[アニメ レビュー] REVENGER 第一話 Once Upon a Time in Nagasaki

REVENGER

 時代劇といえば昔は定番のエンターテイメントだった。ある程度のリアリティがありながらも、適度なアレンジを加えたファンタジーが楽しめた。チャンバラと人情とお風呂シーン。時代劇は大人も子供も楽しめるコンテンツだったのだ。

 なかでも必殺シリーズは私の大好きなシリーズだ。世の中のずる賢いやつらを様々な武器で暗殺してゆく彼らは、ウルトラマンや仮面ライダーと同じように私のヒーローだった。

「RVENGER」も必殺シリーズのようなダークヒーローを題材とした作品だ。アヘンの密売が横行する長崎を中心に、個性的な暗殺術を持ったキャラクターたちが活躍する。リアルに寄りすぎることもなく、ファンタジーに寄りすぎることもなく、いわゆる時代劇が楽しめる作りになっている。

 舞台が長崎ということもあり海外向けも意識しているのか、我々日本人にはいろいろと伝わらない感じになっている。観れば面白いことは分かってもらえると思うのだけど。ちょっともったいない作品だ。

※本記事は2023年3月2日時点での視聴をもとにした記事です。


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第一話 「Once Upon a Time in Nagasaki」

 第一話の長さは23分40秒(1420秒)。独断で起承転結の4つに分割している。これ以降はネタバレ注意です

<登場人物>

繰馬 雷蔵(くりま らいぞう)
薩摩藩士で剣の達人。薩摩へのアヘンの密売を阻止するために長崎にやってきた。松峰の企てに利用されていることはまだ知らない。
碓水 幽烟(うすい ゆうえん)
松峰の企てにより雷蔵に殺された比良田の恨みを晴らすため雷蔵に近づく。金で恨みを晴らす利便事屋のリーダー。
(にお)
少年でも少女でもない両性具有であやしい魅力を持つ。かわいい見かけだが、非情で計算高い面を持つ。


第一話 Once Upon a Time in Nagasaki

 夜道を襲われた一行。死に際に託した小判を受け取る謎の人物。一方で襲ったと思われる剣の達人は、橋の下で途方に暮れていた。数日たったころ、周囲の依頼を受けたなんでも屋の碓水幽烟という男が彼に声をかけた。

 上役の命令とはいえ、知人を斬ってしまった雷蔵。幽烟に諭され薩摩へ帰る心の整理ができた。その帰り道で待ち伏せに合う雷蔵。藩のために正義を下したはずだったが、実は薩摩藩勘定奉行の松峰の策略に利用されただけだったと聞かされる。絶体絶命の雷蔵に、どこからか助言の声が聞こえ九死に一生を得る。気がつくと雷蔵は利便屋の一室に寝かされていた。

 なんでも屋は恨みを晴らす裏稼業も営んでいた。松峰に謀られた雷蔵から情報を提供してもらうために、幽烟たちは雷蔵を助けたのだ。雷蔵の協力もあり、松峰の屋敷の調査は順調にすすんだ。いよいよ比良田の無念を晴らすときが来たようだ。

 謀が大成功して酒盛りを楽しむ松峰。雷蔵を酒の肴に大盛りあがり。その裏で利便屋の暗殺は進行していた。雷蔵の嘘によってなんとか抜け道へ逃げおおせた松峰だったが、そこには恨みをたぎらせた雷蔵が待っていた。見事に復讐を果たし唯のもとへ向かう雷蔵。せめて唯の目の前で償いをとげようと考えていたのだ。しかし屋敷へ到着した雷蔵を待っていたのは、残酷で悲しい結末であった。

 第一話の見どころ

  • 時代背景や舞台設定
  • リアリティとファンタジーのバランス
  • 雷蔵の悲しい運命

背景色つき文字で書かれたシーンは、シーンリプレイ対象のシーンです。



起 (305秒)

0-30
夜道を歩く一行 30秒

30-1:00
襲ってきたのは剣の達人 30秒

1:00-1:45
小判を噛む 45秒

14:45-2:00
何かの伝言か 15秒


2:00-3:30
OP:「ダウンタイマー」レトベア 90秒


ダウンタイマー

3:30-4:00
碓水幽烟 30秒

4:00-4:25
薩摩藩士となんでも屋 25秒

4:25-5:05
繰馬雷蔵の事情とは 40秒


 利便事屋と薩摩藩士の出会い。

承 (295秒)

5:05-5:45
藩の命令を遂行し、正義を行使したはずだった 40秒

5:45-6:10
よく知る人物を斬ってしまった 25秒

6:10-7:00
心の整理がついた 50秒

7:00-7:20
長崎をあとにする雷蔵 20秒

7:20-8:20
アヘンの密売 60秒

8:20-9:00
謎の声に助けられた 40秒

9:00-10:00
利便事屋で目覚める雷蔵 60秒


 雷蔵が藩の裏切りにあうパート。

転 (300秒)

10:00-10:30
幽烟と鳰は何者なのか 30秒

10:30-11:20
首謀者は松峰だった 50秒

11:20-11:50
比良田は雷蔵の義理の父になるはずだった 30秒

11:50-12:42
恨みを晴らす手助け 52秒

12:42-13:30
罪の償い 48秒

13:30-13:55
唯に合わせる顔がない 25秒

13:55-15:00
屋敷に抜け道はない 65秒


 雷蔵を引き入れた利便屋が復讐の計画を練るパート。

結 (425秒 + 95秒)

15:00-16:00
酒の肴にされる雷蔵 60秒

16:00-16:40
狙うは大官職 40秒

16:40-17:00
飛び出す雷蔵 20秒

17:00-17:45
凧糸とガラスの破片を使う鳰 45秒

17:45-18:25
花札を使う惣二 40秒

18:25-19:15
金箔を使う幽烟 50秒

19:15-19:30
本当は抜け道があった 15秒

19:30-20:15
雷蔵の一閃 45秒

20:15-20:50
雷蔵の処遇は 35秒

20:50-21:30
唯の前で罪を償おう 40秒

21:30-22:05
遅かった 35秒


22:05-23:35
ED:「un_mute」坂本真綾 90秒


un_mute

23:35-23:40
次回予告 5秒


 松峰への恨みを晴らすパート。

シーンリプレイ

5:05-5:45
藩の命令を遂行し、正義を行使したはずだった 40秒

 本来ならお手柄だったはず。人を斬ったことに後ろめたい気持ちがあるのだろう。真面目な人物であることがわかる。


13:30-13:55
唯に合わせる顔がない 25秒

 人生は紙一重。ここで唯に会っていれば運命も変わっていたかも知れない。


21:30-22:05
遅かった 35秒

 雷蔵の気持ちを思うといたたまれない。その罪以上の悲しみを背負ってしまった。


感想

 タイトルの「REVENGER」は利便事(りべんごと)とかかっており、復讐するリベンジとなんでも屋の利便事をかけている。ダジャレなのは別にいいのだが、「東京リベンジャーズ」の二番煎じっぽく聞こえる。良い作品なのだが、タイトルで損をしている感は否めない。

 ストーリーは仕事人シリーズをそのままアニメ化したような内容で、安定感と派手さを兼ね備えた楽しいエンターテイメントだと思う。利便事屋の技もそれぞれに個性があって面白いし、復讐シーンにはワクワクさせられる。

 長崎を舞台に様々な依頼をこなしてゆくのだが、その裏にはいつもアヘンの密売がからんでくる。やがて利便事屋は大きな敵と向き合う決断を迫られてゆく。チカラなき者に寄り添いつつも計算高く金にこだわるところは、ダークヒーローらしい魅力的な部分だ。

 松峰への復讐を遂げた雷蔵が唯への罪滅ぼしを達成できなかっただけでなく、その対象である唯すらも失ってしまう展開は衝撃的だ。気持ちの着地点を失った雷蔵の悲しみと宙ぶらりんな感じが切ない。

 物語が進むにつれ、雷蔵以外のメンバーの事情や長崎の闇も明らかになってゆく。魅力的な敵キャラクターも登場するので、タイトルから受ける印象よりも楽しい作品だ。