[アニメ レビュー] 異世界失格 第二話 棺桶の寝心地を教えてあげようか?

異世界失格

 愛人のさっちゃんと入水自殺をしようとした文豪のセンセーは、突っ込んできたトラックにはねられ異世界に転生した。転生先で出会ったアネットとタマと共にさっちゃんを探す旅にでる。

 異世界にあっても作家であろうとするセンセーの個性。それが異世界に生きる人々に影響を与えてゆく。いっぽうでセンセーはさっちゃんとの心中を完遂するために旅をしている。

 人々に生きる指針を示しながら、常に死を意識して後ろ向きに生きるセンセー。そんな哲学的な魅力をギャグをからめて楽しませてくれる。そんな作品だ。

※本記事は2024年8月10日時点での視聴をもとにした記事です。


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第二話 棺桶の寝心地を教えてあげようか?

 第二話の長さは23分40秒(1420秒)。独断で起承転結の4つに分割している。これ以降はネタバレ注意です

<登場人物>

センセー
愛人のさっちゃんとの心中の途中に異世界に転生してしまった。とにかく後ろ向きな考え方ですぐ死のうとする。
アネット
異世界の神官。センセーについていくために神官を辞めた。
タマ
センセーにデスツリーから助けてもらったことで仲間になった。
シャルロット
ロート王国の王女。ゴメスとオットーという花婿候補の間で揺れている。


棺桶の寝心地を教えてあげようか?

<ストーリーの流れ>

トマス王からシャルロット王女の夫選びについて助言を求められるセンセー

センセーとの心中を選ぶシャルロット

魔物との戦い

新王女シャルロット誕生


背景色つき文字で書かれたシーンは、シーンリプレイ対象のシーンです。



起 (370秒)

 ロート城下町に到着したセンセー一行は城下を治めるトマス王とシャルロット王女に謁見した。そこでトマス王からシャルロット王女の夫選びについて助言を求められたセンセーは、「しらんよ」とそっけない返事をしてしまう。王に対しても失礼な物言いでアネットたちを困らせるセンセー。でもそこがカッコいい。これが文豪の貫禄というものか。


0-35
センセーの眠る棺桶を引っ張るアネットとタマ 35秒

35-56
さっちゃんを想うセンセー 21秒


56-2:26
OP:「修羅日記」伊東歌詞太郎 90秒


2:26-3:01
ロート城下町へ降り立つ一行 35秒

3:01-3:50
トマス王のはからい 49秒

3:50-5:00
夫選びに迷うシャルロット王女 70秒

5:00-6:10
トマス王に失格の烙印を押すセンセー 70秒

承 (305秒)

 夜が寝付けないセンセーは、同じく眠れない夜を過ごすシャルロットと湖を眺めながら語らう。父親のお気に入りのゴメスと幼なじみのオットーの間で揺れるシャルロット。そんな彼女にセンセーは、他人の意思で決めるのではなく自分自身の意思で決めることを進言する。何度も自殺を決断し、すべて失敗してきたセンセー。説得力が半端ないシーンだ。そしてシャルロットはそのセンセーとの心中を選んだ。


6:10-6:40
眠れる夜などないセンセー 30秒

6:40-7:00
さっちゃんが気になるアネット 20秒

7:00-7:25
アネットとタマの喧嘩 25秒

7:25-8:00
湖を望むセンセーとシャルロット 35秒

8:00-8:30
シャルロットの悩み 30秒

8:30-8:55
王からの信頼を得ているゴメス 25秒

8:55-9:15
詩を歌ってくれる幼なじみのオットー 20秒

9:15-10:10
自分自身に問いかけろとアドバイスするセンセー 55秒 

10:10-10:45
ついに結婚相手を決めたシャルロット 35秒

10:45-11:15
選んだのはセンセーとの心中 30秒

転 (345秒)

 なんとシャルロットが選んだのはセンセーとの心中だった。国を乗っ取り魔王への献上をくわだてていたゴメスはその正体を現し、強引にくわだてを終わらそうとする。それを良い機会と、センセーは自分とシャルロットを殺すようにゴメスを誘導するのだが……。脳筋のゴメスを軽々と操るセンセーの言葉の力。バカを操るなどお手の物といった感じだ。


11:15-11:30
驚く一同と過呼吸で倒れるアネット 15秒

11:30-12:05
オットーは詩を歌いたいだけだしゴメスは臭い 35秒

12:05-12:30
シャルロットは結婚を望んではいなかった 25秒

12:30-13:00
ちゃんとシャルロットの意思を聞いてくれたのはセンセーだけだった 30秒

13:00-13:40
ゴメスは魔王の手下だった 40秒

13:40-14:15
破壊的な強さの魔物 35秒

14:15-14:45
役に立たないオットーとセンセー 30秒

14:45-15:30
奮闘するも魔物に刃が立たないタマ 45秒

15:30-17:00
魔物をたきつけてシャルロットとの心中をはかるセンセー 90秒

結 (285秒 + 115秒)

 死の淵に立つことでやっと自分の本音を打ち明けたシャルロット。生きる意味を見つけた人間は心中相手としては不適切。センセーはシャルロットを失格と判断した。アネットとタマの活躍で魔物は撃退。シャルロットは女王として国を治めることとなった。見事にシャルロットの本音を引き出したセンセー。人生の選択を決断した人間を、あえて「美しい」の一言でまとめてしまうセンスもカッコいい。


17:00-17:50
シャルロットの本音 50秒

17:50-18:10
心中相手としては失格 20秒

18:10-18:30
アネットはLv.18の神官 20秒

18:30-19:00
タマの猛猫掌で決着 30秒

19:00-19:30
芽生えるタマとアネットの友情 30秒

19:30-20:00
シャルロットに謝罪するトマス王 30秒

20:00-20:30
父と娘に戻るふたり 30秒

20:30-21:00
治世の才を発揮するシャルロット 30秒

21:00-21:45
自立した女性も美しい 45秒


21:45-23:15
ED:「さよなら、素晴らしき世界よ」前島麻由 90秒


23:15-23:40
瀕死のアネット 25秒

シーンリプレイ

6:40-7:00
さっちゃんが気になるアネット 20秒

 さっちゃんについて聞きたいような聞きたくないような……やっぱり聞きたい!そんな気持ちを二の腕をギュッとするしぐさで描いている。とてもいじらしくてかわいい。


11:15-11:30
驚く一同と過呼吸で倒れるアネット 15秒

 短いシーンだが面白い。過呼吸からタマの「えぇぇぇーっ」までの勢いと間が良い。漫画のようなテンポ感だ。


17:00-17:50
シャルロットの本音 50秒

 気のすすまない結婚の裏には王女自身も気づいていなかった自国への愛情が隠れていた。センセーは強烈に死を意識させることで、この世への後悔をシャルロットから引き出したのだ。



感想

 常に死を意識し死を追い求めるセンセー。今回は結婚問題に悩むシャルロットを巻き込んでの騒動が起こった。センセーのお守りをするアネットやタマとのやりとりも面白く、笑いあり感動ありの楽しい回であった。

 ゴメスとオットーという結婚候補で悩んでいたアネットは、初めて自分の意見を尊重してくれたセンセーとの心中を選んでしまう。それはゴメスが正体を現したことも相まって大混乱へと発展した。

 ゴメスの攻撃によって心中をはかろうとするセンセーに対し、シャルロットは戸惑う。死の淵に立つことで結婚問題の裏にある、本当に自分や成し遂げたい”この国の民を守りたい”という想いに気づいたのだ。

 死の淵に立つことで人が実感する命への執着。その執着を実感したいから、あるいは観察したいからセンセーは心中を繰り返すのかも知れない。果たしてシャルロットは王女となり、その統治者としての手腕を見事に発揮してみせたのだ。

 とても気持ちの良いエピソードだが、私には気になっていることがある。それはアネットのセンセーに対する恋心だ。劇中には少ししか描写されていないが、どれも純粋でかわいらしい、あるいは面白い表現で観ていてほっこりする。

 アネットの想いは成就するのだろうか。アネットとさっちゃんの対決はあるのか。センセーの選択はやっぱり心中なのか。これからの展開が気になる作品だ。