[アニメ レビュー] となりの妖怪さん 第1話
となりの妖怪さん
妖怪と人と神様が仲良く暮らす縁ヶ森。「となりの妖怪さん」は種族の違いを越えて、支え合いながら共生するキャラクターたちの当たり前の日常を描く物語だ。
猫又へ新生した飼い猫。元気いっぱいに生きる少女。街を見守るカラス天狗。なんの問題もなく過ごす彼らだが、私たち人間と同じようにちょっとした悩みや人生に対する戸惑いがあるようだ。
先の展開は暗い部分もありそうだが、風景や世界観にひたっているだけで癒やされそうな作品だ。
※本記事は2024年4月21日時点での視聴をもとにした記事です。
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第1話
第1話の長さは23分39秒(1419秒)。独断で起承転結の4つに分割している。これ以降はネタバレ注意です。
<登場人物>
- 杉本 睦実(すぎもと むつみ)
- 元気いっぱいの小学3年生。幼い頃に父親が行方不明になっている。
- 大石 ぶちお(おおいし ぶちお)
- 大石家で飼われている猫。20歳になったので猫又になった。
- 縁火山 次郎坊(ふちびやま じろうぼう)
- 優しいカラス天狗の青年。睦実のことを見守っている。
第1話
<ストーリーの流れ>
⇩
ぶちおの不安と自分探し
⇩
睦実のお盆とぶちおの弟子入り
⇩
変化の成功と睦実の闇
※背景色つき文字で書かれたシーンは、シーンリプレイ対象のシーンです。
起 (284秒 + 90秒)
妖怪と人と神様が仲良く暮らす縁ヶ森町。猫又へと変化したぶちおを喜ぶ大石家の人々。睦実のからだを気遣うジロー。初めに妖怪と人間が共生している様子が描かれている。どちらも心温まるエピソードで、この作品が多様性と共生の物語だということが分かる。
0-30
拓海の家の猫が猫又になった 30秒
30-1:30
ぶちおは静かに暮らしたい 60秒
1:30-2:05
大石家はぶちおを大切におもっている 35秒
2:05-2:35
睦実とカラス天狗のジロー 30秒
2:35-3:00
アイスをくれるジロー 25秒
3:00-4:00
ジローの優しい神通力 60秒
4:00-4:44
縁ヶ森は人と妖怪が暮らす町 44秒
4:44-6:14
OP:「お化けひまわり」Pii 90秒
承 (316秒)
猫又となったぶちおの戸惑いのパート。大石家のみんなと言葉でのコミュニケーションがとれるようになった喜びと、社会の中での役割に不安が生まれるぶちお。ジローや太善坊がやさしく導いてくれるのが素晴らしい。祭りのことで愚痴る睦実を見守るジローの眼差しが、彼らの関係の近さを物語っている。この作品は微表情の使い方が上手い。
6:14-6:45
自分のことは自分でやってみたい 31秒
6:45-7:00
本当に家族になれてうれいしい 15秒
7:00-7:50
まだ自分には何ができるのか分からない 50秒
7:50-8:15
ジローと太善坊を訪問するぶちお 25秒
8:15-9:00
新生に心が追いつかない不安を話すぶちお 45秒
9:00-9:20
歩くデイダラボッチさん 20秒
9:20-10:00
おいなりさんを作るジローと睦実 40秒
10:00-10:30
お祭りの巫女に選ばれた睦実 30秒
10:30-10:50
二礼二拍手一礼 20秒
10:50-11:10
神様はいつも見守ってくれている 20秒
11:10-11:30
もうすぐお盆 20秒
転 (300秒)
ぶちおが立花百合に先生になってもらい、変化の術について教えてもらう。右も左も分からないぶちおの自信なさげな様子は、はやく何者かに成らなければというあせりの表れだ。いっぽう睦実の家にはおじいちゃんがお盆なので帰ってくる。行方不明のお父さんが一緒に帰ってくるのではと考えてしまう睦実。何でもいいから会って事情を知りたいのだという睦実の気持ちが伝わってくる。
11:30-12:00
ぶちおに会わせたい人がいる 30秒
12:00-13:15
変化の先生、立花百合 75秒
13:15-14:30
おしょろ様を部屋へ案内をする睦実 75秒
14:30-14:55
おしょろ様にお父さんのことを尋ねる睦実 25秒
14:55-15:20
おじいちゃんにたしなめられる睦実 25秒
15:20-16:00
意識して変化できなければ化け学ではない 40秒
16:00-16:30
なぜぶちおは猫又になったのか 30秒
結 (370秒 + 89秒)
そっけないようで優しい百合さんの指導で変化の第一歩を踏み出すことができたぶちお。見たくない聞きたくないことに直面する睦実。こんなのどかな町でも、やっぱりみんな何か不安を抱えて生活している。幸せそうなぶちおを複雑な表情で見つめる百合さん。何かが見えてしまう睦実。何か良からぬことが起きそうな予感である。
16:30-17:00
化け狐の知育メソッド 30秒
17:00-17:25
力が入りすぎで集中力が足らない 25秒
17:25-18:00
怖がられる自覚がある百合さん 35秒
18:00-18:45
拓海に見守られて成功するぶちお 45秒
18:45-19:00
見たくないものを見てしまった睦実 15秒
19:00-19:50
睦実を優しく受け止めるジロー 50秒
19:50-20:55
睦実の父が虚数次元に飲まれた可能性 65秒
20:55-22:10
アレが見える睦実 75秒
22:10-23:39
ED:「イロノナカ」久保あおい 89秒
シーンリプレイ
3:00-4:00
ジローの優しい神通力 60秒
睦実を気遣うジローの優しさ。さり気なく自分が木陰を出て睦実を木陰に移動させている。
13:15-14:30
おしょろ様を部屋へ案内をする睦実 75秒
暮らしの慣習や風習はこうした豊かな感性によって形作られるものなのだろう。とてもほっこりする光景だ。
18:00-18:45
拓海に見守られて成功するぶちお 45秒
ぶちおは猫又になる前から大石家の家族なのだ。だからこそ拓海がいると安心してリラックスして変化できたのだろう。
感想
主要な登場人物の紹介。それぞれの抱えている問題。人間と暮らしてきた妖怪や神様たち。この作品の世界観と設定が示されていた。ほのぼのとした部分もあり、不安を感じる部分もありの第1話だった。
妖怪たちは人間たちとともに暮らし、縁ヶ森町を守り続けてきた。何代も前から知っている家の子孫たちへ向ける眼差しはとても優しく、彼らがともに過ごしてきた時間が幸せなものだったことが分かる。
私たちは日常のなかで起こる”ゆらぎ”みたいな現象を、妖怪や神様の仕業として自分たちをとりまく世界を解釈してきた。この作品の世界観は、まさにそれを表現したものといえる。
この作品の世界観を驚くほど素直に受け入れられるのも、私たちがずっとそうやって、日々の繰り返しのなかに彩りを与える想像をしてきたからなのだと私は思う。
睦実の父親の行方やジローたちの活動などのファンタジー的なトピックも物語の重要なポイントなのだろうが、私としてはぶちおの成長に注目したい。ぶちおが直面している戸惑いは、まさに新生活を初めた若者がぶち当たる問題だ。
幸いぶちおには愛してくれる家族がいて、導いてくれる先輩がいて、指導してくれる先生もいる。自分がこの世界とどう関わってゆくのか。物語の最後に彼がどんな答えを出すのかに期待だ。
妖怪と人と神様がともに暮らす町