[アニメ レビュー] 君に届け 2ND SEASON episode.1 「バレンタイン」
君に届け
「君に届け 2ND SEAZON」は大人気少女漫画のアニメ化第2期である。主人公の黒沼爽子と風早翔太との出会いと恋愛や、矢野あやねと吉田千鶴との友情などを描いた名作。第1期では高校1年生の初詣までを放映した。
第1期では恋のライバルである胡桃沢梅は風早に告白してふられている。かといって爽子と風早が急接近というわけでもない。それぞれの気持ちを丁寧に描写しながら少しづつ進展してゆく恋物語はもはや文学である。
第2期のepisode.1では失われつつある昭和文化”バレンタインデー”回だ。校内のアイドル的存在の風早になかなかチョコが渡せない爽子の長い一日が描かれている。風早の気持ちになって観るもよし、爽子の気持ちになって観るもよし、初々しい恋を楽しもうではないか。
※本記事は2021年2月14日時点での視聴をもとにした記事です。
episode.1 「バレンタイン」
episode.1の長さは22分35秒(1355秒)。独断で起承転結の4つに分割している。これ以降はネタバレ注意です。
<登場人物>
黒沼爽子(くろぬま さわこ)
本作の主人公。小学生の頃に「貞子」と言い間違いで名前を呼ばれてからあだ名が「貞子」になった。陰キャで容姿も貞子っぽいので霊感があると思われている。本当は純粋でいい子だしどうみても美人さん。
風早翔太(かぜはや しょうた)
校内の人気者で王子様的存在。爽やかでまっすぐな性格。爽子のことが好きだが、周囲にはまだほとんどバレていない。
矢野あやね(やの あやね)
爽子の親友。少し派手めの格好をしている。早くから風早の気持ちに気づいている。
吉田千鶴(よしだ ちづる)
爽子の親友。直情型の性格で涙もろい。風早の気持ちに全然気づいていない。
胡桃沢梅(くるみざわ うめ)
中学時代から風早のことが好き。ものすごい美少女だがものすごい腹黒い。梅という名前が嫌で周囲には「くるみ」と呼ばせている。第1期で風早に告白したがふられた。
起 (60秒 + 320秒)
0-1:00
オープニングテーマ 60秒
1:00-1:50
お弁当を作る爽子 50秒
1:50-2:10
あやねと千鶴とお弁当 爽子を気遣うあやね 20秒
2:10-2:50
爽子とコミュニケーションをとるクラスメイトたち 40秒
2:50-3:00
確実に前へ進んでいる爽子 10秒
3:00-3:45
風早と席が離れて少し残念な爽子 風早も同じ気持ち 45秒
3:45-4:10
ひっついたり離れたり 2人の距離 25秒
4:10-4:50
明日はバレンタインデー チョコ作ってる? 40秒
4:50-5:20
みんなにチョコを作る爽子 30秒
5:20-6:20
風早のチョコだけ贔屓しちゃう やっぱりあげたい 60秒
承 (310秒)
6:20-6:50
下駄箱のチョコをポケットにしまう風早 30秒
6:50-7:20
チョコを渡しそびれる爽子 30秒
7:20-7:50
みんなにチョコを配る爽子 義理チョコを食べている風早 30秒
7:50-8:20
トイレに逃げる爽子 血糖値の心配 30秒
8:20-8:50
チョコの渡し方 普通に 30秒
8:50-9:00
意識してしまう 10秒
9:00-9:30
龍のチョコを食べる風早 爽子の手作りと知ってショックの風早 30秒
9:30-9:50
クラスメイトも爽子に貰っている 20秒
9:50-10:30
悩む爽子 またチョコを貰う風早 40秒
10:30-11:30
ギクシャクする2人 爽子のチョコは何チョコ? 60秒
6:20さっそチョコを貰う風早を前にチョコが渡せない。クラスメイトには素直に渡せても風早には尻込みしてしまう爽子。血糖値の心配や渡し方などを悩んでいるが、全部言い訳なのがミエミエでやきもきさせられる。9:00見ている方としては風早が気の毒でしょうがない。風早に断られる女の子を観て爽子は追い詰められてゆく。承では、気持ちの整理がつかずチョコを渡せない爽子のとまどいと本当にもらいたい相手からもらえない風早のもどかしさが描かれている。
転 (330)
11:30-12:00
やっぱり渡したい もう放課後 30秒
12:00-13:00
心配するあやね 風早を連れ去るピン チャンス 60秒
13:00-13:30
千鶴を連れ帰るあやね 残った爽子 30秒
13:30-14:30
ピンのくだらない用事 弱みを握られている風早 60秒
14:30-15:45
ピンすら貰っていた爽子のチョコ 75秒
15:45-16:30
待つ爽子 今しかない 45秒
16:30-17:00
くるみ登場 スマートな渡し方 30秒
11:30ようやく決心をするも放課後。あやねの心配は的中してしまう。ピンのくだらない用事で救われる爽子。もうチャンスはない、もう逃げられない。13:30チョコ自慢は本当にくだらないが、爽子のことになると性格が曲がる風早が微笑ましい。15:45待つ時間の気持ちの高鳴り。絶好のチャンスはくるみに取られてしまう。転では、爽子の決心と風早の落胆、生き馬の目を抜くくるみの凄さが描かれている。
結
17:00-17:40
くるみに見つかる爽子 40秒
17:40-18:10
風早は本チョコは受け取らない くるみは特別 30秒
18:10-19:00
意地悪なくるみ 50秒
19:00-19:30
爽子を見つけるケント 30秒
19:30-19:50
爽子に興味が湧くケント 20秒
19:50-20:00
お礼は口実 10秒
20:00-20:10
そんなつもりなかったはず 10秒
20:10-20:40
義理チョコじゃない 30秒
20:40-21:00
駆け出す爽子 義理じゃ渡せない 20秒
21:00-21:15
下心入りのチョコレート 15秒
21:15-22:25
エンディングテーマ 70秒
22:25-22:35
次回予告 10秒
風早が本チョコを受け取らないことを知っているくるみは、失恋した自分だからこそ義理として受け取ってもらえた。風早と爽子が両想いなのを分かっているくるみは、爽子に意地悪な言葉を残し、爽子は覚悟無くしてチョコを渡すことができなくなってしまう。19:00軽薄なケントに見つかってしまう場面。今後の波乱が予想される。20:40くるみの言葉によって自分の気持ちに気づいた爽子は渡さないという選択をする。結では、ライバルの意地悪によって自分の気持ちを深める爽子が描かれている。
感想
君に届けの主人公である黒沼爽子は純粋な美少女である。風早以外のやつらはなんで気付かないんだろう?と思ってしまうが、それは物語だからである。それでも冒頭の料理シーンでおかずを詰めているときの表情やあやねと千鶴と喋っているときの表情は魅力的で、クラスのやつらは節穴かよと思う。
爽子に限らなくても君に届けに出てくる女の子たちはだいたい魅力的だ。美少女として描かれてはいないが、爽子の後ろの席の高橋さんはちょっと喋ってみたい。風早に義理チョコを配っていた娘も美人さんだ。主役級のあやねと千鶴はキャラクターの掘り下げ回もあって視聴者にとっても親友感のある娘たちだ。
私は爽子のライバルの胡桃沢梅がお気に入りだ。腹黒いところがいい。今回も爽子がチョコを渡すのを躊躇していることを察して意地悪な問いかけをする。タダでは負けてあげないということなのだろうが、一周まわって好感をもって観てしまう。本当に魅力的だと思う。
女の子がみんな個性的で魅力があるのは原作者が女性だからだろうか。性的な意味ではない魅力的な美少女というのは男性にはなかなか描けないと思う。私は君に届けを観ているときはとても清らかな気持ちで観ている。不思議なものだ。
2021年現在、バレンタインというイベントは消えつつあると言っていいだろう。私もいい思い出なんてひとつもないので、なくなってくれてもかまわないのだが。しかし今回の君に届けを観て、恋愛漫画やアニメからバレンタインが消えてしまうのはちょっと残念だなと。
未来の読者・視聴者がこの名作を観て、このバレンタインってどういうイベント?なんでチョコ渡すの?なんて興ざめする日がくるかもしれない。それはそれでちょっとサミシイなと。ほんのちょっとだけ清らかな気持ちで思った2021年2月14日でした。
1:00料理をする姿が丁寧に描写されている。おかず交換など楽しい学生生活を送っていることがうかがえる。席替えによって近くになった高橋さんや八木くんともうまくやっている様子だが、爽子がクラスに溶け込んでいっているのが喜ばしい反面少しさみしそうな風早の表情。4:50ちゃんと片付けまでするところがいい。”風早”と書くのが恥ずかしかったり、無意識に風早を特別扱いするかわいらしさ。起では、席替えで風早と離れてもクラスメイトとうまくやっていけるようになった爽子の現状が描かれている。