[アニメ レビュー] ワールドダイスター 第三場 初めての舞台

ワールドダイスター

 芸能界を舞台にした作品は数多くあり、ゲームやアニメでもその題材に選ばれることが多い。芸能というジャンルが内包する多くの要素が、広く浅くも表現できるし、逆に狭く深く突き詰めても面白い。

「ワールドダイスター」は劇団に所属するキャラクターたちが、演劇の頂点であるワールドダイスターを目指す物語である。主人公のここなを中心に、彼女たちの演技への想いや青春が描かれている。

 注目すべき点は演技シーンのアニメーションだ。この作品の根幹となる部分なので、とても魅力的にキャラクターたちが演技をする。声の演技、キャラクターの表情や所作など、細かいところまでこだわって動かしている。

 見せ場のシーンではキャラクターたちにスイッチが入り、画面の雰囲気がいっきに変わる。作画も演技も実写のように繊細で緊張感があり、それが個人的には面白いと思う。

 ゲームとアニメのメディアミックス作品ということで、それらしい設定や仕掛けも用意されているようだ。しかし、この作品の最大の魅力は”演技”が素晴らしいところ。あと、急に歌うよー!

※本記事は2023年5月7日時点での視聴をもとにした記事です。


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第三場 初めての舞台

 第三場の長さは23分50秒(1430秒)。独断で起承転結の4つに分割している。これ以降はネタバレ注意です

<登場人物>

鳳 ここな(おおとり ここな)
ワールドダイスターを目指す高校2年生。劇団シリウスのオーディションに合格しカトリナとルームシェアをすることになった。
静香(しずか)
親友としてここなに寄り添う少女。ピンチのときにはいつも相談相手になってくれる。
カトリナ・グリーベル
ワールドダイスターを両親に持つドイツ人の少女。演じることに自信とプライドがあり、どこか気の抜けたような態度のここなが気に入らない。


第三場 初めての舞台

 優秀な両親の娘として注目されるカトリナ。自分の演技ができなかったここな。オーディションでの勝敗はカトリナに軍配が上がった。しかしワールドダイスターへの道はまだ始まったばかりなのだ。

 柊に呼び出され自分を知れと言われたここなは、静香とそれについて考える。自分を客観的に見つめ自分を知る、役を分析し役を知り歩み寄ること。それを役作りと捉えていると静香は言う。そして急に歌うよー!

 ついに稽古が開始されるが、ここなの演技が気に入らないカトリナ。取り繕うここなだったが、逆に溝は深まるばかり。八恵のアドバイスを受けたここなは、思い切ってカトリナとぶつかりあうことを選んだ。

 過去のトラウマから演技が続けられなくなってしまったカトリナ。しかしここなと静香の懸命に演技を続けようとする姿に、自分のやるべきことを思い出したカトリナは素晴らしい演技を披露する。かくして舞台は大成功に終わった。しかし、それ以上に大きな問題が発覚したのだった。

 第三場の見どころ

  • 静香の存在
  • こだわりの演劇シーン
  • ここなの一生懸命

背景色つき文字で書かれたシーンは、シーンリプレイ対象のシーンです。



起 (270秒)

0-50
観客の心の声 50秒

50-1:15
やりすぎ 25秒

1:15-1:25
落ち込むここな 10秒


1:25-2:55
OP:「ワナビスタ!」鳳 ここな( CV.石見舞菜香), 静香( CV.長谷川育美), カトリナ・グリーベル( CV.天城サリー), 新妻八恵( CV.長縄まりあ), 柳場ぱんだ( CV.大空直美), 流石知冴( CV.佐々木李子)  90秒


2:55-3:35
カトリナのインタビューのはずが 40秒

3:35-4:00
八恵の演技をまねてしまった 25秒

4:00-4:30
本番への意気込み 30秒


 オーディションでの失態を反省するここなのパート。

承 (345秒)

4:30-5:40
自分を知る 70秒

5:40-6:00
カトリナとママの電話 20秒

6:00-6:20
自分とは 20秒

6:20-7:00
静香とここな 40秒

7:00-7:20
ここなのいいところ 20秒

7:20-8:00
客観的にみる 40秒

8:00-8:20
役を作るということ 20秒

8:20-10:15
「勿忘唄」静香(長谷川育美)、鳳ここな(石見舞菜香) 115秒


 静香とここなが自分と役について考えるパート。

転  (325秒)

10:15-10:25
稽古開始 10秒

10:25-11:35
大荒れのカトリナ 70秒

11:35-12:35
深まる溝 60秒

12:35-13:47
八恵のアドバイス 72秒

13:47-15:00
逃げないここな 73秒

15:00-15:40
ふたりとひとり 40秒


 カトリナとここながぶつかるパート。

結 (395秒 + 95秒)

15:40-16:15
ここまでは完璧 35秒

16:15-16:45
トラブル発生 30秒

16:45-17:15
気持ちが途切れるカトリナ 30秒

17:15-17:45
トラウマ 30秒

17:45-18:00
私が守らないと 15秒

18:00-18:25
ここなの機転 25秒

18:25-18:50
一難去ってまた一難 25秒

18:50-19:00
あんな子いたっけ 10秒

19:00-19:50
ここなと静香の演技 50秒

19:50-21:00
迫真の演技 70秒

21:00-21:50
パチパチパチパチ 50秒

21:50-22:15
あなた誰!? 25秒


22:15-23:45
ED:「トゥ・オブ・アス 」鳳 ここな( CV.石見舞菜香), 静香( CV.長谷川育美), カトリナ・グリーベル( CV.天城サリー), 新妻八恵( CV.長縄まりあ), 柳場ぱんだ( CV.大空直美), 流石知冴( CV.佐々木李子)  90秒


23:45-23:50
次回予告 5秒


 トラブルを乗り越えて初舞台を成功させるパート。

シーンリプレイ

8:00-8:20
役を作るということ 20秒

 対話しながら少しづつ役に近づいてゆく作業。ここなには静香が必要なのだ。


11:35-12:35
深まる溝 60秒

 強い口調で言い返すカトリナ。怖すぎて「ひえっ」ってなる。ここなに見透かされた不安は図星だったようだ。


19:50-21:00
迫真の演技 70秒

 役者たちの息の合った演技。みんなで舞台を成功させようという意志と結束が感じられるシーン。


感想

 日常のシーンは特筆するような点はないが、演劇シーンの良さを際立たせるという意味では、おとなしめの演出は狙ったものなのかも知れない。最終的に全体の印象は良く感じる。

 主人公のここなはどこか浮ついた感じで、カトリナがイラつくのも分かる。演技にかける想いとあこがれ。純粋に夢と向き合えるここなと、プライドや血統を背負って演じるカトリナが理解し合えるのには、今回のような事件が必要だった。

 発売予定のゲームとの兼ね合いがあるのだろうか、演劇シーンの過剰とも思える力の入れようは印象的だ。アニメをゲームへの導線と考えているのなら、手を抜かないのもうなずける。きっとゲームでも素晴らしい演劇を観せてくれるのだろう。

 今回の最後で視聴者にとっても謎な存在であった静香の立ち位置が判明する。みんながいないみたいに静香をスルーしていたのは、本当に見えていなかったということが分かる。

 ずっとここなの側にいて彼女に助言をしてきた親友の静香。女優を客観的に捉え新しい視点を与える存在。その秘密が明かされることで、この物語はまた動き始める。これからの展開が楽しみだ。