという残酷なものだった。美世は久堂家に嫁に出され、斎森家から消えることとなった。

 これまでの不幸や悲しみを抱え久堂家へ向かう美世。遠く離れた片田舎の屋敷へ着くと、優しいお手伝いさんに迎えられた。清霞の部屋へ通され三指をついて頭を下げる美世。顔を上げるとそこには世にも美しい男性がこちらを見ていた。

 第1話の見どころ

  • 大正ロマン的世界観の美しさ
  • 家と父権の強さ
  • 美世と清霞の出会い

背景色つき文字で書かれたシーンは、シーンリプレイ対象のシーンです。



起 (315秒)

0-1:10
桜吹雪に泣く少女 70秒

1:10-1:45
いきなりのいじめ 35

1:45-2:15
家族に味方はいない 30秒

2:15-3:20
辰石家との縁談 65秒

3:20-3:55
幸次は美世に気がある 35秒

3:55-5:15
美世の笑顔のために 80秒


 美世をとりまく人々のパート。

承 (285秒)

5:15-5:45
香耶には甘い父親 30秒

5:45-6:25
明後日の昼は必ず家に 40秒

6:25-7:25
美世に絡む香耶 60秒

7:25-8:25
歯切れの悪い幸次 60秒

8:25-9:30
父親に呼ばれる美世 65秒

9:30-10:00
幸次の横には香耶 30秒


 斎森家と辰石家の縁談のパート。

転 (300秒)

10:00-10:50
勝者・香耶 50秒

10:50-12:00
美世は久堂家へ 70秒

12:00-13:15
家に逆らえない幸次 75秒

13:15-13:40
母親との別れ 25秒

13:40-15:00
不甲斐ない 80秒


 香耶が美世に完全勝利するパート。

結 (430秒 + 90秒)

15:00-16:00
嫁ぎ先への不安 60秒

16:00-17:00
寂しい旅立ち 60秒

17:00-18:05
転落のはじまり 65秒

18:05-19:50
蘇る美世の半生 105秒

19:50-21:00
ゆり江さん優しそう 70秒

21:00-21:20
美世のあいさつ 20秒

21:20-22:10
あ、あれ!?超イケメンじゃん!! 50秒


22:10-23:40
OP:「貴方の側に」りりあ。 90秒


貴方の側に。

 美世と清霞が出会うパート。

シーンリプレイ

1:10-1:45
いきなりのいじめ 35

 香乃子と香耶の腹立つ言い方。無感情で受け入れる美世。斎森家は”いつも”こんな感じなのだとわかる。


13:40-15:00
不甲斐ない 80秒

 昭和の展開なら駆け落ちという選択もあった。幸次は父親に反抗することも、家を出る勇気も無かった。まったく不甲斐ないの一言である。


21:20-22:10
あ、あれ!?超イケメンじゃん!! 50秒

 イケメンだからイイとは言えないが、香耶は悔しがりそうという気がする。


感想

 昨今のアニメには珍しく、ゆっくりなテンポでじっくりと物語を描いている。今の常識からはかけ離れた家父長制の理不尽さをこれでもかと魅せてくれる。キャラクターの配役も絶妙で、香耶の鬱陶しい嫌味や幸次の情けなさ、斎森家と辰石家の両父親の説得力のある重み、美世の自身無さそうな弱々しい声など、しっかりとした演技に支えられている。

 ストーリーの軸となる美世の不幸な状況を丁寧に描くことで、最後の清霞との出会いが輝く。その直前のゆり江さんとの出会いも、これからの明るい未来を予感させる気持ちよさだ。美世のシンデレラストーリーはここからはじまるのだろう。

 背景の感じから物語の舞台は明治・大正あたりだろうが、明記はされていないようだ。美しい背景とキャラクターのデザインがマッチしており、実写の昭和ドラマを観ているように楽しい。特に香耶のいじめが映える。

 実はファンタジー的な要素もあるらしいのだが、物語の軸はラブロマンス。だからこそ第1話でこれだけ丁寧に世界観を描いたのだろう。これから先、香耶や継母を見返す日が来るかと思うとワクワクする。個人的には幸次の情けなさにも喝を入れたい気分だ。