[アニメ レビュー] ぼっち・ざ・ろっく! #5 飛べない魚

ぼっち・ざ・ろっく!

 ひとりぼっちでコミュ障の少女ひとり。実は彼女は動画投稿サイトでは「ギターヒーロー」という名前で人気の投稿者なのだ。しかしリアルでは友達すら作れない”ぼっち”だった。

 ある日偶然から強引に参加することになったバンド「結束バンド」。しかしひとりはバンド活動によって、ギタリストとしても人としても少しづつ成長してゆくのだ。

 今回はオリジナルソングも完成させた結束バンドが、ライブに出るためのオーディションに挑む回である。星歌のコネでライブに出られると思っていた虹夏たちに厳しい言葉を投げかける星歌。

 星歌のはからいでオーディションはしてもらえることになったが、ひとりにとっては人前での演奏はどうしても苦手。しかしライブに出るためには、それなりのクオリティの演奏をしなくてはならない。さてどうなるのか。

※本記事は2022年11月27日時点での視聴をもとにした記事です。


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#5 飛べない魚

 #5の長さは23分40秒(1420秒)。独断で起承転結の4つに分割している。これ以降はネタバレ注意です

<登場人物>

後藤 ひとり(ごとう ひとり)
本作の主人公。いわゆる”ぼっち”。ギターの腕は確かだが、ひとりで練習していたため、バンドでは思うように活躍できていない。動画サイトでは「ギターヒーロー」名義で活躍しており、その実力から神あつかいされている。ひょんな偶然から「結束バンド」のギター担当になった。ピンク髪ロングの陰キャ美少女。
伊地知 虹夏(いじち にじか)
明るく面倒見が良いドラム担当。姉がやっているライブハウス「STARRY」でバイトをしながら、自信のバンド「結束バンド」を続けている。金髪サイドポニーの美少女。
山田 リョウ(やまだ りょう)
虹夏の親友でベース担当。目標の違いから全バンドを脱退している。虹夏に誘われて、自分の個性が活かせる「結束バンド」を結成した。青髪ボブの美少女。
喜多 郁代(きた いくよ)
ギターボーカル担当。リョウに憧れて「結束バンド」にギタリストとして加入したが、実際はギターを弾けなかったので初ライブの直前に逃亡した。しかしそれがきっかけでひとりが「結束バンド」に加入することになる。後にひとりに誘われてバンドにギターボーカルとして再加入した。赤髪セミロングの陽キャ美少女。
伊地知 星歌(いじち せいか)
ライブハウス「STARRY」の店長。虹夏の姉である。バンドの成長を促すため、「結束バンド」にオーディションを受けさせる。


#5 飛べない魚

 初のバイト代を手にして興奮気味のひとり。しかしバンド活動にはお金がかかる。その補填のため追加のバイト提案に恐怖するひとりであった。オリジナル曲も完成し次のライブに意気込む結束バンド。だが星歌にライブ出演を拒否されてしまう。どうやら実力が足りないということらしい。それを聞いた虹夏は店を飛び出してしまう。

 星歌は結束バンドにチャンスをくれるという。土曜日にオーディションで満足のいく演奏ができたら、ライブに出演させてくれる。星歌に認めてもらえるために必要な”成長”とは何なのか。悩むひとりであった。

 ひとりが思い詰める姿を見かねた虹夏は、練習後にひとりを追いかける。自分の夢に対する想いを語る虹夏。ひとりはバンドで成功したその先が虹夏にはあることを知る。ひとりには結束バンドの4人で成功したいという想いが芽生え始めた。

 バンドで成功することがもう自分だけの夢ではなく、みんなで叶える夢なのだと気づいたひとり。腹をくくった彼女の演奏は、いつもよりも激しく個性的なものであった。無事にオーディションに合格した結束バンドだったが、状況に耐えきれずゲロインの仲間入りを果たすひとりだった。そしてひとりにはさらなる試練が待ち構えていたのだった。

 #5の見どころ

  • 虹夏の気づかい
  • つんでれ星歌
  • ひとりの演奏

背景色つき文字で書かれたシーンは、シーンリプレイ対象のシーンです。



起 (347秒)

0-30
給料! 30秒

30-1:00
バンドのため 30秒

1:00-1:50
さらなる追い打ち 50秒

1:50-2:45
出す気ないけど 56秒


2:46-4:16
OP:「青春コンプレックス」結束バンド 90秒


青春コンプレックス

4:16-4:40
実力の問題 24秒

4:40-5:00
なかよしクラブ 20秒

5:00-5:47
虹夏を追いかけて 47秒


 星歌にライブ出演を拒否されるパート。

承 (313秒)

5:47-6:20
ゾンビ!? 33秒

6:20-7:00
オーディションに来い 40秒

7:00-8:00
熱意が大事 60秒

8:00-8:20
喜多さんは気づいてる 20秒

8:20-8:40
バンドとしての熱量 20秒

8:40-9:15
明るいのは苦手 35秒

9:15-9:45
喜多さんの答え 30秒

9:45-10:25
バンドといえばマッシュ 40秒

10:25-11:00
成長とは 35秒


 良いバンドとは?成長とは?ひとりに問いが生まれるパート。

転 (250秒)

11:00-12:10
思い詰めるひとり 70秒

12:10-13:15
ひとりを気遣う虹夏 65秒

13:15-14:00
夢を追いかける熱量 45秒

14:00-14:25
本当の夢は秘密 25秒

14:25-15:10
みんなの目標 45秒


 虹夏の想いがひとりにヒントを与えるパート。

結 (415秒 + 95秒)

15:10-16:00
もう自分だけの夢じゃない 50秒

16:00-17:00
みんなの個性がとけ合う 60秒

17:00-17:40
厳しく的確な指摘 40秒

17:40-18:10
素直じゃない姉 30秒

18:10-18:55
ダムはいいなぁ 45秒

18:55-19:30
ひとりにさらなる成長を 35秒

19:30-20:15
目をかける≠目をつける 45秒

20:15-21:00
はじめから認めていた 45秒

21:00-21:20
冒険は始まったばかりだ 20秒

21:20-22:05
ぼっちオワタ 45秒


22:05-23:35
ED:「カラカラ」結束バンド 90秒


カラカラ

23:35-23:40
次回予告 5秒


 荒削りだが光る演奏でオーディションに合格するパート。

シーンリプレイ

5:47-6:20
ゾンビ!? 33秒

 ギャグシーンもこの作品の魅力のひとつ。酸欠でほとんどゾンビw


14:00-14:25
本当の夢は秘密 25秒

 いつか本当の目的をひとりに教えてくれるのだろうか。


16:00-17:00
みんなの個性がとけ合う 60秒

 ひとりの個性が光り始めた瞬間。4人の演奏が反応しはじめる。


感想

 この時代にロックバンドを題材にしたアニメが受け入れられるのか。そんな不安をよそに大人気となった「ぼっち・ざ・ろっく!」。特に海外での人気が高いというのは興味深い。

 たまーに本屋などで洋楽雑誌を見かけるが、いまだに20年前にレジェンドだったバンドやロックスターが表紙で驚く。ロックはもうその時代で止まっているのだろう。だからこそ新しいロックスターを世界は求めているのかもしれない。

 主人公のひとりは動画投稿サイトでは少しは名の知れた投稿者だが、現実では同級生に話しかけることもできない、いわゆる陰キャだ。演奏の実力は確かなのだが、バンドを組むコミュ力を持ち合わせていない。

 そんなひとりが偶然に参加することになった「結束バンド」。ひとりは人と一緒に演奏したことがないのでバンドでは実力が発揮できない。陰キャなので集団の中で個性を主張することができないのだ。

 だが、虹夏や喜多さんやリョウたちと少しづつ交流をしてきたことで、ひとりに変化があらわれた。自分と関わることで相手にポジティブな変化が表れたこと。人気者になる以上の目的があること。協力して曲を作ったこと。バンドを始めたことで少しづつひとりの心は解きほぐされていく。

 そして成功して人気者になりたいという目的が、決して空っぽな目的ではないことに気づく。その目的に4人で立ち向かうことそのものに価値を見出したのだ。ひとりの夢に対する姿勢の変化は即座にバンドのサウンドにインパクトを与えた。

 もちろん成功はそんなに簡単なものではない。事実ひとりはあまりの精神的な圧力に耐えられずゲロインの仲間入りをしている。チケットのノルマもクリアしなくてはならない。

 コスパや最短距離で夢に到達することが評価される現在において、ひとりの夢への過程はあまりにブザマで遠回りだ。しかし、どんなにカッコ悪くてミジメでも、彼女は傷つき迷いながら進んでゆく。

 私たちは無意識にそんな彼女の姿に”ロック”を感じているのかもしれない。バンドの楽器構成や音楽スタイルではない、時には逃げ出したり不器用にカッコ悪く世界と向き合う姿。きっとそれが”ロック”なのだ。

 だから外国で人気がある、というよりも世界中の”ロックファン”に支持されているというのが真相なのかもしれない。ネット引きこもりの陰キャぼっちのアニメ作品が世界を盛り上げる。最高にカッコいいし、最高にロックだと思う。