[アニメ レビュー] 小市民シリーズ 第1話 羊の着ぐるみ

小市民シリーズ

 主人公の小鳩常悟朗は高校生活を何事もなく平和に送ることを望んでいる。常悟朗が目指しているのは「小市民」。平凡な気にもとめられない一般人として生活することだ。

 その目的を同じくする小山内ゆきは常悟朗とは中学からの友人。普段は大人しいゆきだが甘いものには目がなく、スイーツの話となるとおしゃべりが止まらなくなる。

 目立たないことを心がけるふたりだが、謎を見過ごせない常悟郎はつい事件に首を突っ込んでしまう。原作者が同じということで「氷菓」と雰囲気がとても似ている。あの青春感が大好きな方にはピッタリな作品だ。

※本記事は2024年7月21日時点での視聴をもとにした記事です。


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第1話 羊の着ぐるみ

 第1話の長さは23分03秒(1383秒)。独断で起承転結の4つに分割している。これ以降はネタバレ注意です

<登場人物>

小鳩 常悟朗(こばと じょうごろう)
船戸高校に通う高校生。過去のトラウマから目立たずに高校生活を送ることを心がけている。
小山内 ゆき(おさない ゆき)
船戸高校に通う高校生。常悟郎とは中学からの友人。常悟郎と同じく「小市民」として高校生活を目立たず過ごそうとしている。
堂島 健吾(どうじま けんご)
船戸高校に通う高校生。がっしりした体格のまっすぐな性格で少々強引なところがある。常悟郎とは小学校が同じだった。


第1話 羊の着ぐるみ

<ストーリーの流れ>

常悟郎とゆきの人物像

健吾が持ち込んだ盗難事件に首を突っ込む常悟郎

常悟郎の推理

ふたりは「小市民」を目指す同志


背景色つき文字で書かれたシーンは、シーンリプレイ対象のシーンです。



起 (90秒 + 220秒)

 最初の最初というわけで人物紹介としていくつかの情報が描かれている。頭の良い常悟郎と引っ込み思案なゆき。お互いのことをよく知っていて仲が良さそうだ。ちょっと不躾にふたりに割って入る健吾も登場。ゆきの表情の変化が繊細で彼女の可愛らしさを強調してる。


0-1:30
OP:「スイートメモリー」Eve 90秒


1:30-2:30
常悟郎とゆきの合格 60秒

2:30-3:00
小市民としては失格 30秒

3:00-3:50
堂島健吾とゆきの対面 50秒

3:50-4:30
スイーツには目がないゆき 40秒

4:30-5:10
ゆきの好みのスイーツ 40秒

承 (300秒)

 やっぱり健吾は面倒事を持ち込んできた。吉口さんのポシェットが無くなったというのだ。少々強引に探索をすすめる健吾と、それをフォローする常悟郎の関係が微笑ましい。ゆきの心配したとおり、健吾はいい奴だから常悟郎は健吾を放ってはおけないのだ。


5:10-5:30
健吾は小鳩に何か押し付けてきそう 20秒

5:30-6:00
健吾がいい人だともっと心配なゆき 30秒

6:00-6:50
春季限定のいちごタルトを買いに行きたいゆき 50秒

6:50-7:25
健吾からの頼み事の電話 35秒

7:25-8:00
盗まれた吉口さんのポシェット 35秒

8:00-8:25
6時間目の体育が終わったらなくなっていた 25秒

8:25-9:00
話を強引に進める健吾たち 35秒

9:00-9:35
健吾のフォローをする政近 35秒

9:35-10:10
推理を始める政近 35秒

転 (290秒)

 健吾と高田との行き違いを知り、高田の行動に違和感を持つ常悟郎。なんとか時間ギリギリにゆきと合流した常悟郎は、ゆきを相手に今回の事件の謎解きを始める。ポシェットが無くなったことについて、「盗まれた」「隠された」以外の視点「仕掛けられた」を思いつく常悟郎の発想。その推理は見事に的中したようだ。


10:10-10:30
本日の計画を練るゆき 20秒

10:30-11:00
高田との行き違いにイラつく健吾 30秒

11:00-11:20
待たせているゆきのことが気になる常悟郎 20秒

11:20-12:05
高田の行動に少し違和感を持つ常悟郎 45秒

12:05-12:45
常悟郎の奇行 40秒

12:45-13:25
なぜ高田はあんなに手を振ったのか 40秒

13:25-13:50
それは今までどこにいたかを隠すため 25秒

13:50-14:30
高田のアリバイの目撃者はゆき 40秒

14:30-15:00
ポシェットには何か仕掛けられた 30秒

結 (393秒 + 90秒)

 無事にポシェットと犯人を突き止めたふたり。高田にはふたりが恋人どうしだと思われたようだが、常悟郎とゆきは共に「小市民」を目指す協力者。お互いを信頼して都合よく利用し合う関係でしかないのだ。無事に限定のいちごタルトを購入したふたりだったが、自転車は盗まれていちごタルトも失われてしまうのだった。


15:00-15:30
ポシェットと手紙を発見するふたり 30秒

15:30-16:05
降参する高田 35秒

16:05-16:50
ゆきの追求と高田の反省 45秒

16:50-17:15
「え?」という感じのゆきと常悟郎 25秒

17:15-18:10
周囲の目と健吾の鬼電に追い詰められた末の行動だった 55秒

18:10-20:10
不思議なふたりの協力関係 120秒

20:10-21:00
不穏な集団 50秒

21:00-21:33
盗まれた自転車と失われたいちごタルト 33秒


21:33-23:03
ED:「意解けない」ammo 90秒


シーンリプレイ

3:00-3:50
堂島健吾とゆきの対面 50秒

 健吾の勢いに押されながらも、常悟郎に対する理解度で”分かっている人”だと安心するような表情をするゆき。


6:00-6:50
春季限定のいちごタルトを買いに行きたいゆき 50秒

 声の演技が光るシーン。スイーツに夢中な感じがよく出ている。


18:10-20:10
不思議なふたりの協力関係 120秒

 むしろ付き合っているほうが自然に感じるくらい仲良しに見える。高田の勘違いは正しい。



感想

 第1話ということで常悟郎とゆきの関係を描いた回だった。そこへ事件を持ち込む健吾。まっすぐで直情的な健吾は平穏に暮らしたい常悟郎とゆきをそっとしておいてくれない。たぶんこれから先も。

 常悟郎の類まれなる推理力とゆきのスイーツ好き。はたから見ればふたりは恋人同士としか思えない。しかしふたりはただ共に「小市民」を目指す関係にあるだけなのだ。

 そのためにはふたりは都合よく利用し合うことも合意のうえ。今回はいちごタルトの購入のために、ゆきは常悟郎を利用した。またゆきは常悟郎に自分のことを利用してもいいと言い切る。

 それもこれも「小市民」として学園生活を平穏に暮らすため。だからこそゆきは事件を持ち込む健吾にいい顔をしないのだ。健吾がまっすぐでいい奴だから、きっと常悟郎は健吾を放っておけないことをゆきは知っている。

 ゆきは多くのことを語らず(スイーツに関しては別)微表情で感情をあらわす。そこがとても良く描けており、表情やしぐさがとても雄弁で可愛らしい。キャラクターデザインが落ち着いていながら、表情の豊かさでヒロインの格を見せつけてくれる。

 キャラクターの描写を丁寧だと感じる一方で、それをくどいと感じたりテンポが遅いと感じることもある。小説の音読を聴いているような感覚だろうか。それを作品の味だと解釈できれば、そこは目をつむって楽しめそうだ。

 常悟郎とゆきが並ぶ姿はまさに甘酸っぱい青春そのもの。恋人同士になってしまっては話にはならないが、そういう未来を想像しながら微笑ましくふたりを見守りたい気持ちになる。