[アニメ レビュー] ウマ娘 プリティーダービー Season 3 第9話 迫る熱に押されて

ウマ娘 プリティーダービー Season 3

 すっかりスマホゲームの定番となったウマ娘。アニメもシーズン3になり、こちらも毎年の定番化しつつある注目作となった。作品のクオリティも高く安心して観れるシリーズだ。

 少し残念な点は作品の出来が素晴らしいにも関わらず、2023年はエース級の話題作の影に隠れてしまった感がある。ストーリーの展開がマンネリ化しやすい題材なのも、地味な印象になってしまった原因のひとつだったのではないだろうか。

 今回はキタサンブラックとサトノダイヤモンドの関係性をフォトジェニックな旅を通して描ききった神回。後半の天皇賞のレース描写はいつもより抑え気味だったような気がするが、逆にそれがレースのリアリティを感じさせてくれたと思う。

※本記事は2023年12月27日時点での視聴をもとにした記事です。


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第9話 迫る熱に押されて

 第9話の長さは23分55秒(1435秒)。独断で起承転結の4つに分割している。これ以降はネタバレ注意です

<登場人物>

キタサンブラック
チーム<スピカ>所属のウマ娘。憧れのウマ娘はトウカイテイオー。サトノダイヤモンドとは幼馴染。
サトノダイヤモンド
ウマ娘の名門”サトノ家”出身のウマ娘。憧れのウマ娘はメジロマックイーン。菊花賞にて一族の悲願であるG1制覇を成し遂げた。


第9話 迫る熱に押されて

 着々と成績を積み上げ春の天皇賞での対決に望むキタサンブラックとサトノダイヤモンド。その日キタサンはダイヤを旅に誘った。 それは、いつものふたりのあてのない冒険の始まりだった。

 優しく楽しいふたりの旅路。その終着点でキタサンはレースへの想いをダイヤに投げかける。そしてダイヤも自分の夢をキタサンに投げ返す。やっぱりふたりは永遠の友達でありライバルなのだ。

 いつもドラマを生んできた天皇賞。今回はどんなドラマが生まれるのか。レースが始まりリードを許すキタサン。しかし経験とトレーニングを重ねてきたキタサンはそんなことでは動じない。ダイヤもまた虎視眈々とチャンスを伺っている。

 他の追い上げを振り切って見事に連覇を成し遂げたキタサン。しかしキタサンとダイヤの夢は終わらない。ふたりならもっと違う景色も見れるはず。ふたりの夢と想いは世界を笑顔にすることができるはずだ。

 第9話の見どころ

  • フォトジェニック表現
  • キタサンとダイヤの絆
  • 落ち着いたレース描写

背景色つき文字で書かれたシーンは、シーンリプレイ対象のシーンです。



起 (300秒)

0-55
天皇賞へ向けて 55秒

55-1:22
旅に出よう 27秒


1:22-2:52
OP:「ソシテミンナノ」キタサンブラック(矢野妃菜喜)、サトノダイヤモンド(立花日菜)、サトノクラウン(鈴代紗弓)、シュヴァルグラン(夏吉ゆうこ)、サウンズオブアース(MAKIKO)、ドゥラメンテ(秋奈) 90秒


2:52-3:05
出発準備完了 13秒

3:05-4:00
いざ海へ 55秒

4:00-4:30
ふたりならどこまでも 30秒

4:30-5:00
いつものふたり 30秒


 キタサンとダイヤで旅に出るパート。

承 (360秒)

5:00-5:20
海が見えた 20秒

5:20-6:00
次はトロッコ列車に乗って 40秒

6:00-6:40
里山を超えて馬立駅へ 40秒

6:40-7:00
食べて笑って 20秒

7:00-7:45
菜の花畑を抜けて大原へ 45秒

7:45-8:00
太東埼灯台 15秒

8:00-9:00
今日は楽しかった 60秒

9:00-10:30
キタサンの想い 90秒

10:30-11:00
ダイヤの夢 30秒


 ふたりの決意のパート。

転 (310秒)

11:00-12:55
舞台は整った 115秒

12:55-13:35
ドラマが生まれる天皇賞 40秒

13:35-14:20
ゲートイン 45秒

14:20-15:00
前半はキタサン2番手 40秒

15:00-15:30
惑わされないキタサン 30秒

15:30-16:10
勝負は淀の坂 40秒


 天皇賞前半のパート。

結 (375秒 + 90秒)

16:10-16:40
トップに躍り出るキタサン 30秒

16:40-17:20
追い上げるダイヤ 40秒

17:20-18:30
キタサンのラストスパート 70秒

18:30-19:00
いつものふたり 30秒

19:00-19:40
キタサン連覇達成 40秒

19:40-20:40
みんなを笑顔に 60秒

20:40-21:20
悔しいけど完敗 40秒

21:20-22:25
ふたりならどこまでも 65秒


22:25-23:55
ED:「Ambitious World」サトノダイヤモンド(立花日菜)とキタサンブラック(矢野妃菜喜)90秒


 キタサン連覇のパート。

シーンリプレイ

4:00-4:30
ふたりならどこまでも 30秒

 ふたりなら何があっても大丈夫。キタサンの力強い言葉が心に響く。


9:00-10:30
キタサンの想い 90秒

 キタサンのとても大きな夢。その夢のライバルとして選ばれたダイヤの喜び。感動的で神がかったシーンだ。


18:30-19:00
いつものふたり 30秒

 いつも新しい場所へダイヤを引っ張ってくれたキタサン。今回もまた……。


感想

 Season 3の主人公であるキタサンブラックとサトノダイヤモンドはSeason 2にも少し登場しており、ファンにとっては前期の主人公たちに憧れていたふたりがウマ娘として活躍するのは熱い展開だ。しかしそれはSeason 2を観ていたファンだから熱くなるのであって、Season 3からシリーズを観た方のなかにはノリきれない方もいたのではないだろうか。

 もちろんそれぞれの想いや憧れは十分に描かれていたが、キタサンとダイヤの関係については、なんの知識も持たない視聴者の心を動かすにはちょっと情報が足りなかった気がする。それぞれ個々のエピソードで感動はできても、それが繋がったうねりのような感動はなかった。それはとても贅沢な要求なのだけれども。

 今回はそんな方たちにも響くようなエモ回だったと思う。ふたりだけのあてのない旅。その行く先がどんな困難が待っていようとも、自分たちなら乗り越えられると信じあっている。美しい風景で綴られた映像で表現されるふたりの絆。観ているだけで十分に伝わってくる説得力があった。

 一日の旅の終わりにキタサンはダイヤに自分の夢と勝利を宣言する。少し驚いたような表情をするダイヤ。みんなを笑顔にしたいというシンプルで大きな夢に戸惑っているようにも見える。

 その大きな夢を叶えるために自分に勝つと宣言したキタサンに、ダイヤは「勝つのはわたし」と答える。その言葉には大きな夢を叶えるための相手として、キタサンが自分を選んでくれた誇らしさも感じられる。そしてダイヤにとっても、キタサンに勝利することが海外で活躍するためには必要なことだった。

 後半ではふたりの熱い想いとは裏腹に、落ち着いた演出でレースが展開される。最後の最後、ここぞという瞬間まで溜めて一気に盛り上がる。なかなか目が離せない見ごたえのある演出だった。

 第8話までのエピソードで表現しきれなかったキタサンとダイヤの絆の深さを、この第9話だけで語り尽くしてしまった。アニメのウマ娘は平均的にレベルの高い作品ではあるが、その中でも今回は神回と断言して差し支えない回だった。