[アニメ レビュー] 月とライカと吸血姫 第9話 サングラードの白薔薇

月とライカと吸血姫
「月とライカと吸血姫」は、ライトノベル原作のアニメーション作品。米ソ冷戦期をモデルにした宇宙開発競争と宇宙飛行士を目指す若者を描いている。
社会体制や軍事等で対立する共和国と連合王国。加熱する宇宙開発競争でなんとか連合王国より先に人類を宇宙に送りたい共和国は、その前段階として人間の代わりに吸血鬼イリナ・ルミネスクを実験体とすることにした。そして訓練の付きそいとしてレフ・レプスを監視役に任命する。
第9話では、イリナでの実験が成功した後、宇宙飛行士の選抜にレフが挑戦している。厳しい訓練やライバルのローザとの和解。そして実験成功後に離ればなれになったイリナとの関係などが描かれる。
注目はなんといってもイリナのツンデレ具合である。真の破壊力を体感したいなら第1話からの視聴をおすすめするが、デレを体験してからのツンを味わうのもまたいいだろう。大御所声優による圧巻のツンデレ演技を共に堪能しようではないか。
※本記事は2021年12月2日時点での視聴をもとにした記事です。
第9話 サングラードの白薔薇
第9話の長さは24分00秒(1440秒)。独断で起承転結の4つに分割している。これ以降はネタバレ注意です。
<登場人物>
- イリナ・ルミネスク
- 人間への復讐心を秘めている吸血鬼の少女。人間に汚される前に月に行きたいと思い宇宙飛行士を目指した。非公式の実験で地球初の宇宙旅行を成功させた。
- レフ・レプス
- 宇宙飛行士を目指していたが、上官ともめて補欠になってしまった。代わりにイリナの監視係として奮闘することになった。イリナの実験成功後は宇宙飛行士の候補生に戻ることができた。
- アーニャ・シモニャン
- 空軍医学研究所の研究員でイリナの生態研究用のデータを採取している。イリナとレフの関係を眺めてニヤニヤしている。
- ローザ・プレヴィツカヤ
- レフたちと宇宙飛行士を目指すライバル。成績だけでなく容姿端麗で非の打ち所のない女性。レフのことは眼中にもなかった。

第9話 サングラードの白薔薇
そっけない反応のイリアだったが、心のなかでは誰よりもレフのことを心配していた。ついに始まった候補生の訓練は、イリナのデータをもとにより厳しいものに改良されていた。レフのことが気にかかるイリナは、自分が宇宙へと飛んだ意味があったのか、レフの役に立つのだろうかと心配で仕方がなかった
本格的に始まった訓練に興奮が止まらないレフ。だがローザは浮かない表情で食事も喉を通らない。降下訓練でパニックを起こし命をレフに救われたローザは、ついにレフの優しさを強さであることを認める。ローザとの和解も束の間、イリナにローザとの仲を誤解されてしまう。
ローザとレフの現場を目撃し、街へと繰り出したイリナとアーニャは何者かに命を狙われる。人間よりも早く宇宙へ飛んだイリナは、共和国の威信を脅かす存在なのだ。久しぶりにレフと会うことができたイリナは、別れの日が近いことを告げる。アーニャの計略で「共和国軍の日」にふたりっきりでデートをすることになったイリナは「ありがとう」と静かに、とても嬉しそうにつぶやいた。共和国史上最デレのデートが、いまはじまる!
第9話 の見どころ
- ローザの雪どけ
- イリナの嫉妬
- 止まらないイリナのデレ
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起 (300秒)
0-20
ロゴ 20秒
20-45
サムすごい 25秒
45-1:20
あせるゲルギエフ第一書記 35秒
1:20-1:35
誰が選ばれるのか 15秒
1:35-1:50
おはよう 15秒
1:50-3:20
OP:「緋ノ月」ALI PROJECT 90秒

緋ノ月
3:20-3:45
ヤシンとローザは順当 25秒
3:45-4:00
レフやったー 15秒
4:00-4:15
行けるよ 15秒
4:15-4:50
甘ちゃんレフ 35秒
4:50-5:00
俺は俺だ 10秒
承 (290秒)
5:00-5:15
イリナ厳しい 15秒
5:15-5:30
おしゃべりアーニャ 15秒
5:30-5:50
ドジっ娘イリナ 表情が70年代 20秒
5:50-6:20
かわいさを隠せないイリナ 30秒
6:20-7:00
ローザの責任感 40秒
7:00-7:40
イリナの実験の成果 40秒
7:40-8:10
やはりヤシンとローザが有力 30秒
8:10-8:30
女性は不利 20秒
8:30-8:50
いじわるアーニャ 20秒
8:50-9:50
イリナの存在意義 60秒
転 (415秒)
9:50-10:25
訓練を楽しむレフ 浮かない表情のローザ 35秒
10:25-10:40
降下訓練 15秒
10:40-11:00
パニックになるローザ 20秒
11:00-11:30
間一髪でレフに助けられるローザ 30秒
11:30-11:50
レフが木にぶつかる 20秒
11:50-12:30
ヴィクトール中将に褒められた 40秒
12:30-13:15
レフの甘さを認めた 45秒
13:15-13:30
ローザのおごりです 15秒
13:30-13:50
ギブアップ 20秒
13:50-14:20
白薔薇の真実 30秒
14:20-14:50
純真なレフ 30秒
14:50-15:30
本当のローザ 40秒
15:30-16:10
自分の非を認めた 40秒
16:10-16:45
誤解 35秒
結 (330秒 + 105秒)
16:45-17:10
弱気になるイリナ 25秒
17:10-17:40
命を狙われてる 30秒
17:40-18:00
粛清 20秒
18:00-18:15
気がはやって待ちきれない 15秒
18:15-18:30
いきなり嫌味 15秒
18:30-19:00
根に持ってる 30秒
19:00-20:00
突然の別れ 60秒
20:00-20:30
勘違いしないでよ 30秒
20:30-21:05
策士アーニャ 35秒
21:05-21:20
ありがとう 15秒
21:20-21:30
ほんとにね 10秒
21:30-22:00
待ち遠しい 30秒
22:00-22:15
かわいい 15秒
22:15-23:45
ED:「ありふれたいつか」Chima 90秒

ありふれたいつか
23:45-24:00
次回予告 15秒
シーンリプレイ
13:15-13:30
ローザのおごりです 15秒
15:30-16:10
自分の非を認めた 40秒
素顔は爽やかな女性であるローザ。まるでつき物がおちたような晴れやかな表情。
21:05-21:20
ありがとう 15秒
少女の恥じらいと感謝の入り混じった「ありがとう」。経験と才能が凝縮されたような声の演技。素晴らしい。
感想
成功に終わったイリナでの有人ロケットの打ち上げ実験。この実験の成功によってレフにとっての宇宙飛行士になることは単なる夢ではなく、絶対に達成すべき目的へと変わった。その命を危険にさらしてまでイリナが残した実験データ。それは共に訓練を歩んできたレフにとっては、決して無駄にできないふたりで獲得したデータなのだ。
イリナにとってもそれは同じで、人間への復讐心から目指した宇宙から見えた地球は美しく誇らしいものであった。そしてレフにも同じ景色を見てほしいと思ったはずだ。そう思うからこそアーニャに自分にはまだ存在価値があることを確認したのだ。生きて、自分と同じ景色を見たレフに会いたいと思ったから。
宇宙開発競争や国家の威信という”事情”に巻き込まれ出会ったレフとイリナは、同じく”事情”によって離れ離れになってゆく。冷戦と宇宙と吸血鬼、これらを混ぜ込んだ突拍子のない設定でも自然と入り込めるのは、レフやイリナをはじめとするキャラクターたちの感情や行動が常識的でありリアルであるからだ。これがこの作品の面白さのポイントだと思う。
レフトイリナには多くの壁が立ちふさがる。国家の威信の壁、種族の壁、異物を排除したい常識の壁。しかし周りの状況がどうあろうとも、ふたりの想いは止められない。ふたりの関係を確かにするもの。それはレフが人類初の宇宙飛行士として宇宙に行くこと。それによってイリナの実験が無駄ではなかったと証明すること。そして世界中でふたりだけが知っている景色を手に入れること。この作品は、国家も冷戦も宇宙も種族さえも越えた、命をかけた愛の物語だ。
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連合王国に先を越されあせるゲルギエフ第一書記。少しでも早く宇宙へ人を送りたい共和国では、ついに最終候補生が決定した。レフもなんとか最終候補生に選ばれた。同士のヤシンとローザはライバル心を隠さない。レフはそれを気にもせず、いち早くイリナに報告をしたかった。