[アニメ レビュー] 終末トレインどこへいく? 第1話 ちょっと行ってくる

終末トレインどこへいく?

 この世界はある事件をきっかけに変わってしまった。動物や木に変わってしまった人間たち。物理的な距離の拡大による地域の孤立。世界は混乱し政府の管理機能も失われた。

 静留をはじめとする主人公の少女たちは、行方不明の親友・葉香に会うために旅立つ。目的地は彼女たちの住む吾野からは30駅先の池袋。果たして彼女たちは無事に葉香に会えるのだろうか。

※本記事は2024年4月4日時点での視聴をもとにした記事です。


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第1話 ちょっと行ってくる

 第1話の長さは23分40秒(1420秒)。独断で起承転結の4つに分割している。これ以降はネタバレ注意です

<登場人物>

中富 葉香(なかとみ ようか)
運悪く7Gのボタンを押すことになり行方不明になった。
千倉 静留(ちくら しずる)
運動神経が良く柔術も使いこなす。2年前に行方不明になった親友を探している。
星 撫子(ほし なでしこ)
ケンカNGのみんなのまとめ役。
久賀 玲実(くが れいみ)
自分の感情に素直なギャル。都会に憧れている。
東雲 晶(しののめ あきら)
本が大好きで物知り。小難しいことを言ってイヤミを言うので玲実とはぶつかりやすい。
善治郎(ぜんじろう)
2年前に吾野に帰ってきた。昔はイケメンだったらしい。


第1話 ちょっと行ってくる

<ストーリーの流れ>

7Gで世界がぐちゃぐちゃになる

吾野では人が動物化している

偶然に葉香の手がかりが判明する

善治郎さんのおかげで葉香を探す旅に出る


背景色つき文字で書かれたシーンは、シーンリプレイ対象のシーンです。



起 (270秒)

 あれよあれよという間に7Gとやらの開通ボタンを押させられた中富葉香。日本の技術力がスゴすぎて世界がぐちゃぐちゃになってしまう。田舎の風景の描き込みが美しく、思わず目を奪われてしまう。視聴者おいてけぼりの展開は「どうなってるのこれ?」と混乱とともに物語の世界へ連れ込んでしまう。


0-30
改札を出た女子学生 30秒

30-1:00
7G開通記念式典にさらわれる中富葉香さん 30秒

1:00-2:00
脳でつながる7G 60秒

2:00-2:41
崩壊してゆく世界 41秒


2:40-4:11
OP:「GA-TAN GO-TON」中島怜 90秒


4:11-4:30
約2年後の世界 19秒

承 (365秒)

 ここでは人が動物になる吾野の法則、主人公たちの関係、なぜか動物化しない善治郎さん。動物化には21歳3ヶ月というラインがあるのも気になる点だ。主人公の最後のひとり静留も登場。いよいよ舞台は整いましたという感じがする。しかし7G最新技術でつながるはずの世界で残された通信手段がPHSとは……実に日本らしい。


4:30-6:00
吾野では人が動物になった 90秒

6:00-6:25
吾野を出ても動物になる 25秒

6:25-7:10
稲荷山公園には医者がいる 45秒

7:10-8:00
ケンカする晶と玲実をたしなめる撫子 50秒

8:00-8:30
物資を運ぶクロヒョウキャラバンとPHSのメール 30秒

8:30-9:00
吾野の風物詩・善治郎さん 30秒

9:00-9:20
なぜか動物化をしない善治郎さん 20秒

9:20-10:00
野生のマレー熊に戻るマサさん 40秒

10:00-10:35
静留の進路は人探し 35秒

転 (300秒)

 行方不明だった葉香の手がかりが見つかる。吾野の周辺やキャラバンの情報など、静留はできる限りの手を尽くしていた。小雪おばあちゃんに新聞を見せるシーンでは、小雪おばあちゃんがハムスターとは思えないような胸に迫る演技を魅せてくれた。この作品の作画や演出のレベルの高さがうかがえる場面だ。


10:35-11:00
クロヒョウキャラバンの到着 25秒

11:00-11:25
他の地域でも新人の情報は無し 25秒

11:25-12:00
シュールで毒があってかわいくてロマンチック 35秒

12:00-12:35
クロヒョウキャラバンに断られる静留 35秒

12:35-13:00
撫子の銀梅花 25秒

13:00-13:30
まだ新聞が発行されていた 30秒

13:30-13:55
葉香は渋谷にいた 25秒

13:55-14:30
すべてのことが変わってしまった 35秒

14:30-15:35
思い詰める静留 65秒

結 (395秒 + 90秒)

 ちょっとしたモブキャラと思っていた善治郎さんが、突然イケメンになって驚いた。どうやら7Gにも関わっていたようで、今後の物語のキーにもなりそうだ。善治郎さんの変身の秘密や電車の操作など、全部すっ飛ばして静留たちの旅立ちへ。作品のテンポを考えての”端折り”なのだろう。旅立つ彼女たちが持っているのは撫子の銀梅花だけ。他には何もない。でも若者の旅なんて、それくらいがちょうどいいのかもしれない。


15:35-16:00
すべては7G回線の暴走のせい 25秒

16:00-16:35
頼りは電気みたいなエネルギー 35秒

16:35-17:20
葉香とはケンカのまま別れていた 45秒

17:20-17:50
ポチさんは葉香の飼い犬 30秒

17:50-18:30
帽子を探す善治郎さん 40秒

18:30-19:10
若返って7Gを叩く善治郎さん 40秒

19:10-20:00
肝心なところで戻る善治郎さん 50秒

20:00-21:00
学校やめます 60秒

21:00-21:30
まぁいいや、だいたい分かったし 30秒

21:30-22:10
みんな行く 40秒


22:10-23:40
ED:「ユリイカ」ロクデナシ 90秒


シーンリプレイ

8:00-8:30
物資を運ぶクロヒョウキャラバンとPHSのメール 30秒

 PHSのサービスは2023年3月に終了したそうだ。昔はPHSだと恋愛市場では下に見られることもあったw


18:30-19:10
若返って7Gを叩く善治郎さん 40秒

 イケメンすぎて草。どういう仕組で若返っているのか気になる。


21:30-22:10
みんな行く 40秒

 後先なんか考えない無鉄砲さが似合うのは若さなればこそ。さあ旅の始まりだ。



感想

 おちゃらけているようで風刺もきいており、これは何かあるなと思わせてくれる作品だ。21歳3ヶ月という年齢を境に動物化してしまう仕組みや、地域による変化の違いも意味ありげに感じる。

 世界の潮流に遅れを取り、検証も不十分な7GにGOサインを出して盛大に失敗をしてしまうあたり、日本人としては苦笑してしまうところだ。地道な積み重ねや連携もなしに”一発逆転”を狙うのは、ありがちな失敗パターンである。

 しかもその計画において重要なボタンを押すという最終決定責任を、通りすがりの子どもに背負わせるという暴挙。日本のそこかしこで見られる構図である。

 21歳3ヶ月を越えた大人たちは、全く動かない木になったり時に欲望のままに暴れたりと、とにかく子どもたちに迷惑をかける。善治郎さんが動物化しないところをみると、何か目的や遂げたい意思があれば人間でいられるのかもしれない。

 静留たちは撫子の銀梅花だけを持って旅立った。銀梅花の花言葉は「愛」だそうで、彼女たちは愛だけをその手に葉香を探す旅に出たわけだ。実に若者らしい旅立ちだ。運転席から見える景色もワクワクさせてくれる。

 この作品に触れていると、どこか「銀河鉄道999」や「宇宙戦艦ヤマト」などの残り香を感じて心がうずく。これから彼女たちの行く先には何が待ち受けているのだろうか。楽しみで仕方がない。