[アニメ レビュー] ワンダーエッグ・プライオリティ 第4回 「カラフル・ガールズ」

ワンダーエッグ・プライオリティ

 ワンダーエッグ・プライオリティは4人の少女がエッグの世界ワンダーキラーと戦う話である。少女たちはそれぞれの過去において自分に近しい同年代の少女の”自殺”に直面しており、エッグの世界で像となった自殺者を生き返らせるためにワンダーキラーと戦っている。

 ワンダーエッグと呼ばれる卵の中からは、何かしら問題を抱えた少女が出現する。その少女たちの問題の原因がワンダーキラーで、ワンダーキラーを倒すと出現した少女は消える。同時に像になった自殺者には”ぬくもり”が戻ってくる。

 複雑で難解な物語であるが、主人公の少女たちがかわいらしく魅力的で見ていてあきない。戦闘シーンも刺激的でよく動くのでアニメーション好きならワクワクできると思う。ストーリーの方は「第8回 明るい友達計画」で総集編として短くまとめられているので、そちらを観ればなんとなく分かった気にはなれる。

※本記事は2021年3月8日時点での視聴をもとにした記事です。

第4回 「カラフル・ガールズ」

 第4回の長さは22分52秒(1372秒)。独断で起承転結の4つに分割している。これ以降はネタバレ注意です

 ここまでにアイ・ねいる・リカの物語をやってきて、第4回では4人目の少女である桃恵の物語だ。桃恵のトラウマや他の3人との出会いが描かれている。

<登場人物>

大戸 アイ(おおと アイ)
明るい少女。オッドアイが特徴。かわいい。

青沼 ねいる(あおぬま ねいる)
合理的で冷静な少女。三編みと褐色の肌が特徴。かわいい。

川井 リカ(かわい りか)
ちょっと図々しい感じの少女。金髪とピンクのメッシュが特徴。かわいい。

沢木 桃恵(さわき ももえ)
ボーイッシュな少女。長身でイケメンモデルのよう。かわいい。

背景色つき文字で書かれたシーンは、シーンリプレイ対象のシーンです。

起 (90秒 + 269秒)

起 (90秒 + 269秒)

0-30 
痴漢にあった少女ミワ 30秒

30-1:00 
勇気を出して捕まえた 30秒

1:00-1:32 
痴漢はパパの会社の専務 なんで我慢できなかったの 32秒

1:32-2:02 
桃恵に抱きつくミワ 肩幅広いですね 30秒


2:02-3:32 
オープニングテーマ 90秒


3:32-4:00 
逃げるミコとマコ 独りで戦えないアイ 28秒

4:00-4:32 
ミコとマコからペンライトを受け取り戦うアイ 32秒

4:32-4:59 
戦う桃恵 触って欲しいんだろう? 27秒

4:59-5:30 
追い詰められるアイ 31秒

5:30-5:59 
吹き飛ばされる桃恵 触らせてあげる 29秒


 ミワが桃恵に痴漢の被害を語るところから始まるが、痴漢にあったことを桃恵に優しくしてもらう道具としてミワは利用している。ミワは自分の魅力が分かっていて桃恵に色目を使っている。一方で桃恵は自分が”女子”として見てもらえないことに対するあきらめがあるようだ。別々の場所で同時に行われる桃恵とアイの戦闘。起では、今回の物語が主に桃恵に関するものであることが示されている。

承 (328秒)

5:59-6:40 
曲とライトで動きを止めるワンダーキラー 41秒

6:40-7:03 
ワンダーキラーに近づくミワ 23秒

7:03-7:15
踊っているワンダーキラー 12秒

7:15-8:00
成敗 45秒

8:00-8:16 
あんたとなんか死んでもいや 16秒

8:16-8:30 
なんちゃって 大人の餌食 14秒

8:30-9:10 
あなたの急所に ユニット再結成 40秒

9:10-10:00 
成敗 50秒

10:00-10:19 
ハイタッチ 19秒

10:19-10:30 
あなたに恋をしました 11秒

10:30-10:55 
消えるミワ 25秒

10:55-11:27 
ファン1号消える 32秒


 見どころの多い戦闘シーンはシーンリプレイを参照。リカの復活でこのセカイのルールが一つ語られる。ずるく汚れた大人の象徴のようなワンダーキラーたちとずるくても無垢に思える少女の対比。最後まで優しい桃恵にトラウマの影を感じる。承では、戦闘を組み合わせることによって戦う少女たちの出会いを予感させている。

転 (208秒)

11:27-11:40 
ビシッ 13秒

11:40-12:15 
高地トレーニング アイは学校行ってない 35秒

12:15-12:30 
ねいるも学校行ってない 15秒

12:30-12:50 
すごい車 20秒

12:50-13:15 
いまいちリカが信用できないねいる 25秒

13:15-13:55 
ダメダメだけど素敵なとこ 40秒

13:55-13:18 
ねいるは社長でした 23秒

13:18-14:55 
ひまわりとすれ違う桃恵 37秒 


 ねいるの回復によってあっちのセカイで鍛えられることが示される。車中でリカの話題を聞いているときのねいるの表情が冷たくていい。駄目だけど素敵なアイを見るねいるの表情は優しくていい。転では、近づきつつある少女たちの関係を描いている。

結 (382秒 + 95秒)

14:55-15:15 
僕も女子だ 20秒

15:15-16:00 
女子扱いされない桃恵 45秒

16:00-16:20 
ぬくもりが戻るはるか 20秒

16:20-16:45 
桃恵のトラウマ 25秒

16:45-17:00 
ねいるとリカ 15秒

17:00-17:30 
噛み合わないふたり 30秒

17:30-17:55 
ホスト… 25秒 

17:55-18:10 
男女の自殺は違う 女は衝動的 15秒

18:10-18:39 
死の誘惑に負けた子を生き返らせたい 男女は関係ない 29秒

18:39-19:00 
泣き出す桃恵 忍び寄るアイ 21秒

19:00-19:30 
ちゃんと女の子 30秒

19:30-19:45 
ひまわりの女の子 15秒

19:45-21:10 
女子トーク 85秒

21:10-21:17 
沢木? 7秒


21:17-22:47 
エンディングテーマ 90秒

22:47-22:52 
次回予告 5秒


 ワンダーキラーにすら女の子扱いされない桃恵。アイに対する親近感は同じなのにまったく合わないリカとねいる。また一つ明かされるセカイのルール。ガラスに写る自分の姿を見てついに涙があふれてしまう桃恵。かわいいひまわり、アイのキャラクターそのもの。4人が集まって自然と女の子らしい会話になるのが微笑ましい。結では、4人の個性が出会う。カラフル・ガールズ。

シーンリプレイ

7:03-7:15
踊っているワンダーキラー 12秒

構成:3秒 3秒 3秒 3秒


BGMの歌唱の開始と相まって気持ちが乗ってくる場面。


3秒
背後のカメラから

3秒
正面のカメラへ険しい表情で歩いてくるミコとマコ 

ここまでペンライトを降るアイの動きでカットをつないで


3秒
踊るワンダーキラー 

カットが切り替わり”発見した”驚きを表現し、わずかにカメラが寄り続けることで”迫っている”感じを表現。

3秒
アイ、ロックオン 

左から険しい表情でゆっくりと歩いてきたアイが「うん」と止まる。アイの覚悟が感じられる。


ワンダーキラーを追跡する3人の緊張感が伝わって来ると同時に次のバトルシーンへの期待感が高まるシーンだ。


7:15-8:00
成敗 45秒

構成:2秒 1秒 3秒 2秒 1秒 3秒 3秒 2秒 2秒 2秒 2秒 1秒 3秒 2秒 1秒 1秒 2秒 1秒 2秒 3秒 5秒 1秒


アイと桃恵のバトルを行き来するスピーディーなシーン。


2秒
悔しい表情の桃恵

1秒
近寄れない

3秒
バンザーイ

2秒
トロフィーのように掲げる

1秒
トラウマ

もどかしい桃恵とトコトン最低なワンダーキラー。わずかな瞬間に挟まれるトラウマはまさにフラッシュバックといった感じ。


3秒
トラウマを振り払うかのような表情

3秒
ググググっ

2秒
パリーン

2秒
桃恵突進

2秒
アイ突進

バリア(?)を破ったあとからのスピード感が気持ちいい。桃恵とアイの切り替えも最高。


2秒
立ち向かうアイ

1秒
振り返るワンダーキラー

3秒
トサカにきたぜ

2秒
立ち向かう桃恵

1秒
振りかぶるワンダーキラー

1秒
対峙

2秒
おとといおいで

1秒
王手

2秒
アイ、バッサリ

3秒
かっこいいアイの後ろ姿

5秒
崩れる

1秒
桃恵の方も成敗

お互いの決めゼリフのあとに2人のカットが入れ替わる演出。短いスパンでカットが切り替わりスピード感と緊張感がすごい。最後はゆっくりとワンダーキラーが崩れて時代劇のような爽快感がある。


複雑に組み合わされた2人のバトル。それなのに混乱することなく頭に入ってくる。しかもとてもカッコいい。


感想

 私がワンダーエッグ・プライオリティで気になっているのは、ワンダーキラーの気持ち悪さである。意見の押し付け、上から目線、決めつけ、傲慢、現実にも存在する迷惑な大人の象徴だ。

 アニメの中でも現実でも少女たちはこういった大人からの”脅威”にさらされている。そこに家族や他人の区別はない。脅威を前に絶望してしまう少女もいる。

 アイたちはその脅威に立ち向かい勝利することで少女たちを救う。同時に自分たちの過去からの開放に一歩近づいていく…はずだが、戦い続けていれば本当に開放されるのかその真偽は定かではない。

 一方でアイたちは心の内に停滞を抱えながらも、現実世界では不安に飲み込まれそうになっている。大人の理論で進んでいく現実世界は彼女たちの心の回復や成長を待ってはくれないのだ。

 常に戦いを迫られるなか、4人のガールズトークにはホッとさせられる。厳しい環境との対比で少女らしい笑顔や会話はとてもかわいらしく魅力的に描かれる。

 オープニングテーマには「巣立ちの歌」が採用されており、アイたちがやがて少女から脱し友と別れ、現実となんとか折り合いをつけて巣立ってゆくことを予感させる。できれば明るい未来を感じさせるスタートを観たいものだ。絶対にワンダーキラーにはなって欲しくない。