[アニメ レビュー] 球詠 第12球 「悔いなく投げよう」
ベストを尽くした少女野球アニメ
2020年の春アニメとして放映された「球詠」。舞台は女子硬式野球が普及している現代日本。新越谷高校に入学した武田詠深が幼馴染の山崎珠姫と再会し、不祥事で廃部寸前の女子野球部で活躍する物語である。
第1球から作画が不安定であったので心配していたのだが、案の定作品の内容よりも作画崩壊で話題になってしまった。肝心の野球シーンには動作にこだわりが感じられたり、ガチの試合展開など良いところもたくさんあったのだが、大会が始まる後半までに視聴をやめた方も多かったのではないだろうか。
私は原作の漫画を知らなかったしまた野球が好きなわけでもない。しかしこのアニメが作画崩壊だけで話題になり、このまま入場行進だけがネットで語り継がれることには一言物申したい。
正直、最終話である第12球を取り上げて記事にするのはどうかと思ったが背に腹はかえられない。梁幽館高校以外との試合も面白いのだが、最高に盛り上がった最終話を使って「アニメ球詠」の魅力を伝えたい。
※本記事は2020年11月23日時点での視聴をもとにした記事です。
登場人物を整理しておいたほうがいいので、あらかじめ紹介。
新越谷高校メンバー 梁幽館高校戦 打順
1番 キャッチャー 山崎珠姫(やまざき たまき)背番号 2
2番 セカンド 藤田菫(ふじた すみれ)背番号 4
3番 ショート 川崎稜(かわさき りょう)背番号 6
4番 ファースト 中村希(なかむら のぞみ)背番号 3
5番 センター 岡田怜(おかだ れい)背番号 8
6番 サード 藤原理沙(ふじわら りさ)背番号 5
7番 ライト 大村白菊(おおむら しらぎく)背番号 9
8番 レフト 川口息吹(かわぐち いぶき)背番号 7
9番 ピッチャー 武田詠深(たけだ よみ)背番号 1
マネージャー 川口芳乃(かわぐち よしの)背番号 10
対する梁幽館高校はピッチャーで4番バッター背番号1のキャプテン中田奈緒と2番手ピッチャーで中学時代の珠姫の相方であった吉川和美の2人を覚えておけば最終話はOKだろう。
第12球は5回裏の中田の打席から始まる。2アウト2ストライク2ボール(たぶん)。強ストレートで勝負の場面。スコアは新越谷1-2梁幽館。
TEAM | 1回 | 2回 | 3回 | 4回 | 5回 | 6回 | 7回 | R |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
新越谷 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | ||
梁幽館 | 1 | 0 | 1 | 0 | 2 |
第12球の長さは23分40秒(1420秒)。独断で起承転結に分解している。
起 (300秒)
0-33
中田ホームランで点差を広げられ1-3になる 33秒
33-1:33
詠深に中田と勝負させた責任を感じる芳乃 仲間を信じる詠深 60秒
1:33-2:00
キャプテン怜の意地 27秒
2:00-2:33
魂の3塁打 仲間のフォローを忘れない中田 33秒
2:33-3:00
理沙に打たせる芳乃 自分を奮い立たせる理沙 27秒
3:00-3:42
アウトになるも1点を返す 自分を攻める芳乃 42秒
3:42-4:00
点差があり安心する吉川 一気にアウト2つ狙うもフォアボール 18秒
4:00-4:45
バッター詠深 3アウトチェンジ 45秒
4:45-5:00
「悔いなく投げよう」 詠深の決意 タイトル回収 15秒
0から 敵ながらカッコイイ中田
33から 第9話あたりから積もってきた芳乃の不安 詠深の強メンタル
1:33から 怜の意地と中田の気遣い どちらもいいキャプテンシーを持ってる
2:33から なにがなんでも繋ぐという意志
3:00から 泥臭い1点 どんどん悪い方に考える芳乃
3:42から 細かい心理描写を追っていくのも球詠の面白いところ
4:00から ここで1つスイッチが入る感じ
TEAM | 1回 | 2回 | 3回 | 4回 | 5回 | 6回 | 7回 | R |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
新越谷 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | |
梁幽館 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 3 |
承 (410秒)
5:00-5:50
真剣勝負の楽しさに目覚める詠深 それを感じる珠姫 50秒
5:50-6:30
珠姫のパスボール くやしがる吉川 40秒
6:30-7:03
もう一度さっきの球を要求 2人で一緒に成長できる! 33秒
7:03-7:30
最終回の表 珠姫の先頭打者ヒット 27秒
7:30-8:30
菫フォアボールでランナー12塁 ますます自信を無くす芳乃 60秒
8:30-9:00
梁幽館高校ピッチャー中田に交代 涙の吉川 30秒
9:00-9:50
采配のプレッシャーに押しつぶされる芳乃 50秒
9:50-10:40
芳乃を心配する希 弱音を吐く芳乃 50秒
10:40-11:50
芳乃への信頼と感謝を伝える希 だいすき 70秒
5:00から 主人公らしい覚醒
5:50から 詠深に引っ張られる珠姫
6:30から もう一つスイッチが入った
7:03から 完全に詠深に嫉妬している吉川 珠姫はもう詠深のものです
7:30から なんとしても塁に出る菫 みんな頑張ってる
8:30から 吉川降板 監督こわい
9:00から 中田の球すごい 音が違う 逃げる芳乃
9:50から 芳乃あっての新越谷
10:40から 全体のちょうど半分の710秒に「だいすき」 スイッチが全部入った
転 (265)
11:50-12:05
我に返る芳乃 反撃の狼煙 15秒
12:05-12:55
稜の送りバント失敗 50秒
12:55-14:15
希と中田の勝負 芳乃の必要性を証明したい希 80秒
14:15-15:23
逆転の3ランホームラン 芳乃の為に 68秒
15:23-16:00
仲間を励まし自らを戒める中田 キャプテンの鏡 37秒
16:00-16:15
後続を抑えスリーアウトチェンジ 5-3で最終回裏へ 15秒
11:50から ここから反撃 もう迷わない
12:05から いつもの芳乃 仲間を信じてる詠深
12:55から 4番の覚悟
14:15から かっこいい かっこいい てぇてぇ
15:23から さすが中田 芳乃の有能さを見抜いている
16:00から 傷は最小限に 諦めないのは経験値が高いから
TEAM | 1回 | 2回 | 3回 | 4回 | 5回 | 6回 | 7回 | R |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
新越谷 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 3 | 5 |
梁幽館 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 3 |
結 (445)
16:15-16:46
気合が入る両チーム 31秒
16:46-17:36
珠姫と詠深のやりとり 50秒
17:36-18:30
順調に2アウト 絶対に詠深に初勝利をプレゼントしたい珠姫 54秒
18:30-19:20
高代のヒット 敬遠を選ばず勝負を選ぶ詠深 50秒
19:20-20:20
追い込まれる中田 珠姫のサインにうなずく詠深 60秒
20:20-21:20
仲間の声援を受けて中田に挑む最後の一球 60秒
21:20-22:00
希のグラブに収まるボール ゲームセット 40秒
22:00-23:40
エンディングテーマ 野球やめなくてよかった 100秒
16:15から どちらもよくまとまっている
16:46から やる気にさせる良い女房役
17:36から ツキも味方する詠深の勢い
18:30から なんとしても中田に繋ぎたい梁幽館 もう一度中田と勝負
19:20から 焦りが見える中田 3球勝負
20:20から チーム一丸となっての一球
21:20から 中田の表情が彼女の背負ってきたプレッシャーを感じさせる
22:00から もっと彼女たちの活躍を見たいなと思わせるエンディング
TEAM | 1回 | 2回 | 3回 | 4回 | 5回 | 6回 | 7回 | R |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
新越谷 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 3 | 5 |
梁幽館 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 3 |
もっと評価されてもいい作品
これだけガチの野球を表現しているのに美少女キャラを使ってというところはとても現代的だと思う。売りたいだけならアニメは美少女の作画だけに全振りしていたかもしれない。そっちの方が売れたかもしれないが、こんなに印象に残る作品にはなっていなかっただろう。
予算や社会の状況もあったろうし時間の制約もきつかったのか作画は本当に残念なところも多い。「アニメ球詠」をいいものにしようと取捨選択した結果があるのだと思う。最終話まで通して観れば、演技やプレーの動き話の構成が手抜きでないことが分かる。
ゲームの勝敗を決定づけた希のホームラン。それを予感させる「だいすき」という逆転のキーワードを物語のちょうど半分のところに配置したのなんて意図がなけりゃできない。
できれば2期が観てみたいが、原作もそんなに進んでないみたいなのでしばらくは無理だろう。あと少しだけ作画が安定すれば人気爆発しそうなんだけど。原作買って静かに待っていようと思う。