[アニメ レビュー] Vivy -Fluorite Eye’s Song- 6話 「Sing My Pleasure -あなたを愛する-」
Vivy -Fluorite Eye’s Song-
「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」は、Vivyが未来から来たAIマツモトと共にAIと人間の戦争を止めるために活躍するオリジナルアニメである。
AIテーマパーク「ニーアランド」の歌手としてステージをこなすAIアンドロイドのディーヴァだが、その人気はいまいち。いつかニーアランドのメインステージで歌いたいと夢をみている。
ある日ディーヴァの中に転送されてきたAIマツモトに、未来のAIと人間の最終戦争を回避する使命を告げられる。最初は拒否するディーヴァだが、どんどん事件に巻き込まれ仕方なくマツモトに従うこととなる。
SFものだし重たく複雑な物語であるように感じるかもしれないが、お喋りなAIマツモトがシリアスな内容も分かりやすく面白く説明してくれる。視聴者もディーヴァとおなじ視点で腹を立てたり悲しんだりしながら楽しめるエンターテイメントだ。
映像もキレイで先達のオマージュを感じるシーンも多いので幅広い年代で楽しめる物語になっていると思う。アクションや作画だけでなくストーリーも頑張っているし、セクシャルなシーンもほとんど無い(と思う)ので安心していろいろな人にオススメできるアニメだ。
※本記事は2021年5月15日時点での視聴をもとにした記事です。
6話 「Sing My Pleasure -あなたを愛する-」
6話の長さは23分40秒(1420秒)。独断で起承転結の4つに分割している。これ以降はネタバレ注意です。
進みすぎたAIの発展を止めるため「メタルフロート」の停止に向かうVivyとマツモト。メタルフロートに到着し冴木博士からあずかった停止プログラムを使用するが、逆にAIを暴走させてしまった。さらに島に攻め込んだ反AIテロリスト「トァク」を攻撃し”AIによる人間への攻撃”を事実化してしまった…。
<登場人物>
Vivy(ヴィヴィ)
本作の主人公。AIテーマパーク「ニーアランド」の自律人型AI。人気は今ひとつだがニーアランドで歌を歌っている。人類とAIのVivyはファンの少女に付けてもらったあだ名。人類初の自律人型AIということで100年後は博物館に保管されている。そのため未来のAIと人間の最終戦争には関与していないということでマツモトの転送先に選ばれた。
マツモト
100年後のAIと人類の最終戦争を回避するために過去に転送されてきたAI。AIを滅ぼす「シンギュラリティ計画」の実行のために過去に送られた。お喋りで口うるさいが頼りになる。
冴木博士
メタルフロートの建設に関わったAI研究者。かつてトァクのメンバーであったが今は縁を切っている。グレイスとは夫婦で史上初のAIと人間の夫婦である。
グレイス
看護師AIとして冴木少年と出会い、成長した冴木博士にプロポーズされて結婚した。
テロリストの男
6話までに何度もVivyに助けられているトァクのメンバー。
<メタルフロート>
海上無人プラント。自律AIを搭載したアンドロイドやロボットを無人で作り続けることができる島。
※背景色つき文字で書かれたシーンは、シーンリプレイ対象のシーンです。
起 (300秒)
0-30
病室で暴れる少年 AIに詰め寄る 30秒
30-1:35
母親の真実 抱きしめるAI 65秒
1:35-1:53
どうしてこんなことに 18秒
1:53-3:23
オープニングテーマ 90秒
3:23-3:50
停止プログラムのはず 27秒
3:50-4:20
こいつは… 生存者は半分以下 30秒
4:20-5:00
エリザベスのマスター 40秒
承 (260秒)
5:00-5:20
一致団結 20秒
5:20-6:20
冴木博士の陰謀か 60秒
6:20-7:20
グレイスとの再会 60秒
7:20-7:45
冴木博士の上陸 25秒
7:45-8:20
歌で人を幸せに 35秒
8:20-8:45
さっさといけ 25秒
8:45-9:20
グレイスを救うため 35秒
冴木博士の思惑とは。ディーヴァの目的は歌で人を幸せにすること。このテロリストの過去に何があったのか。冴木博士はグレイスを救いたかった。承では、事実を確かめるために冴木博士に会いに行く。ディーヴァはあくまでも歌で人を幸せにしたい。
転(400秒)
9:20-10:30
爆発しろ 70秒
10:30-11:45
管理AIはグレイス 75秒
11:45-12:10
メタルフロートの存続 25秒
12:10-12:20
新しい使命 10秒
12:20-13:05
使命のコンフリクト 45秒
13:05-13:50
歌い続けるグレイス 45秒
13:50-14:20
データ救出は不可能 30秒
14:20-14:40
これが歌に聞こえますか 20秒
14:40-15:40
ただの音階 破壊します 60秒
15:40-16:00
私の名前はヴィヴィ 20秒
使命が選べないグレイス。歌は彼女の残された抵抗の意思あらわれか。人を幸せにしない悲しい歌はただの音階。転では、真実を知り新しい使命を受け入れるヴィヴィの決意が描かれる。
結 (445秒 + 15秒)
16:00-16:35
AIを滅ぼすためのAI 35秒
16:35-17:00
白衣の天使グレイス 25秒
17:00-17:35
頼りになる 35秒
17:35-17:50
行くぜ相棒 15秒
17:50-18:00
もの想う冴木博士 10秒
18:00-19:00
突入だー 60秒
19:00-19:20
どうすりゃいいんだ 20秒
19:20-19:45
博士ー 25秒
19:45-19:55
がんばった 10秒
19:55-20:20
無茶しやがって 25秒
20:20-21:03
グレイス 幸せそう 43秒
21:03-21:13
終わった 10秒
21:13-21:33
博士… 20秒
21:33-21:50
いえ何も 17秒
21:50-22:20
幸せになってください 30秒
22:20-23:00
歌は博士を幸せにしたのか 40秒
23:00-23:25
混乱するディーヴァ 25秒
23:25-23:40
次回予告 15秒
自分の意志で使命に目覚めたことの意味。葛藤のなかでグレイスを破壊することを選んだ博士。ディーヴァも歌で救えなかった命に直面し続け混乱してしまう。結では、グレイスを止めたものの、だれも笑顔にできなかったディーヴァがその使命とのギャップに耐えられなくなってしまう。
シーンリプレイ
16:00-16:35
AIを滅ぼすためのAI 35秒
構成:5 2 1 2 2 1 1 1 2 2 3 3 2 2 4 2
5秒
ついに言った
2秒
おぉっ
1秒
たじろぐ博士
2秒
決意の表情
2秒
即行動
1秒
秒で
1秒
近づくけど
2秒
掴んで
2秒
叩きつける
3秒
停止
3秒
崩れる博士
2秒
ボー然
2秒
左にはける
4秒
残された博士 ディーヴァの靴音
2秒
場面転換
使命に目覚めたVivy。グレイスを破壊する罪を背負う決意がみえる。
18:00-19:00
突入だー 60秒
構成:5 2 2 3 1 6 4 2 1 1 1 1 1 8 1 3 5 1 3 4 5
5秒
PC画面から機体の後ろへ回り込みながらズーム
2秒
Vivyの視点
2秒
来るっ
3秒
来たー
1秒
突っ切るぞー
6秒
どりゃー
4秒
逃げろー
2秒
ひゃー
1秒
敵の視点
1秒
逃さんぞー
1秒
振り返って
1秒
アクセル全開
1秒
キュイーン
8秒
サビに合わせて乱戦
1秒
見えた!
3秒
まだ来る
5秒
うおおおおお
1秒
ぐいっ
3秒
行けるっ
4秒
こっちか
5秒
よし到着っと
いろいろな映画のオマージュが感じられるシーン。どれも納得のカッコよさ。やりたいよねーやっぱり。
感想
1話から続いた物語は6話でひとまず前半のクライマックスといった感じだ。100年後の未来を救うという使命を突然に背負わされたディーヴァは6話にしてその使命を自分のものと認め自らその使命を口にする。
救えなかった少女の命。自らの使命を全うしたエステラの勇姿。経験を重ねて未来を救うことに目覚め、ディーヴァは自分のことをVivyと名乗る。ディーヴァの歌声が人の心に響き人を集めるようになっていったのは、そういった悲しい経験と無関係ではないだろう。
ディーヴァがいくら歴史を変えようとも、破滅の未来を修正しようとも、彼女の周りから悲しみが消えることはなかった。その悲しみの連鎖の行き着く先で、彼女はついに”歌で人を幸せにする”という使命と、冴木博士にとっての幸せの象徴であった歌とグレイスを奪ってしまった自らの行動の齟齬に耐えられずに停止してしまう。
ただ救いがあるとするならば、グレイスの最後だろうか。グレイスが本当に果たしたかった使命は冴木博士とともに暮らし、看護AIとしての使命をまっとうすることだったのだろう。メタルフロートの存続という使命に上書きされることを拒んだ領域こそが彼女の本当の想いであり、それが”ディーヴァの歌”という形でこぼれているのだ。消滅の瞬間のグレイスはとても優しい笑顔で消えていった。その瞬間だけでも彼女は冴木博士のグレイスに戻れたのだと思う。
ディーヴァはこれから先もずっとこんな悲しみの物語を紡いでいかなくてはならないのだろうか?できれば、最後には笑顔で観衆の前に立つディーヴァの姿を観たいものである。きっと美しいメロディーのエンディングテーマを歌詞付きで歌ってくれると私は信じている。
この悲しい物語の中でキラリと光るのは、ディーヴァを導く未来から来たAIマツモトの演技である。AIらしく無機質な淡々とした声を基調としながらも、時には感情的にVivyに呼びかけ彼女に行動を促す。Vivyの論理的には不可解な行動に振り回されながらも、その都度適切と思える善後策を提案をし続ける。平時は鬱陶しいくらい喋りかけ腹の立つ言いまわしをAIらしく冷静にまくし立てて煽る。それでもなぜか憎めない愛すべきキャラクター。
マツモトは100年に渡る壮大な物語の狂言回しであり、物語の熱を上げたり下げたりとコントロールの役割も担っている。この作品の成功の鍵はマツモトにかかっているとも言えるだろう。その難しい役どころを、マツモトの声優は120%とも言える完璧さで演じきり私たちを楽しませてくれている。7話からまた新しい時代の物語が始まる。ディーヴァとマツモトの活躍からまだまだ目が離せない。
言い忘れたけど、地味にディーヴァのコスプレも楽しみにしてます。
冴木博士とグレイスの過去。何度も助けられながらAIを信じられない男。起では、博士の過去と現在の状況が示される。