[アニメ レビュー] AIの遺電子 第4話 4つのケース

AIの遺電子

 2022年11月にChatGPTが登場しずいぶんと話題になった。その技術の使い方について早急なルール作りについて話し合われている。国家の情報や著作権から学校の宿題まで、さまざまなことについて話し合われており、今はまさに生成AI一般普及の黎明期~勃興期といえるだろう。

「AIの遺伝子」はもう少し先の近未来が舞台の作品だ。人間と共にヒューマノイドやロボットが生活し、友人やパートナーとして暮らしている。できれば私もそんな時代まで”元気で”生きていたいと思う。

 主人公の須堂はヒューマノイド相手の医者をしている。そこへ毎回さまざまな問題をかかえたキャラクターが来院する。そこではヒューマノイドならではの問題や、私たちと同じような悩みを抱えた者たちがやってくる。

 彼らが須堂のアドバイスをどう解釈し問題を解決するのかが作品の醍醐味だ。いや、解決というよりキャラクターの思考の道筋を観て”何を感じるか”が大切なのかも知れない。毎回視聴後には考えさせられるものがある作品だ。

 しかし今回はギャグ回の要素が強いのだ。ある意味で第1話よりも、この作品に手を出すには適しているまである。上質で楽しいSFヒューマンドラマの世界を楽しんでみてはいかがだろうか。

※本記事は2023年8月14日時点での視聴をもとにした記事です。


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第4話 4つのケース

 第4話の長さは24分27秒(1467秒)。独断で起承転結の4つに分割している。これ以降はネタバレ注意です

<登場人物>

須堂 光(すどう ひかる)
ヒューマノイドの専門医で自身が経営する須堂新医院の院長もしている。感情がみえにくいがヒトである。闇医者モッガディートとして裏の仕事を請け負うこともある。
樋口 リサ(ひぐち リサ)
須堂新医院の看護師。明るく元気なヒューマノイド。
野崎 ダイスケ(のざき だいすけ)
同級生に恋する高校生男子。年頃らしく恋愛ゲームにも手を出している。
豊田 ヒデ(とよた ひで)
浮気性で彼女に愛想をつかされそうになっている。さすがに反省して、自分の浮気性をなんとかしたいと須堂新医院にやってくる。
三好 レオン(みよし れおん)
リサの親友。恋をしたリサを元気づけようとしてくれるが……。


4つのケース

 先生に恋をしていると親友のレオンに見抜かれたリサ。先生のいろいろな面を見たいというリサに、レオンは「なりきりジェネレーター」を使ってフェイクドラマを作ってくれた。しかしリサが見たいのはキャラ崩壊した先生ではないのだ。

 同級生の佐々木いちかに想いを寄せる野崎。インプラント更新の際、須堂にくれぐれもリアルとヴァーチャルの区別には気をつけるように釘をさされた。しかしダメと分かっていながらもヴァーチャルゲームのモデルにいちかのデータを読み込ませてしまうのだった。

 いちかのデータを読み込ませたナナといろいろ楽しんだ野崎。ある日、なんと本物のいちかから映画に誘われた。順調にいちかとの関係を詰めてゆく野崎。しかし、ついにボロを出してしまい、いちかにふられてしまうのだった。

 浮気性で彼女に捨てられそうになった豊田ヒデが須堂のもとにやってきた。ヒデは性欲を抑える「賢者スイッチ」を付けてもらい浮気をすることはなくなった。しかし今度は浮気をしないことが原因で本当にふられてしまった。感情とはそれほどに複雑なものなのだ。

 第4話の見どころ

  • 夢のゲーム「ラブドリーム2」
  • 野崎の失敗
  • 相性の正解とは何か

背景色つき文字で書かれたシーンは、シーンリプレイ対象のシーンです。



起 (330秒)

0-50
リサの採血 50秒

50-1:14
須堂の喜怒哀楽 24秒


1:14-2:44
OP:「No Frontier」Aile The Shota 90秒


2:44-3:15
親友のレオン 31秒

3:15-3:40
学習AI 25秒

3:40-4:20
フェイクドラマが作れちゃう 40秒

4:20-4:50
先生が起こしに来た 30秒

4:50-5:30
少女漫画でよくあるやつ 40秒


 先生が気になるリサのパート。

承 (270秒)

5:30-5:50
他の女性はダメ 20秒

5:50-7:05
BLキター 75秒

7:05-7:50
中二病か 45秒

7:50-8:15
エロいの観たい 25秒

8:15-8:50
リアルとヴァーチャルの区別 35秒

8:50-9:00
「ラブドリーム2」 10秒

9:00-9:15
modをあてる野崎 15秒

9:15-10:00
ですよねー 45秒


 野崎が同級生のモデルを生成してしまうパート。

転 (335秒)

10:00-10:35
どうしてほしい? 35秒

10:35-11:15
これは恐ろしいゲームだ 40秒

11:15-11:40
デート、だと!? 25秒

11:40-12:30
やんないよ! 50秒

12:30-13:00
↑やりました 30秒

13:00-13:30
本物のお誘いキター 30秒

13:30-14:00
経験者の余裕 30秒

14:00-14:25
あと一歩! 25秒

14:25-14:50
あっ… 25秒

14:50-15:15
当然の結果 25秒 

15:15-15:35
もうナナちゃんでいいや 20秒


 野崎がリアルとヴァーチャルの間で揺れるパート。

結 (412秒 + 120秒)

15:35-16:25
反省するヒデ 50秒

16:25-16:50
彼女を大切にしたい 25秒

16:50-17:20
おっぱいやおしりに勝てない 30秒

17:20-17:55
人生を変えるスイッチ 35秒

17:55-18:20
賢者スイッチ 25秒

18:20-19:05
こうかはばつぐんだ 45秒

19:05-19:55
盛り上がらないふたり 50秒

19:55-20:20
ヒデくんは悪くない 25秒

20:20-20:55
感情は複雑 35秒

20:55-21:10
本物の先生がいい 15秒

21:10-21:40
レオンの相手とは 30秒

21:40-22:27
先生のことをもっと知りたい 47秒


22:27-23:57 ED:「勿忘草」GReeeeN 90秒


23:57-24:27 次回予告 30秒


 感情の複雑さと相性のパート。

シーンリプレイ

8:50-9:00
「ラブドリーム2」 10秒

 発売はよ!お前らmod配布よろ。


15:15-15:35
もうナナちゃんでいいや 20秒

 リアルの女性に恐怖を覚え、さらに道を外れる野崎。思春期の少年はナイーブで性欲モンスター。やっかいでアンバランスな動物なのだ。


20:20-20:55
感情は複雑 35秒

 喧嘩ばっかりで長続きする夫婦。ラブラブで突然分かれる夫婦。人間の相性は複雑で不可解だ。


感想

 全体的にはギャグ回だが、冒頭と終わりに描かれる須堂の意味ありげな行動が不気味だ。須堂は闇医者モッガディートとして裏の依頼も請け負っており、このあたりは今後の展開に注目だ。

 感情の表現に乏しい須堂とは対照的に、助手であるリサはヒューマノイドで感情表現が豊かでかわいらしい。須堂のことが好きなのは見ての通りなのだが、彼女の恋が成就する未来があるのかも気になるところだ。

 今回はなんといっても「ラブドリーム2」だ。2が出てるくらいだから前作が大ヒットしたのだろう。2の発売までに拡張パックとかも発売されてそうだ。夢のようなゲーム(?)だが、目の前に本当にキャラクターが存在するように見せるだけなら、もう既にVRで実現している。実際に会話したりするのはまだまだ向上の余地はあるが、「ラブドリーム」が本当に発売される日はそう遠くはないだろう。

 ここではリアルとヴァーチャルの区別という認識の問題に焦点が当てられているが、2023年の現実世界では”個人情報を読み込ませる”という部分が問題視され、禁止の方向で世界が一致している状況だ。

 作中では違法ツールとして個人情報をゲーム内に読み込ませるものが流通してしまっている。いくら規制しても人は欲望には勝てないということだろう。完全な妄想ではなく、半分現実として好きな人を好きにできるのである。そりゃ止められないよ。

 リアルとヴァーチャルを混ぜてしまった野崎は決定的なミスを犯し、リアルの関係を失ってしまう。しかし落ち込みはしたものの、野崎は「まぁいいか」とばかりにヴァーチャルにますますのめり込んでゆく。彼はもう現実の恋愛市場には戻ってこないかもしれない。

 4つ目のエピソードでは浮気性の豊田ヒデが賢者スイッチを付けてもらう話。確かに浮気はしなくなったのだが、彼女にとっては”浮気症のヒデを追いかける”ことが愛情が湧き出る泉だったのだ。結果ヒデは逆に浮気をされて捨てられてしまう。「ヒデくんは悪くない(号泣)」というセリフが妙にリアルで心が痛い。

 パートナーにスリルを求める人もいれば、安定や安心を求める人もいる。ヒデに必要だったのは”浮気しそう”という緊張感だったのだ。人の感情は複雑で繊細だ。何が正しくて何が間違っているのかなんて、その本人の”幸せ”という感情にはまったく関係がないのかも知れない。